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寸劇 ロブウトツネの繁華街や公園に集う不良少年少女達を更生させたい! ムマツラさん、無謀過ぎだよヤバいよヤバいよ
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哲朗とムマツラさん、他付添人は付近にあるボケノアステーキへ。
マンモス肉ステーキ、バジリスクとコカトリスの丸焼き、ドラゴン肉の唐揚げなどなど、予約してくれていた豪華な肉料理の数々がテーブル上に出されていた。
「うっめえ♪ 俺のいた世界で食ったどんな肉料理よりも最っ高だよ。ところで、どんなことをするんすか?」
「夜の街に集う不良達を更生させようっていう企画なんっすよ。おやじ狩りと称して通行人を恐喝したり、ごみをポイ捨てしたり、万引きしたり、大騒ぎしたりと風紀を乱す悪い子達が特に今日みたいなイベントがあった日とか、全国各地からロブウトツネの繁華街や公園に大勢集まりやすいんっすよ。派手な衣装や化粧して巷ではチーマーって呼ばれてます。特にもうすぐ夏休みに入ると、より一層奴らがこの街に集まりやすくなっちゃうんすよ。ロブウトツネは地方に住む若者にとって娯楽たくさんの憧れの地ですからね。夏休みは上ロブしてくる子が一年で一番多い時期なんすよ」
「俺のいた世界でも昔、電〇少年っていう俺も出てた番組で松村が同じような企画やってたことあったな。当然のように失敗したけど」
「今回は三度目の挑戦なんっすけど、前回と前々回は更生誓約書に署名させようってやり方で失敗でした。今回はやり方を改善して、絶対成功させてみますよ。哲朗さんがお世話になった人や魔物にプレゼントしてるオリジナルのシール、あれは素晴らしいっすね。あれを見習って、良い子になってくれた子に“いい子シール”をプレゼントする計画なんっすよ」
「余計にキレられると思うけどね」
哲朗はシールのデザインを眺めて苦笑い。
ムマツラさんのデフォルメされた似顔絵がプリントされていた。
「哲朗さん、僕達はロケドラゴンに乗って、安全な上空から見守る形にしますよ」
新聞記者さんが伝える。
「俺もいっしょにやるべきかなっと思うんっすけど」
「まずはおれだけでやってみますから、おれの身がヤバそうになったら助けに来て下さい」
ボケノアステーキ前から飛び立ったドラゴンは、数百メートル先の繁華街の上空へ。
ランタンの明かりのおかげで夜でも昼のように明るかった。
「ほら、あそこに悪そうな子ども達が大勢たむろしてるでしょ」
ムマツラさんが指示した場所に、派手な衣装や髪飾り、ピアスなんかをした十数名のいろんな種族の少年少女達の姿が。
「日本の今の不良よりも強くてヤバそうだよ。あんなのに注意するのはさすがに俺でも怖いわ」
哲朗は苦笑いで眺める。
「あの程度にビビってるようではリアクション芸人としてまだまだっすね。では。おれが今から注意して来ますよ」
ムマツラさんは『世間の皆様に多大なご迷惑をかけていた私達は、今日をもってチームを解散し、今後は皆さまのお役にたつよう真面目に生きることを誓います。チーム名 あなたのお名前 印』と、この国の文字で書かれた更生誓約書を首に掛け、例のシールを手に持ち、ロケドラゴンから降り立つと、彼らの側へ怯むことなくずかずか歩み寄っていき、
「こらっ、きみたち。こんな夜遅くまで繁華街をぶらついてちゃ、ダメじゃないか。親御さんが心配するよ」
目をくりっと大きく見開いて堂々と注意する。
するとすぐに、
「なんだてめえ」
「またマムツラかよ」
「ムマツラだ。ヤバいヤバいヤバい」
「キモ~い。あっち行け」
少年少女達に絡まれてしまう。キャハハハッと騒いだり、イラストに似顔絵を描いたりしてる子の姿もあった。
「これに署名してくれたら、おれのシールもきみ達にプレゼントだよ」
