想像力豊かな俺が最強!?

一章

7話 背教者と天誅隊

ベルツァイン家、リビング。
そこではベルツァイン家当主と夫人が一人の男と対面していた。
三人の他には誰もおらず、ドアの隙間から見える廊下には赤黒いモノがこびりついていた。
「はじめまして、ベルツァイン様。我々はゼダム教会騎士団『天誅隊』、そして私は教会騎士団序列八位にして『天誅隊』隊長のウィルドメッシュと申します」
20代前半と思しき青年が深々と頭を下げる。
「！これはこれはご丁寧にどうも。…で、本日教会騎士団の天誅隊の皆様はどういったご要件で？」
「こちらに魔人の子を匿われているという噂を聞きまして、事実確認をさせていただきたく」
「…」
「魔人は我ら教会、何より我が神の宿敵でございますのでそれを匿うというのは何よりの背教行為。事実というのであれば…」
冷徹な表情でそういう青年…ウィルドメッシュにライとヌイの父であるグルド、母のメリダルは慌てて首を振る。
「魔人の子など匿っておりません！この家にいる子供は我々の愛すべき息子と娘でございます!!」
「おや、そうでございましたか。それは失礼いたしました」
ウィルドメッシュはにこやかに頷く。
誤解が解けたようだとほっと息をつくグルドとメリダル。




その、次の瞬間。
2人の腹から尖ったものが飛び出た。
「「え…？」」
それは紛れもなく剣で。
ドバドバと溢れ出すのは紛うことなき2人の血と内臓で。




「「ギャァァァァァァァァァ!?」」
ウィルドメッシュは悲鳴をあげる2人をゴミでも見るような目で見つめると
「我が神に対して嘘を吐くなど…なんという背教行為。下劣な背教者には死を、と命じられている」
そういった。
グルドは何とか痛みを必死に抑え、反論する。
「わ、我々は…嘘など…」
その言葉にウィルドメッシュは
「我が神の言葉は絶対！そして我が神はこの家に魔人の子がいると仰せになった！巫女様がそう仰せになったのだ！ならばそれが事実！」
そう言いながらグルドを蹴り飛ばした。
「がはっ…」
「貴様らのような背教者には死を！死を!!」
執拗にグルドを蹴り飛ばすウィルドメッシュの足にメリダルがしがみつく。
「本当なのでございます!!信じてください!!」
痛みさえ忘れ、必死に懇願するメリダルにもウィルドメッシュは無慈悲だった。
「黙れ、この背教者がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ギャアァァァァァァァァァァァ!!」
体から抜かれる剣。
そして再びその暴力の結晶は無慈悲に振り下ろされる。
ザクッザクッと皮膚を断ち、肉を裂き、骨を砕く。
「お辞めくださいぃぃぃぃぃぃ…」
メリダルが貫かれても悲鳴一つあげずピクリとも動かなくなってもウィルドメッシュは体を斬りつけ続けた。
そして。
「ﾊｧ…ﾊｧ…背教者が！我が神に謝れ！あの世むこうでな!!」
満足したのかメリダルを蹴り飛ばすとクルリとグルドの方を振り向き、
「次は貴様だ…」
そういって殺意の塊がグルドを貫こうとせんと迫る。
その時。