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豊穣祝祭期間

234: はしゃぐ地味令嬢は再びヤンキーに寝かしつけられる。

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ガタン!

馬車が小石に乗り上げたらしき音に目が覚める。

「……ん…。」

身を捩ると、馬車の壁に凭れて眠るアレックスの綺麗な顔が見えた。
どうやら、膝枕で寝てたみたいだ。
うーーん。マンスター3本キメたのに寝ちゃうなんて……。

まぁ、暫く出来ないからって、アレックスに昨日から朝にかけて
ずーーーーっとえちえちされてたからなぁ。

んーーーっと、狭い馬車の座席の中で伸びをする。

何かさぁ、馬車のったらおっきいふかふかシート1つだけで、
靴脱いで胡座で寛げるみたいな馬車作ろうかな。
そしたら、こんな狭苦しい格好で寝なくてすむじゃん?

横幅を座席幅にするからしんどいんだよ。
縦幅!縦幅を座席幅にする!
あ、背凭れを倒したらベッドになるスタイルなら、普通の馬車みたいに数人乗れる!
てことは、座席兼収納の蓋は両開きでしょ?

それで、内っ側は、ある程度ふかふかに……。

「フェロー……?さっきから人の太腿に頬ずりしながら、
 膝を撫でたり腿を揉んだりしてるんだが、それは無意識なのか?
 収納の蓋が両開きってなんだ?」

はっ!無意識だった!言われたらめっちゃ揉み揉みしてたわ。

そっと、アレックスを見上げたら、ちょっと耳が赤くなっていた。
可愛い。起き上がりついでに、アレックスにキスして挨拶する。

「おはようございます。アレックス様。
 すみません、マンスター3本も飲んだのに、寝ちゃったんですね。」

「いや、馬車では寝るべきだ。
 それと、徹夜明けにマンスター3本は今後禁止だ。
 変にハイになって危なっかしかったから、
 俺が解毒とスリープを掛けた。
 ……………覚えてないのか?」

「へー……そうだったんですかぁ………。あ。」

キューっと全身が赤くなる。はっず!!何言ってんだ私!
何故あそこでこないだ読んだ官能小説のセリフまるっとパクったんだ………!

「プッ………ハハハ!覚えてるのか……!面白かったぞ?」

くっ!………このぉ!

「嘘ですね!頭抱えて困ってたじゃないですか!
 ……知りませんでした…。
 アレックス様って直球に弱いんですね。
 ね?
 アレックス様。私の本音聞いたでしょ?
 いっぱいいっぱい愛を囁いて下さいね?好きですアレックス様。
 いっぱい触っていいですか?いっぱい見つめていいですか?
 いっぱい好きって言っていいですか?ね、アレックス様ってば。
 うっとり見つめて、
 美辞麗句の限りを尽くして愛を囁いてくれるんでしょう?
 膝に乗せて沢山キスしてくれるんでしょう?」

へへへへへ……真っ赤になってやーんの。

アレックスの膝に馬乗りになって頬を撫でる。

「おい、馬車の外にお前の家の使用人が居るんだぞ?」

「でも、防音遮音、その他諸々かけてくれてるんでしょ?」

「いや、今回は……。」

「えっ!ヤバ!」

「プッ………嘘に決まってんだろ。やーい、ビビったか。性悪め」

「うわ、早速仕返しとか。アレックス様も性悪いですねー。
 全く……ほら、早く美辞麗句で愛を囁いて、キス沢山して、
 私をトロトロに蕩けさせて下さいよ。」

「………はぁ…フェロー……。可愛い性悪猫……。何故いつも、そう、
 次から次へと悪戯ばかり思いつけるんだ?
 悪戯を愛し、悪戯に愛される悪戯の権化め……。"スリープ"」

うっとりと見上げて、私の頬を撫で返してくれるアレックスに、
ゴロゴロと喉が鳴るような心持ちで見つめ返す。

ちょっと、思ってたの違うけど、まぁ、美辞麗句?かな?
とか思ってたら、
さっさと魔法をかけられてしまい、

猛烈な睡魔に襲われる。ぅぁー。やーらーれーたー。


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