「うわぁ~、ダリーカオジィのシールよりキモ~い」
「こんなのいらな~い」
「環境破壊のゴミだよね」
「そんなんより哲朗のシールが欲し~い」
少女達はキャハハハッと笑う。
「ムマツラ暑苦しくてうぜえんだよ」
さっそく、少年の一人に更生誓約書を奪われ、ビリビリに破かれてしまった。
「脱がしちゃいましょうよ」
「バウワウやれよ」
「きみたちはおやじ狩りじゃなくて、魔物狩りをしなさい。ゾユウさんも喜ぶよ」
「うるせえんだよムマツラ」
あれよあれよという間に服を引っ張られ、路地裏に連れていかれ、
ボコボコ蹴られ殴られ服をはぎ取られ、全裸にされてしまった。
「あららら。松村と同じような感じにされちゃったよ」
哲朗は思わず笑ってしまう。
不良少年少女達がどこかへ移動していったのを確認したあと、哲朗はロケドラゴンから降り立つのであった。
「大丈夫ですか?」
全裸のムマツラさんのもとへと駆け寄っていき、安否確認。
「全然平気っすよ。脂肪のおかげで。あいつらは群れなきゃ何も出来ない所詮雑魚です。元不良のコキアダワさんも今の不良は灯りの灯った場所で、大勢で群れて自分達より弱そうな人しか襲わない雑魚って言ってましたよ」
ムマツラさんはどや顔できっぱりと答える。ノーダメージのようだ。
「俺も助けに行こうかと思ったんっすけど、やはり俺の身も危ないなって思って。すまねえムマツラ」
哲朗は申し訳なさそうに言い訳する。
「いやぁ、全然気にしてないっすよ。彼らに一度や二度注意したくらいじゃ分かってもらえないのは当たり前っすから。こういう企画は成功する、失敗するではなく面白い芸を披露出来たかどうかの方が大事」
ムマツラさんはどや顔で主張する。
「その考え、よく分かりますよ」
哲朗は深く共感出来た。
哲朗とムマツラさんはロケドラゴンへと戻っていく。
「ムマツラさん、早くこれ着て下さい」
マネージャーさんの、うさぎっぽい耳と尻尾の付いた若い女性が気まずい表情でトランクスとズボン、半袖Tシャツ、靴下を差し出したのだった。
「この格好のままでも暑いくらいなんすけどね」
「そういう問題じゃありません」
マネージャーさんから嫌そうな顔で注意され、ムマツラさんは速やかに渡された全てを着込んだのだった。
こうして一行を乗せたロケドラゴンは、繁華街から飛び立つ。
「次は場所を変えて公園へ向かいます。ここは大都会ですから他にも彼らの溜まり場になってる所が何箇所かあるので。今、彼らの間で若者に人気のキイナブランドのマスアエックっていう靴を狩るのが流行ってるらしいっんすよ」
「日本でも昔、不良の間で似たような名前のエアマックス狩りが流行ったなぁ」
「日本でもあったんすか。たかが靴に何万ララシャもかけるなんておれには理解出来ないっすけどね」
「俺もそう思うよ」
「今回は記者さんの息子さんが持っていたそのブランドの靴を履いて、奴らをおびき寄せて注意します。建築用の接着剤で取れないようにしますから」
ムマツラさんはマネージャーさんから例の靴を受け取ると、中敷きに接着剤を塗り、履いている靴下に貼り付けた。
ロケドラゴンは、哲朗が芸を披露したこともある市民憩いの公園へと降り立つ。
「この公園も夜遅くになると不良の溜まり場になっちゃうんすよ。ほらあそこ。悪そうなのが大勢たむろしてるでしょ」
「昼間はめっちゃ長閑で最高に居心地いい場所なんだけどなぁ。若い頃、電〇少年のストップtheエイズの企画で行って、男娼に襲われたブローニュの森みたいに昼と夜でガラリと雰囲気が変わるってわけか」
「じゃあ、行って来ます」
ムマツラさんは、今度はさらに気合いの入ったパンツ一枚とキイナの靴姿だ。
「ムマツラさん、なんでまた裸になるんですか?」
若い女性マネージャーさんは再び嫌そうな表情へ。
「普通の恰好のまま行くと、おれの方が目立ち過ぎて、マスアエックに気付かないんじゃないかなっと思いまして」
