本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why？

番外編ですよ。

15: ヤンキー、身内バレに苦しむ。

そんな楽しい旅行から帰って暫く、護衛任務中のこの俺、アレクサンドロ・オブシディアンにバイカラー殿下が面白そうに話しかけてきた。
座ってよ、とお茶を淹れられる。

どうやら、フェローの弟にしてバイカラー殿下の友人、ラインハルト君が平民上がりの魔術師レックスの正体を知りたがっているらしい。
面白がった殿下が聞き出した所、一番始めにアタリを付けたのは、学園で噂の不良、オブシディアン家の三男だったらしいが、その後、ロードクロソートや他のヒロイン信奉者の中に居るのでは、と疑い、今は術式学教授や魔法の教師に絞り、この度、魔法の教師だと特定するに至ったらしい。

惜しい。実に惜しかったな。笑いが止まらない。
魔法学の教師、マリオネル・ブルーアゲートが好きなのはフェローの友達のミュゲ嬢だ。フェローは付き添いだよ。

「でも、彼本当に鋭いよ♪公爵家三男が不良ぶってる理由はドンピシャで当ててたからね♪なのに、何で外しちゃうかなぁ。
本当、賢いんだか賢くないんだか……。ま、そこが可愛くて好きなんだけどね♡」

可哀想に、弄ばれて……。

「ごめんね、レックスの素顔は僕もレオンハルトも見たことが無いんだ。経歴も、平民上がりとしか…。もし、それが嘘なら、彼の本当の身分は僕達も知らされてないんだ…。」

なんて言われて素直に信じてしまう辺り、フェローの弟だな、なんて思ってしまう。

「未来の義弟を余りイジメないで下さいよ……。」

なんて思わず言えば、

「あれ？もう義兄さん気取り？」

なんてニヤニヤされてしまう。俺が色々してるって知ってる癖に。この腹黒王子め。

「クリスマス、オンシェーンは楽しかった？」

あああ、弟君、それはバラさないで欲しかったな。ニマニマする殿下に思わず頬が赤くなる。

「俺より一回り華奢とムンストーンの溝鼠に言われたらしく、姉上をちゃんと守れる力と技を持ってるかとか必死に聞いてくるから、剣も魔法もピカイチだって誉めておいてやったぞ！感謝しろよ、アレクサンドロ！」

ハッハッハ！と笑ってレオンハルトが豪快に肩を叩いてくる。あああ、やめてくれよ……。

「フフフ、あの日焼け抜き事件、今思えば、あの頃にはもうお付き合いされてたんですね……。」

「珍しくお前も姿を晒して護衛すると言い出すからどうしたのかと思ったが…。」

俺はグビッと残りの紅茶を飲み干すと礼を言って急いで姿を消して持ち場に戻った。全く俺の従兄弟共は性格が悪い！！

「ちょっとぉ！逃げないで馴初めを教えてよぉ！アレクサンドロ兄さーん？」

「逃げるのは男としてどーかと思うぞ！アレクサンドロー！」



あー！五月蝿い五月蝿い！！

ぷくく…俺は知ってます。なんて横で呟く配下を軽く小突いて俺は気を引き締め直した。