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番外編ですよ。
8: 嫉妬気味ヤンキー、取り敢えず良しとする。
しおりを挟む仕事を急いで終わらせて帰り、軽く息を整えた程度の時間差でフェローも帰ってきた。
何処で何をしていたか、もし、隠されたら、ちょっと理性的では居られないかもしれない……。
最低でも二、三日閉じこめて、俺以外では何も感じれない位に快楽を叩き込んで……。
「フェロー…今日はど「そうそう、アレックス様!聞いてくださいよ~♪今日ね……ん?何です??」
そんな不安を抱えながら問い質そうとした俺に、フェローはいつも以上に嬉しそうに俺を見詰めて話し出した。
その様子に毒気を抜かれて、お先どうぞと言えば、嬉しそうに色んな事を報告してくれる。
ロレンソ・アパタイト卿と祖父と孫、ならぬ、祖母と孫の関係になったという訳の判らない言葉に目が点になり、心は女性??とか思った矢先に、しかも、フェローが祖母という謎展開を報告され、混乱した俺は一旦それはそのまま飲み込むことにした。
あれだ、デートで池を小舟で散策してたらいつの間にか凄い装飾魔法発動してたみたいな、俺には理解出来ない超展開が又起こったんだろう。
帰り際、本当の祖父と孫みたいに和やかだったと報告あった位だし、まぁ、良しとするか……。
何だか、留守中、家の中でのんびり寛いでると信じてた猫が脱走してて、こっちの心配を余所に、楽しかったよ♪とか鼠を取ってきてあげたよ♪なんてニャアニャア御機嫌で御報告してくれて、怒るに怒れなくなった様な気分だ。
だがそんな時、ご主人様は怒らなくても、風呂には入れるよな。性悪子猫がお外で何触ってるか判らないし…。
俺は、何と無く爺臭い匂いを纏ってる気がするフェローを風呂に誘導し、どっちが年寄りだとか、そんな事はない、だとか笑いながら丹念に洗いつつ変なことされてないか一応チェックした。
ほら、本人にその気がなくても狒々爺にその気がある場合、変な魔術なんかくっ付けられてたりするから…。
まぁ、途中、ポロリと涙を溢しながら、「こんな風に幸せに暮らしてたら突然全く知らない所に、無力な状態で放り出されるなんて……。考えただけでもイヤですね……。」なんて言い出したのには面食らってしまった。
余程、アパタイト卿の半生に同情したのか…。
その事に少し嫉妬したり、可愛く思ったり。
今まで、どちらかと言うとフェローの、令嬢らしくない一面を可愛いと思うことが多かったのだが、「可哀想な物事に感情移入して泣いてしまう」という"令嬢の面倒臭い事象あるある"の発現に、フェローも令嬢なんだな等と可愛く思ってしまった自分に少し驚いた。
惚れてるのは自覚していたが、まさか此処までとは…。
「すぐ泣くのは確かにおばあちゃんだな♪」
なんて、そんな自分の惚れ具合を誤魔化すように、言えば、
「そんな事ありませんよ、赤ちゃんや幼子を思い出してみて?良く泣く方が若々しいんです!うぇ~~ん♪」
なんて笑って返してくる。
その笑顔がとびっきり可愛くて、愛しくて。
勝手に脱走して爺とはいえ、男と会っていたお仕置きをしてやろうと思っていたのに、普通に欲情して普通に激しく求めてしまった。
もしかしたら、突然全く知らない所に独りで放り出されてしまうかもしれない、というフェローのifへの恐怖が俺にも伝染したのかもしれない。
結局、翌朝のフェローが足腰ガタガタでちょっと突つけばひゃぁひゃぁ悲鳴をあげる程覚束無い足取りでしか歩けないのを見て、溜飲を下げることにした。
動けないからと、ベッドでごろつくフェローは可愛らしく、俺は大いに満足して授業へと向かった。
そうだな、イイコにお留守番してたら、御褒美に今日はとびきりのデザートをあげよう。
~Fin~
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