ムマツラさんはどや顔で主張する。
「さすがムマツラさん、ナイス提案だ!」
男性記者の一人が褒め称えた。
「裸の方が気付かれにくくなっちゃうと思うんですけどね」
マネージャーさんは困惑顔。
そんなことはお構いなく、
「キイナのマスアエックを盗んでる奴はいないかな?」
ムマツラさんはそう呟きながら、彼らのもとへ近寄っていく。
「あーっ、ムマツラだ」
「本物だぁ! ヤバい、ヤバい、ヤバい」
「しかも裸じゃん。キモい、キモい」
またしても大勢で騒がれてしまった。
「まずは裸作戦成功だ! 彼らはマスアエックよりもムマツラに興味があるようだ」
男性記者さんはハイテンションで楽しそうに解説する。
そんな中、
「マスアエックだ」
「マスアエックじゃねえか」
彼らがテンション高めでこんな反応をする。
「あっ、とここでムマツラの履いてるマスアエックに気付いたか。ムマツラ危ない。というよりもマスアエックが危ない。マスアエックピンチ!」
記者さん、なおも楽しそうだ。
ムマツラさん、彼らに押し倒され、馬乗りにされ、もみくちゃに。
「ムマツラさん、ヤバいよヤバいよ」
哲朗は心配そうに見守る。
「果たして、マスアエックは無事なのか? 人が集まり過ぎて、ここからは確認出来ない!」
記者さんのテンション高めのナレーション。
彼らが去ったあと、哲朗達はムマツラさんのもとへ。
「中敷きだけは守り切りましたよ」
ムマツラさんは自信たっぷりに伝えた。
「ムマツラさんの安否はどうでもいいですけど、マスアエックが一部奪われてしまったのは残念ですね」
マネージャーさんは苦笑い。
「いい記事書けそうです」
記者さんも満足げだ。
ともあれ、一行はロケドラゴンに乗り、この場所から飛び立つ。
「ロブウトツネは世界的にも治安のとても良い街なんっすけどね、極一部に悪い地域もありまして、今からそこを紹介します。観光ガイドでも絶対立ち入らないように注意書きされてますよ」
「また危ない企画をやるのか?」
「いやぁ、今度は上空から見るだけっすよ。さっきの奴ら以上にヤバいっすから。ドラゴン君もこんな場所で降りたくないだろうし」
ロケドラゴンは街の中心地からはやや離れたその地域の上空へ。
「この通り、女性が何人か立ってるでしょ。男を誘っていい思いさせたあと、法外な金取るんすよ。抗議するとマフィアの怖いお兄さん達にどこかに連れて行かれて、獰猛な魔物の棲息地に置き去りにされるという」
「俺も昔、アメリカのロサンゼルスって街にいる娼婦を更生させたいって企画で、現地のマフィアに拉致されたことがあるんすよ」
「哲朗さんもなかなか体張ってるじゃないっすか。今から彼女達に注意しに行きますか?」
「いやいやいやぁ。ダメダメダメ。ヤバいヤバいヤバい。こっちの家族もいますし、それに俺も年だし危険過ぎることは出来ませんよ」
哲朗は手で×印を作って苦笑いで拒否。
「賢明な判断っすね。体を張ったリアクション芸といっても、笑いが取れるギリギリの見極めが重要です。おれ、キマイラとかヒュドラーとかの獰猛な極級魔物は本当に強いのか体を張って確かめたいって企画の時は、おもちゃの剣だけで戦わされてマジで死にかけましたけどね」
「俺もバラエティの企画で猛獣と戦わされたことは何度もあったよ。ここの世界のはさらに凶暴だろうし、さすがの俺でも背を向けて逃げ出しちゃうと思うなぁ」
「おれも魔獣相手には腰抜かしちゃいましたよ。一級以上の魔物って、普通に暮らしてると遭遇する機会なんて全く無いもんだから、過大評価されて本当は大したことないんじゃないのって巷で言われてて、じゃあ実際に確かめてみようってことで企画されたんすよ」
「その企画を特集した号は、一番売上が多かったですけどね」
マネージャーさんは楽しそうにフフフッと微笑む。
