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Xmas!! 旅だ!旅行だ!年末年始だ☆
294: 地味令嬢とヤンキー、宿をチェンジ!
しおりを挟む目が覚めたら、別のホテルだった。
大混乱。
「ん。起きたのか。」
アレックスが暖炉の前のカウチで報告書に目を通していたらしく、紙束を横に置いてこっちへ歩いてくる。
スレート?平たい石を漆喰を挟みながら積んだような壁に、太い木の梁が丸見えの天井、赤々と燃える暖炉に、木の床には沢山の毛皮の敷物。ベッドやカウチ等にもムートンがホイホイ置かれていて。
壁から立派な鹿角の生えた熊みたいな魔物の頭部が剥製にされ突き出ていて。
さっきまでの洋館ホテルとは偉い違いだ。
「吹雪が止んだから、ホテルを変えた。1番良い宿の2番目の部屋から、2番目に良い宿の1番良い部屋にチェンジだ。」
「取り敢えずヒロイン御一行と同じ建物じゃなくなって満足です。後、ここめっちゃ暖かい。この宿正解でしょ。」
私がほくほく顔で手を拡げると、アレックスもにっこりと頷く。
さっきの宿じゃ寒すぎて手を拡げたりなんてしたくなかったもんね。
「確かに、あそこ妙に寒かったな。もしかしたら、吹雪でペントハウスが寒くなるから、暖房の魔力を全部ペントハウスにまわしてたのかもな。」
「まーたヒロインかよ。」
そりゃ、王族だからね。大事だよね。でも何か、チッッッ!てなるね。
やさぐれる私にアレックスがポンポンと頭を優しく叩いて慰めてくれた。
しかし、こっちの宿にして本当に大正解だった。
まず、暖かい。
あちこちもふもふしてて気持ちいい。
こっちは露天風呂とジャグジーついてる。
スキーセットが置いてある。
本館にポニーと馬と犬と猫がおる。
猫いっぱいおる。
こ、子猫もおるぅぅ!!子猫いっぱいおるぅぅ!!
「さ、最高……!!」
子猫にあちこちのルートから登頂を目指され、マッターホルンにでもなった気分で私は呟いた。
ここは本館。食堂や大浴場は此方にある。
食事のために、用意されていたふかふかムートンブーツを履いて、
本館までの新雪でキラキラした道を走り回り転げ回り、正直アレックスがドン引きしているのを感じながら全身で雪を堪能し、本館前でクリンナップしてしれっと中に入ったのだが、そこで目にしたニャンニャンパラダイスにまたもや理性が吹っ飛んだ私は、気がついたら猫まみれになっていた。あああ、幸せぇ。
「…………満足してくれて何よりだ。食事にしようか。」
スッゴい冷めた目で見られちゃった…。やだぁ、何かゾクゾクするぅ♡
冗談はさておき、暮れなずむ雪景色が良く見えるテーブル席で豪快に切り取られ、じうじうと焼かれた分厚い肉に齧り付く!……訳にもいかない伯爵令嬢は、まぁ、令嬢にしては少し?大きいかな?といったサイズに切った肉を頬張った。うっわぁ!美味しい!
フンフンと鼻唄が出る勢いで肉を切っては食べ切っては食べていると、アレックスがくすり、と笑った。
「本当に、令嬢に似合わない食べ物程美味しそうに食べるよな。」
え。
アレックスがそっと周囲を顎で示すので、チラッと視線で周りを見渡せば、女性陣はステーキをなしにするか、知らずに頼んで、固くて食べれないと匙を投げているヒトばかりだった。
というか、客の殆んどがしっかりした体躯の男性で。
あ、そーなの?
てか、そちらとそちら、明らかに女性にはほぼ騙し討ちで連れてきたね?嫌われるぞー。
「何で2番目なのかは判った気がします。でも、私的には大当たりです。此処。」
「俺もだ。何せ、こんなにもフェローが楽しそうだからな。
俺の好きな人がフェローで本当に良かった。幸せだ。」
何だかな。
何だかな。
あんまりにも蕩けるような笑顔で言うから、真っ赤になってしまって、後少し残っていたステーキの味が良く判らなくなってしまった。
何食べても甘い気がする……。
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