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決闘前夜

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「決闘だ、陛下……いや、セオドア。俺が買ったらスピルスと話をする席を設けろ」

 セオドアはポカンとしていたが、やがてニンマリと笑った。
 俺が言えたモンじゃねぇけど、コイツめちゃくちゃ悪人面だ。

「良い顔になって帰ってきたかと思ったら決闘か? 随分と面白いことを言うじゃないか」
「俺は本気だ」
「お前が冗談を言うとは思ってない。んー、そうだなぁ」

 セオドアは天井を仰ぐ仕草をした後、破顔した。

「では、俺が勝ったらお前の処女を俺に捧げて貰おう。痛かろうが意中の相手がいようが逃げることは許さん。それでも、俺との決闘を望むか?」

 俺は唇を噛んだ。
 セオドアは俺がスピルスに恋していることを知っているし、だからこそ、俺に的確なダメージが入る条件を持ってきた。
 こいつ、性格が悪い……いや、「決闘? くだらん」など一蹴されるよりはマシか。

「わかった、条件を飲む。俺に勝ったなら俺を好きに凌辱しろ。逃げも隠れもしねぇ。代わりに俺が勝ったら、こちらの条件を飲んでもらう。スピルスと話をさせてくれ」

 セオドアは余裕のある笑顔を崩さずに言った。

「お前は本来であれば、この領域の王だ。お前の領域の内部で、しかも何年も年月をかけて調整したこの領域で、お前に勝てる者はいない……だが」
「お前は別だって言いたいんだろ? お前は魔法士の魔法や魔術に手を加えることができる。一時的に俺の領域を乗っ取ることすら可能だ」

 セオドアは俺の領域魔法を弄って、スピルスを排除するように調整した。
 だが、セオドアはあくまでも俺の領域魔法をベースとして使用している。

 セオドアは領域魔法のオリジナルを自在に行使できるわけではない。
 あくまでも、オリジナルの魔法に手を加えることができるだけだ。
 セオドアが一方的にアドバンテージを持っているわけではない。

 もちろん、簡単に勝てる相手ではない。
 だが、絶対に勝てない相手でもない。

「決闘は2週間後だ。場所は好きに決めろ」
「既に場所は決まっている。地下水脈の湖だ。もちろんメモリアは俺に加勢したりはしない。あくまでも1対1の決闘だ」

 セオドアはククッと笑う。

「俺は剣術も体術もそこそこいけるが……今回はそれらは封印してやろう。魔法や魔術のみの決闘だ。お前が勝ったら、この屋敷でスピルスのヤツと会談することを許す。丁度退屈していたところだ。楽しませてくれ」

 セオドアは笑顔のまま立ち上がると、俺に近づいて司祭服の上から俺の尻に触れ、割れ目にツッと指を走らせた。

「…………っつ!」

 蕾をグリグリと押され、俺の身体はビクビクと震える。
 なんだよ……これ…………。

「素質はありそうだな。感度も良さそうだ。俺との決着がつくまで此処を自慰に使うなよ」
「だ……れが、使うか!」

 俺は即座にセオドアから離れ、睨みつけた。
 調子に乗んなよセクハラ野郎!

「良い瞳だ。蹂躙しがいがある。その瞳から光を奪い、その整った顔を存分に歪ませてやろう。2週間後が楽しみだ。クククッ……アッハッハ」


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