一行を乗せたロケドラゴンは、いろんな種族の娼婦達が呼び込みをしていたり、汚い落書きが多かったり、ゴミが散乱していたりしたその通りは速やかに通過していった。
「チーマーは地方にもいるんですが、あいつらにあとを付けられておれんちの場所を知られてしまって、昼夜問わずチャイム鳴らされたりして「遊ぼうぜ!」とか言われて迷惑してるんっすよ」
「ムマツラ、迷惑してもおれの居候してる家の住所は“絶対に”教えるなよ。コリルちゃんとコスヤさんにも迷惑かかっちゃうからな。昔、この世界のチーマーと似たような不良に松村が住所教えたせいで酷い目に遭ったんだから」
「コリルちゃんコスヤさんはコキアダワさんと親交の深い”コキアファミリー”の一員ですから、あいつらは絶対手を出して来ませんのでご安心下さい」
「あのお方、そんな抑止力も持ってるなんて改めて凄いな」
「おれも一応コキアダワさんの知り合いなんっすけどね、ムマツラにはやってもいいって彼らに公認しちゃってるみたいでして」
「あららら。ムマツラさんはコキアダワさんに嫌われてるってわけか」
「まあ、今まで失礼なこといろいろして来ましたからね。何年か前、ビーボさんは本当はめちゃくちゃ強い説を検証したいって企画で、ピンチにさせればもの凄い強さを発揮すると思ってビーボさんに蛇とかサソリとかを投げつけようとした時には、コキアダワさんにスタッフ共々めちゃくちゃ怒られた経験もありますよ。あの時の恐ろしさと言ったら、極級魔物も尻尾を巻いて逃げそうなくらいでした。マネージャーさんは恐怖のあまり泣きながらお漏らししてましたよ」
「ムマツラさぁん、恥ずかしい秘密ばらさないで下さぁ~い」
「ハハハッ、一般人を笑いのネタにするのはNGだよ」
哲朗は笑いながら言う。
「チーマーの中には、移動用のドラゴンにも酷いことしてる連中もいるんっすよ。移動用のドラゴンにはワガデ王国移動用ドラゴン協会に支払う年間利用料がめっちゃ高い長距離用のドラゴンと、日常生活圏の十キロ四方くらいの範囲で移動する、無料で手軽に利用出来るローカルドラゴンがあるんっすけど、ローカルドラゴンを上ロブするために何百キロ、何千キロも酷使させたりね。ドラ虐って呼ばれてて社会問題にもなってます」
「それは酷い話だな」
他にもいろいろ会話を弾ませているうち、ロケドラゴンはコリル宅前へ。
そこで降ろしてもらえた哲朗は、ムマツラさんや記者達と別れを告げて、朗らかな気分で帰宅したのだった。
夜も遅いため、コリルはすでに睡眠中。
コスヤさんは居間でコーヒーを飲んでくつろいでいた。
「ムマツラさん、俺よりも体張った危険なことしてましたよ。尊敬出来るよあの人」
「哲朗ちゃん、張り合うのもいいけど、笑いが取れる範囲内で頑張ってね」
「それは了解っす」
哲朗は、今夜はこの世界に来て初めて一人だけで熱湯風呂でくつろいで、疲れを癒した。
「押すなよ、押すなよ。“絶対に”押すなよ」
それでもいつものくせで、湯船に浸かる前のお決まりの合図は出してしまっていたのだった。
☆
翌朝。
「絶対筋肉痛になると思ったけど、絶好調だよ」
「この街のお風呂には筋肉痛を治す効果もあるからね」
「そっか。あの熱湯風呂にはそんな素敵な効果もあるのか。最高過ぎるよ」
コリルと哲朗はいつもと変わらず元気に登校。
ちなみに、ムマツラさんの企画は、その週に発売されたいくつかの雑誌でおもしろおかしく紹介されたのだった。
マンモス肉ステーキ、バジリスクとコカトリスの丸焼き、ドラゴン肉の唐揚げなどなど、予約してくれていた豪華な肉料理の数々がテーブル上に出されていた。
「うっめえ♪ 俺のいた世界で食ったどんな肉料理よりも最っ高だよ。ところで、どんなことをするんすか?」
