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番外編ですよ。

5: とある富豪の孫の独白。

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俺はレンツォ・アパタイト。世界有数の富豪ロレンソ・アパタイトの孫で、今は悠々自適の引退生活をしている祖父にくっついて、補佐だとか事務だとか雑務だとか……まぁ、そんな感じの事をしてお小遣いを貰ったりしてる。

今日は、最近超低級ポーションエナジードリンク"マンスター"を売り出した隣国アメトリンの開発者に会うとかで、足の悪いお祖父様じっちーに代わって待ち合わせ場所まで迎えに行ってる所だ。

おかしいな……そろそろ来てても良いと思うんだが…?

約束の時間になってもそれらしい人物が見当たらず、暫く辺りを見回してみたが、紳士は皆素通りで……。
と、ふと、地味な令嬢がさっきからずっと壁際に立っているのが目に入った。良く見れば件のライバル商品マンスターを飲んでいる。

ぁあーー!まさか!!??

ひえぇ……。容姿や身分は秘密にされてる方だから、先入観は持たないで行きなさいって言われたのに!じっちーに知られたら又怒られる!

俺は慌てて声をかけた。
そういえば、確かに目印の青い服を着てる。ううう、まさか水色のワンピースを着た令嬢だなんて……。濃い青の服を着た紳士ばかり探してたよ!だからダメなんだよな……俺。

「もし、マドモアゼル…?ぇえと、月の石の方?」

何かもうパニクって、変な話し方になった気がするが、令嬢はにこりと笑って対応してくれた。

うわぁ!ドキドキする!!俺、アパタイト一族の中で一番の雑魚だから、モテなさすぎて令嬢に免疫無いんだよ!ひぇぇ!

何を話したか良く覚えてないが、取り敢えず頑張ってじっちーの元に案内した。

じっちーは見たこと無い位はしゃいでいた。

暫くすると、俺はちょっと小遣いを握らされて追い出されてしまった。
仕方ないので、明日のアメトリン財界の重鎮達とのお食事会に向けて持ち物の再確認、それも終わったからブラブラ散歩。

なーんか、顔が上手く認識できない黒づくめの人があちこちに居るんだけど、気のせい?……こっちみてる気がするの、気のせい??だよね??

居心地悪くて適当に歩いてる内に平民向けの商店街に入ってしまった。
そんなに品揃えは我が国とは変わらないけれど、少し、流行の違いを感じる。我らがカルサイト王国より、少し華美ながらも洗練された雰囲気を醸すのは、多分、赤系統に深みのある色味を使わないせいだろう。深緑も使ってない。そのせいで、軽やかな印象になってるんだ。
カルサイトでは今、深みの赤と緑が好まれてるから、少し印象は重い。


俺はそのまま暫く取り留めなく歩き、取り留めなく考えた。




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