本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why？

豊穣祝祭期間

235: 地味令嬢とヤンキーの到着。ようこそムンストーン邸へ！

「お帰りなさいませ、お嬢様。
　お久し振りで御座います、レックス様。
　長旅でお疲れでしょう。部屋に湯を用意して御座いますので、
　まずはゆっくり、おくつろぎ下さい。」

執事がそう言うと、使用人2人がそれぞれの部屋に案内してくれる。
レックスことアレックスの部屋はお客様用なので、屋敷の左翼なる。私の部屋は右翼なので軽く瞳で挨拶して別れる。

王都か屋敷まで、こんなにみじかく感じたのは初めてだ。

道中、馬車の中でちょっとアレックスにちょっかいを掛けたり、
掛けたつもりがなかったりして、
あっという間に眠らされてしまい、気が付けば宿、気が付けば宿、気が付けば屋敷だった。ふぁーあ。

ドアを開いて案内されたので一歩踏み込んで……ん？

「ごめん、ここ、アーサーの部屋だよ。新人？ごめんね。ボーッとしちゃって。」

「ぇ、あれ？す、すみません！
　曲がって右じゃ…？ぇ、右に行って曲がっ…？
　えと、3年前に厨房に入ったボニートと申します。
　すみません、今日、人が出払ってて……。」

「ボニート、気にしないで。その原因作ったの私だし。」

唯でさえ、この時期、祭りに関する寄合や茶会で侍女や使用人引き連れてダディ、マミー、アーサー、キャロ、各々東奔西走する上に、
今年は私が男手と数名の料理人を領各地に走らせ、
その上で今日客と共に帰って来るとか………。
そら、私の荷物持ちは、取り敢えず荷物運べたらえーやろってなるわな。

改めて、私の部屋に荷物を入れて貰い、
有難う、とマンスター一本あげて帰した。

まぁ、この屋敷、マンスターの収益の私の取り分を一部現物支給にしてて、
その在庫を置かせて貰ってるせいで、うなる程置いてあって、
使用人にも福利厚生の一環として配布してるから、
そんなに有り難くはないだろうけど、
ボニートは嬉しそうにお辞儀して出ていった。可愛いやつ。

久し振りの部屋を見回し一息つく。

アレックスどうしてるかな？
スマートブレスレットでメールを送る。

『今、何してます？』

暫くして返信が届く。

『窓から部屋に行っても？』

うはっ！文字数制限を気にして、文が直球になるから、照れる。

了承のメールを送る前にカーテンが窓が開いてないのに揺れる。
キャーー！アレックスだ！

犬ならブンブン尻尾振る勢いで窓を開ける。

「…んむ！？」

するりと滑り込む様に入ってきたアレックスに飛び付いてキスをする。
何でだろう、何だか、無性にしたくて。

不意打ちに驚いてたアレックスだが、直ぐに優しく抱き留め、
縦横無尽に舌で口内を探り、撫でて、私を蕩けさせてくれる。
いつもの、長く甘ーいキス。

どちらともなく、服を脱がし合い、一緒にお風呂に入った。





はぁー。ダメだ。

学園で同棲しちゃってるから、部屋が別とか耐えらんないよ……。