「夜の街に集う不良達を更生させようっていう企画なんっすよ。おやじ狩りと称して通行人を恐喝したり、ごみをポイ捨てしたり、万引きしたり、大騒ぎしたりと風紀を乱す悪い子達が特に今日みたいなイベントがあった日とか、全国各地からロブウトツネの繁華街や公園に大勢集まりやすいんっすよ。派手な衣装や化粧して巷ではチーマーって呼ばれてます。特にもうすぐ夏休みに入ると、より一層奴らがこの街に集まりやすくなっちゃうんすよ。ロブウトツネは地方に住む若者にとって娯楽たくさんの憧れの地ですからね。夏休みは上ロブしてくる子が一年で一番多い時期なんすよ」
「俺のいた世界でも昔、電〇少年っていう俺も出てた番組で松村が同じような企画やってたことあったな。当然のように失敗したけど」
「今回は三度目の挑戦なんっすけど、前回と前々回は更生誓約書に署名させようってやり方で失敗でした。今回はやり方を改善して、絶対成功させてみますよ。哲朗さんがお世話になった人や魔物にプレゼントしてるオリジナルのシール、あれは素晴らしいっすね。あれを見習って、良い子になってくれた子に“いい子シール”をプレゼントする計画なんっすよ」
「余計にキレられると思うけどね」
哲朗はシールのデザインを眺めて苦笑い。
ムマツラさんのデフォルメされた似顔絵がプリントされていた。
「哲朗さん、僕達はロケドラゴンに乗って、安全な上空から見守る形にしますよ」
新聞記者さんが伝える。
「俺もいっしょにやるべきかなっと思うんっすけど」
「まずはおれだけでやってみますから、おれの身がヤバそうになったら助けに来て下さい」
ボケノアステーキ前から飛び立ったドラゴンは、数百メートル先の繁華街の上空へ。
ランタンの明かりのおかげで夜でも昼のように明るかった。
「ほら、あそこに悪そうな子ども達が大勢たむろしてるでしょ」
ムマツラさんが指示した場所に、派手な衣装や髪飾り、ピアスなんかをした十数名のいろんな種族の少年少女達の姿が。
「日本の今の不良よりも強くてヤバそうだよ。あんなのに注意するのはさすがに俺でも怖いわ」
哲朗は苦笑いで眺める。
「あの程度にビビってるようではリアクション芸人としてまだまだっすね。では。おれが今から注意して来ますよ」
ムマツラさんは『世間の皆様に多大なご迷惑をかけていた私達は、今日をもってチームを解散し、今後は皆さまのお役にたつよう真面目に生きることを誓います。チーム名 あなたのお名前 印』と、この国の文字で書かれた更生誓約書を首に掛け、例のシールを手に持ち、ロケドラゴンから降り立つと、彼らの側へ怯むことなくずかずか歩み寄っていき、
「こらっ、きみたち。こんな夜遅くまで繁華街をぶらついてちゃ、ダメじゃないか。親御さんが心配するよ」
目をくりっと大きく見開いて堂々と注意する。
するとすぐに、
「なんだてめえ」
「またマムツラかよ」
「ムマツラだ。ヤバいヤバいヤバい」
「キモ~い。あっち行け」
少年少女達に絡まれてしまう。キャハハハッと騒いだり、イラストに似顔絵を描いたりしてる子の姿もあった。
「これに署名してくれたら、おれのシールもきみ達にプレゼントだよ」
「うわぁ~、ダリーカオジィのシールよりキモ~い」
「こんなのいらな~い」
「環境破壊のゴミだよね」
「そんなんより哲朗のシールが欲し~い」
少女達はキャハハハッと笑う。
「ムマツラ暑苦しくてうぜえんだよ」
さっそく、少年の一人に更生誓約書を奪われ、ビリビリに破かれてしまった。
「脱がしちゃいましょうよ」
「バウワウやれよ」
「きみたちはおやじ狩りじゃなくて、魔物狩りをしなさい。ゾユウさんも喜ぶよ」
「うるせえんだよムマツラ」
あれよあれよという間に服を引っ張られ、路地裏に連れていかれ、
ボコボコ蹴られ殴られ服をはぎ取られ、全裸にされてしまった。
「あららら。松村と同じような感じにされちゃったよ」
哲朗は思わず笑ってしまう。
不良少年少女達がどこかへ移動していったのを確認したあと、哲朗はロケドラゴンから降り立つのであった。
「大丈夫ですか?」
