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時は来た!断罪の卒業記念パーティー!

302: 地味令嬢とヤンキーは気を鎮め、幕開けを待つ。

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「そうか……。実は俺も少し緊張してるんだ…。奇遇だな。………俺にも、今日は特別な日なんだよ…。」

驚いてアレックスを見れば、アメジストの瞳を蕩けさせて見つめるのはいつもと同じだが、その微笑みはどこかぎこちなかった。



「フェロー……。」

そっと、身を乗り出してきたアレックスが、アームレストに乗せた私の手に手を重ね、囁く。

「俺の緊張を、解いてくれる……?」

言いながら、アレックスが、忍び寄る大蛇か靭やかな豹の様に近づいてくる。

「………どうすれば?」

絡め取られる快感に身を委ねながら聞けば、アレックスの睫毛や鼻先、唇が、私の頬や耳を掠めながら囁かれる。

「キス…しても……?」

もう既に唇に唇を掠めながら言うアレックスに、内心苦笑しながら、唇を重ね、囁き返す。

「…勿論。……でも、軽くですよ?装いが乱れるから……。」

そう囁く私の唇を啄みながら、アレックスが笑う。

「判ってる……。」




そのまま私達は、暫く互いに互いの唇を求めあった。

うっかりすれば、触れて、掻き抱いて、イヤリング行方不明事件とか、髪飾りサヨナラ事件が発生しそうだったので、お互いに手は握り合い、絡め合い、指でなぞり合い……。

舌も絡めず、化粧が落ちたらいけないから、口紅が違うところに着いたらいけないから、余計な所に寄り道せず、只唇と唇を重ねる。

何だか随分と久し振りの感覚だった。




ひたすらアレックスを見つめ、アレックスに見つめられ、どれくらいそうしていただろう?

ホールが随分と賑やかになったことで、私達は唇を離し、スパークリングを片手に階下の観察に勤しんだ。



バレリーを見つけた。エスコート相手は……豊穣祭で屋台の運営を手伝いに来てた商会の人……?へぇー……。

ミュゲ嬢達3人組は、多分兄弟だなっていう、それぞれ凄くそっくりな男性にエスコートされて、変わらず3人一緒にお菓子を楽しんでる。

サンストーンは……居た!デクスターと一緒だ。この距離でも、デクスターとサンストーンの房飾りが綺羅綺羅と煌めくのが判る。



人の波が動く。

パライヴァだ。


パライヴァが、ヒロインを伴って、ホールの一段高いところに向かうのが見えた。人の波が、モーゼの十戒の如く割れていく。
もしくは、魚の群れに鮫が突っ込んでいく映像に近い。

パライヴァの後ろには、何時もの如く攻略対象御一行様がぞろぞろついていらっしゃって。



嗚呼、とうとう、断罪のシーンがやってきたんだな、と改めて実感した。






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