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時は来た!断罪の卒業記念パーティー!

323: 【最終話】元地味令嬢は~Fin~と囁き、元ヤンキーはその口を唇で塞ぐ。

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前世でヘビロテして聞いていた曲が、頭の中でリフレインする。
ポンポンと、リズミカルな木琴の音。

キスを一回される度にそこからゾワゾワと甘い快楽の波紋が全身に広がって、その波の1つずつに私は嬌声をあげた。

木琴の音だと思ったのは、くぐもった耳に響く自分の鼓動だったかもしれない。


アレックスの指が肌の下の私の体を味わう様に食い込みながら滑る。

甘く噛まれ、

体のあちこちのラインを味わうように舌でなぞられ、

君のカタチが好きと歌う歌と重なる。


俺のリードするままに、導くままに、と歌が続く。


俺の手のなかに、落ちておいでよ。と、何度もリフレインする。





それが何時だったか、

その後どれだけ何をしたのか、全く覚えていない。


気が付けば私は全てのアクセサリーを取り払い、裸で布団にくるまって居た。
コポコポと優しい音がして、ふんわりと焼きたてのパンとエスプレッソの薫りがする。

もそり、と身体を起こせば、シーツがさらり、と肌を滑る。クリンナップをしっかり掛けてくれたみたいで、不快感はなかった。

衣擦れの音がして、硬い靴音が、有能そうなリズムで近寄ってくる。


「おはよう、フェロー…。愛しい俺の婚約者殿♡」

上機嫌な声色のその言葉に、私は蕩けそうになりながら返事をした。

「おはようございます、愛しい私のアレックス♡」

緩く波打つ赤みがかった金髪を軽く後ろに流し、見惚れるアメジストの瞳とキリッと凛々しい眉、気が強そうなツンと高い鼻、微笑む時に薄い唇が片方だけ釣り上がる超絶イケメン顔。

そんな完璧な容貌を持ち、180半ばの長身に鍛えられた逞しい筋肉を持つ完璧超人な私の婚約者様は、今日も朝から有能執事って感じの動きでテキパキとテーブルを整えて、朝食の準備をしてくれる。

今日は、体が辛いだろうとお姫様抱っこでソファに運び、膝の上に座らせてエスプレッソもパンも口許まで運んでくれる至れり尽くせりなサービス付きだ。

流石婚約者様。朝から視線が激甘蕩けてます。

「ちょっ…アレックス……顔が焦げそうです……。」

耐えれなくなった私はそっとアレックスの目を両手で覆った。
アナタハコンナニゲキアマデシタカ……?

「うへっ!」

そっと覆った掌を舐め、指を甘噛みされ、慌てて手を引っ込めてアレックスの胸元に顔を埋める。

は、恥ずかしい!アレックスが上機嫌過ぎて、激甘すぎて、…何だろう?婚約って、婚約ってこんなに甘くなるものなの??

髪の毛にキスしてるらしきリップ音に、シーツを巻いただけの体がじんわり、熱を帯びる。ヤバい。不意に昨夜の色々を思い出してしまった。

「フェロー、愛してるよ♪今日は記念すべき婚約1日目だがどうする?
シャワー浴びてから何処かへ出掛ける?それとも、シャワーを浴びてからもう一度ベッドに行く?」

耳を擽る甘く低い囁き声に、下っ腹がムズムズする。

そういえば、いつから私の事を知っていたのか、とか、色々聞きたい事があるんだった。
今日はじっくり聞いてみるのも良いかもしれない。

「お出掛けも捨てがたいけど、色々聞きたいこともあるし、今日はシャワーを浴びてからゆっくりしたいです。」

そう言って甘える様にキスをねだる。
いつもの、甘くて長ーいキス。

「判った。じゃぁ、ベッドでゆっくりしようか。何でも聞いてくれ。俺もフェローの色々な声・・・・を聞かせて貰うから。」

キスの合間にアレックスが囁く。私はうっとりとキスを味わいながら、ふと、昨日の会話を思い出す。

「ああ、そう言えば、昨日アレックスが言ってたみたいに、官能小説なら、丁度今が~Fin~って出るタイミングですね♪」

シャワーへと運ばれながら言えば、そうだな、と短い答えが蕩ける様な笑みと共に返ってくる。



「……それにしても、何で私が官能小説好きだなんて知ってるんです?」


じゅわっと溶けそうな甘いアメジストの瞳を見つめながら問えば、
今度は答えは返ってこず、

嬉しそうに笑いながら、キスで口を塞がれてしまった。











                   ~Fin~






ーーーーーーーーーーーーーーーー
此処まで読んで下さった方々、本当にありがとうございます!
完結です!! *。・+(人*´∀`)+・。*


初の長編、初のエロ、私にとって思い入れが深い作品なので、本当に嬉しいです!

思えば初投稿から4ヶ月毎日休まず2話3話と書き続け、色々やりたい放題でした!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!気分は新聞の小説!

コメント下さった方々ありがとうございます!とっても励みになりました!
最後の方で、洗濯機が壊れたり、10月から書き始めたBL小説、
『勘違い白豚令息、美形婚約者に振られ出奔。1人じゃ生きれないから奴隷買ったら溺愛してくる。』にウェイトがよったり、ラストちょっと詰まったりと、読んでくださってる方々をお待たせしてしまったりしましたが、何とか完結です( ´ ▽ ` )ノ

少し休んでから、ゆるゆる番外編で遊んで行きたいと思います!

本当に、本当に、読んでくれてありがとうございます!!
*。・+(人*´∀`)+・。*







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