全裸のムマツラさんのもとへと駆け寄っていき、安否確認。
「全然平気っすよ。脂肪のおかげで。あいつらは群れなきゃ何も出来ない所詮雑魚です。元不良のコキアダワさんも今の不良は灯りの灯った場所で、大勢で群れて自分達より弱そうな人しか襲わない雑魚って言ってましたよ」
ムマツラさんはどや顔できっぱりと答える。ノーダメージのようだ。
「俺も助けに行こうかと思ったんっすけど、やはり俺の身も危ないなって思って。すまねえムマツラ」
哲朗は申し訳なさそうに言い訳する。
「いやぁ、全然気にしてないっすよ。彼らに一度や二度注意したくらいじゃ分かってもらえないのは当たり前っすから。こういう企画は成功する、失敗するではなく面白い芸を披露出来たかどうかの方が大事」
ムマツラさんはどや顔で主張する。
「その考え、よく分かりますよ」
哲朗は深く共感出来た。
哲朗とムマツラさんはロケドラゴンへと戻っていく。
「ムマツラさん、早くこれ着て下さい」
マネージャーさんの、うさぎっぽい耳と尻尾の付いた若い女性が気まずい表情でトランクスとズボン、半袖Tシャツ、靴下を差し出したのだった。
「この格好のままでも暑いくらいなんすけどね」
「そういう問題じゃありません」
マネージャーさんから嫌そうな顔で注意され、ムマツラさんは速やかに渡された全てを着込んだのだった。
こうして一行を乗せたロケドラゴンは、繁華街から飛び立つ。
「次は場所を変えて公園へ向かいます。ここは大都会ですから他にも彼らの溜まり場になってる所が何箇所かあるので。今、彼らの間で若者に人気のキイナブランドのマスアエックっていう靴を狩るのが流行ってるらしいっんすよ」
「日本でも昔、不良の間で似たような名前のエアマックス狩りが流行ったなぁ」
「日本でもあったんすか。たかが靴に何万ララシャもかけるなんておれには理解出来ないっすけどね」
「俺もそう思うよ」
「今回は記者さんの息子さんが持っていたそのブランドの靴を履いて、奴らをおびき寄せて注意します。建築用の接着剤で取れないようにしますから」
ムマツラさんはマネージャーさんから例の靴を受け取ると、中敷きに接着剤を塗り、履いている靴下に貼り付けた。
ロケドラゴンは、哲朗が芸を披露したこともある市民憩いの公園へと降り立つ。
「この公園も夜遅くになると不良の溜まり場になっちゃうんすよ。ほらあそこ。悪そうなのが大勢たむろしてるでしょ」
「昼間はめっちゃ長閑で最高に居心地いい場所なんだけどなぁ。若い頃、電〇少年のストップtheエイズの企画で行って、男娼に襲われたブローニュの森みたいに昼と夜でガラリと雰囲気が変わるってわけか」
「じゃあ、行って来ます」
ムマツラさんは、今度はさらに気合いの入ったパンツ一枚とキイナの靴姿だ。
「ムマツラさん、なんでまた裸になるんですか?」
若い女性マネージャーさんは再び嫌そうな表情へ。
「普通の恰好のまま行くと、おれの方が目立ち過ぎて、マスアエックに気付かないんじゃないかなっと思いまして」
ムマツラさんはどや顔で主張する。
「さすがムマツラさん、ナイス提案だ!」
男性記者の一人が褒め称えた。
「裸の方が気付かれにくくなっちゃうと思うんですけどね」
マネージャーさんは困惑顔。
そんなことはお構いなく、
「キイナのマスアエックを盗んでる奴はいないかな?」
ムマツラさんはそう呟きながら、彼らのもとへ近寄っていく。
「あーっ、ムマツラだ」
「本物だぁ! ヤバい、ヤバい、ヤバい」
「しかも裸じゃん。キモい、キモい」
またしても大勢で騒がれてしまった。
「まずは裸作戦成功だ! 彼らはマスアエックよりもムマツラに興味があるようだ」
男性記者さんはハイテンションで楽しそうに解説する。
そんな中、
「マスアエックだ」
「マスアエックじゃねえか」
彼らがテンション高めでこんな反応をする。
「あっ、とここでムマツラの履いてるマスアエックに気付いたか。ムマツラ危ない。というよりもマスアエックが危ない。マスアエックピンチ!」
