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番外編ですよ。

VD マウントヤンキーと悔し紛れのマウント銀髪メガネ

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………ごくり。

やっと飲み込んだパライヴァが凄い圧で此方を睨みながら口を開いた。

「悪くは無かったが、貴様らのは柔らかすぎだ。クッキーは歯応えが無いとな……。」


「そ、そうか……まぁ、座って茶でも飲めよ…。」

まぁ、正直、恋人の手作りが一番旨く感じるのは、相手をちゃんと好いてる証拠だからな。幼馴染みとして、良かったな、と思うだけだが、何だか凄いものを見てしまった気がする。

俺は、あの日パライヴァ御一行が俺にクッキー見せびらかして喧嘩売るためだけに手分けして俺を探してたと知って、ちょっとその仕返しをしに来ただけなんだがな…。

人数分茶を淹れてやれば、各々近くのテーブルに黙って座る。
デクスターはパライヴァに隣に座られたにも関わらず、もう平常心を取り戻したらしく、うっとりカップケーキを齧ってる。平民上がりらしいが、凄い図太い神経してるよな。

これ見よがしに口の端に付いたバタークリームを指で拭って舐め取り、パライヴァのクッキーを鼻で笑うデクスターと、そんなデクスターを凄い形相で睨みながら硬質なチョコクッキーをバキバキ噛み砕くパライヴァにげんなりしつつ、俺は口の中のクリームと紅茶が溶け合うのを味わった。

パライヴァ御一行全員がクッキーを食べだしたせいで、辺りにバキバキガリガリゴリゴリと凄まじい音が響く。
そのせいか、何だかフェローのしっとり柔らかなこのケーキまで堅く感じてきた。

まぁ、パウンドケーキ地だから、元々スポンジケーキよりは堅くてどっしりしてるが……。

堅いと言っても口の中の熱で蕩けていく様なバターたっぷり加減に、げんなりした気分を癒されつつ紅茶を一口飲めば、何だかんだでエメラルダスやスチュアート、エメルディンテとロードクロソート、ルチノーレ辺りはケーキを羨ましそうに凝視してきていて、俺は一気に気分が良くなった。

特に、エメラルダスは凄く食べたそうで、言い出すタイミングを計ってるのかソワソワしてきている。

「ねぇ、そのレシp「ああ、ヒロイン嬢のチョコクッキーは旨いし、昨日は熱い夜を過ごせたし、最高のバレンタインだったな!」

覚悟を決めたのか話しかけてきたエメラルダスを遮ってロンドミオが大きな声で喋り始める。一応結界は張ってるけど、もう少し声を落とせよな…。俺が結界張ってなかったらどうするんだよ。

「アレクサンドロも、これだけ我々に見せびらかす程熱愛してるんだ、さぞかし昨日は熱い夜を過ごしたんだろうな…?」

なんて心配をしている俺に、ロンドミオは勝ち誇ったように続けた。
その言葉に、デクスターもパライヴァも、場にいる全員がハッと顔を上げて俺を見る。

………………は?



「………………は?」

熱い夜?俺は耳を疑った。



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