記者さん、なおも楽しそうだ。
ムマツラさん、彼らに押し倒され、馬乗りにされ、もみくちゃに。
「ムマツラさん、ヤバいよヤバいよ」
哲朗は心配そうに見守る。
「果たして、マスアエックは無事なのか? 人が集まり過ぎて、ここからは確認出来ない!」
記者さんのテンション高めのナレーション。
彼らが去ったあと、哲朗達はムマツラさんのもとへ。
「中敷きだけは守り切りましたよ」
ムマツラさんは自信たっぷりに伝えた。
「ムマツラさんの安否はどうでもいいですけど、マスアエックが一部奪われてしまったのは残念ですね」
マネージャーさんは苦笑い。
「いい記事書けそうです」
記者さんも満足げだ。
ともあれ、一行はロケドラゴンに乗り、この場所から飛び立つ。
「ロブウトツネは世界的にも治安のとても良い街なんっすけどね、極一部に悪い地域もありまして、今からそこを紹介します。観光ガイドでも絶対立ち入らないように注意書きされてますよ」
「また危ない企画をやるのか?」
「いやぁ、今度は上空から見るだけっすよ。さっきの奴ら以上にヤバいっすから。ドラゴン君もこんな場所で降りたくないだろうし」
ロケドラゴンは街の中心地からはやや離れたその地域の上空へ。
「この通り、女性が何人か立ってるでしょ。男を誘っていい思いさせたあと、法外な金取るんすよ。抗議するとマフィアの怖いお兄さん達にどこかに連れて行かれて、獰猛な魔物の棲息地に置き去りにされるという」
「俺も昔、アメリカのロサンゼルスって街にいる娼婦を更生させたいって企画で、現地のマフィアに拉致されたことがあるんすよ」
「哲朗さんもなかなか体張ってるじゃないっすか。今から彼女達に注意しに行きますか?」
「いやいやいやぁ。ダメダメダメ。ヤバいヤバいヤバい。こっちの家族もいますし、それに俺も年だし危険過ぎることは出来ませんよ」
哲朗は手で×印を作って苦笑いで拒否。
「賢明な判断っすね。体を張ったリアクション芸といっても、笑いが取れるギリギリの見極めが重要です。おれ、キマイラとかヒュドラーとかの獰猛な極級魔物は本当に強いのか体を張って確かめたいって企画の時は、おもちゃの剣だけで戦わされてマジで死にかけましたけどね」
「俺もバラエティの企画で猛獣と戦わされたことは何度もあったよ。ここの世界のはさらに凶暴だろうし、さすがの俺でも背を向けて逃げ出しちゃうと思うなぁ」
「おれも魔獣相手には腰抜かしちゃいましたよ。一級以上の魔物って、普通に暮らしてると遭遇する機会なんて全く無いもんだから、過大評価されて本当は大したことないんじゃないのって巷で言われてて、じゃあ実際に確かめてみようってことで企画されたんすよ」
「その企画を特集した号は、一番売上が多かったですけどね」
マネージャーさんは楽しそうにフフフッと微笑む。
一行を乗せたロケドラゴンは、いろんな種族の娼婦達が呼び込みをしていたり、汚い落書きが多かったり、ゴミが散乱していたりしたその通りは速やかに通過していった。
「チーマーは地方にもいるんですが、あいつらにあとを付けられておれんちの場所を知られてしまって、昼夜問わずチャイム鳴らされたりして「遊ぼうぜ!」とか言われて迷惑してるんっすよ」
「ムマツラ、迷惑してもおれの居候してる家の住所は“絶対に”教えるなよ。コリルちゃんとコスヤさんにも迷惑かかっちゃうからな。昔、この世界のチーマーと似たような不良に松村が住所教えたせいで酷い目に遭ったんだから」
「コリルちゃんコスヤさんはコキアダワさんと親交の深い”コキアファミリー”の一員ですから、あいつらは絶対手を出して来ませんのでご安心下さい」
「あのお方、そんな抑止力も持ってるなんて改めて凄いな」
「おれも一応コキアダワさんの知り合いなんっすけどね、ムマツラにはやってもいいって彼らに公認しちゃってるみたいでして」
「あららら。ムマツラさんはコキアダワさんに嫌われてるってわけか」
「まあ、今まで失礼なこといろいろして来ましたからね。何年か前、ビーボさんは本当はめちゃくちゃ強い説を検証したいって企画で、ピンチにさせればもの凄い強さを発揮すると思ってビーボさんに蛇とかサソリとかを投げつけようとした時には、コキアダワさんにスタッフ共々めちゃくちゃ怒られた経験もありますよ。あの時の恐ろしさと言ったら、極級魔物も尻尾を巻いて逃げそうなくらいでした。マネージャーさんは恐怖のあまり泣きながらお漏らししてましたよ」
「ムマツラさぁん、恥ずかしい秘密ばらさないで下さぁ~い」
「ハハハッ、一般人を笑いのネタにするのはNGだよ」
哲朗は笑いながら言う。
「チーマーの中には、移動用のドラゴンにも酷いことしてる連中もいるんっすよ。移動用のドラゴンにはワガデ王国移動用ドラゴン協会に支払う年間利用料がめっちゃ高い長距離用のドラゴンと、日常生活圏の十キロ四方くらいの範囲で移動する、無料で手軽に利用出来るローカルドラゴンがあるんっすけど、ローカルドラゴンを上ロブするために何百キロ、何千キロも酷使させたりね。ドラ虐って呼ばれてて社会問題にもなってます」
「それは酷い話だな」
他にもいろいろ会話を弾ませているうち、ロケドラゴンはコリル宅前へ。
そこで降ろしてもらえた哲朗は、ムマツラさんや記者達と別れを告げて、朗らかな気分で帰宅したのだった。
夜も遅いため、コリルはすでに睡眠中。
コスヤさんは居間でコーヒーを飲んでくつろいでいた。
「ムマツラさん、俺よりも体張った危険なことしてましたよ。尊敬出来るよあの人」
「哲朗ちゃん、張り合うのもいいけど、笑いが取れる範囲内で頑張ってね」
「それは了解っす」
哲朗は、今夜はこの世界に来て初めて一人だけで熱湯風呂でくつろいで、疲れを癒した。
「押すなよ、押すなよ。“絶対に”押すなよ」
それでもいつものくせで、湯船に浸かる前のお決まりの合図は出してしまっていたのだった。
☆
翌朝。
「絶対筋肉痛になると思ったけど、絶好調だよ」
「この街のお風呂には筋肉痛を治す効果もあるからね」
「そっか。あの熱湯風呂にはそんな素敵な効果もあるのか。最高過ぎるよ」
コリルと哲朗はいつもと変わらず元気に登校。
ちなみに、ムマツラさんの企画は、その週に発売されたいくつかの雑誌でおもしろおかしく紹介されたのだった。
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悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
【完結】私だけが知らない
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目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
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僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
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言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
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お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
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