本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why？

後期！

189: 波乱！ヤンキーな地味令嬢と地味令嬢なヤンキー。

「……………スミマセン、触らなかったつもりだったんですが…少し触れちゃったみたいです。」

白煙がひいてきたようなので、薄目を開けながらアレックスに謝る。

何だか喉が変。声が随分低く聞こえる。

と、煙が晴れた視界に、ひっつめ髪に色眼鏡の女の子が映る。
あれ？鏡？にしては違和感ない？？
え、私と動きが違う……。

自分と違う動きをする虚像というだけで恐怖するというのに、あろうことかその私は……。

「くっ……大丈夫か！？フェロー！」

「ッファーーーーーー！？？」


あああ！ズボン履いてる！手がゴツい！！あああ！叫び声が野太い！マジかぁぁマジだぁぁあああ私達！入れ替わってるぅぅぅぅぁぁぁぁあああ！
「落ち着け！フェロー！！」

どうやらパニクって全部口から出てたらしい。

口を塞がれる。やだ、私の手って華奢で繊細ね。
ずりずりと空き教室に連れ込まれる。

パタン、と扉が閉まり、ふーーーーーっと、フェリシアちゃんが深く長く溜め息を吐く。

ふ、と部屋の姿見に私が映っているのに気が付く。
やだ、アレックスがしなしなしてる！

私は慌てて足を軽く開いて立つ。
不安で口許に近付いていた手を両方腰に当て、肩を張り、
グルグルと腕を回したり足を上げたりして、それを鏡で見てこの体に馴染む。

立ちポーズはこんな感じかな？

所謂首痛い系男子なポーズを取る。
全体的にだるそーに。首痛と倦怠感、是最強也。

うん、イー感じ♡俺様超カッケーじゃん！

チュッと唇だけでキスを投げてバチコーン☆とウィンクする。

うはっ！最っ高ーー♡


「おい、フェロー。何してるんだ。気持ち悪いぞ……。」

何だか一生懸命お手紙を書いてたフェリたん（アレックス）が手を止めて此方を見ている。

少女向けギャグマンガの堅物女学級委員キャラだ……。

「こんな超絶イケメン捕まえて、気持ち悪いとか頭オカスィー…。」

「有難う、フェローに見た目を褒められるのは嬉しいな……
　って、そうじゃなくて！仕草が何だか変だ。喋り方も！」

「んだよ、いーじゃん別に。見た目に合わせたら口調はこん位が丁度っしょ♪」

「変だ変だ！絶対！変だ！！
　俺はそんな変な喋り方した事ないぞ？」

「いーじゃん、どーせ誰も見てないし？」

「ハッ！それなんだが、今日の授業は休めないんだ…！
　スマン！代わりに出てくれ。黙って座ってるだけでいい！頼む！！」

「は？……え？本気？
　無理ですよ！二年の授業なんて！」

思わず素に戻る。

「すまない！ほら、急ごう！！呪い解除の手配はしたから、夕方には戻れる！頼む！！」

「ぇ、え、ええ？？」

「ほら、次の授業は練武場で授業内容はこのノート、
　その次はこの授業で教室はここだ！ややこしいから、
　他の授業のノートと参考書は抜いておく。」

フェリたん（アレックス）が鞄をゴソゴソしながら説明してくれる。

「良いか？
　アレクサンドロと気安げに呼んで来るやつは大抵敵だ。
　それなりの態度で良い。
　この学校で俺より身分高いのはパライヴァだけだが、
　奴に敬語を使う必要もない。
　奴を見たら無視して素通りしろ。ほかの奴も同じだ。
　しつこいようなら、多少威嚇しても構わない。
　じゃ、おれはオマエの代わりに薬草学に出るから。」

そういうと、フェリたん（アレックス）はスタスタと薬草学実習室へと向かってしまった。

えーー……。

仕方無いので練武場へ向かう。

フェリたん（アレックス）は何だか急いで向かっていたが、授業まで後15分もある。
もう少し色々説明してくれても良かったんでは？

スタスタと歩いて、ふとガラスに映る自分を見る。

あ、コレジャナイ感。

少し顎を上げて、力を抜いてる様に見せながら肩で風を切って歩く。
両手は軽くポケットに引っ掛けて。
だるそーに。
でも威圧感たっぷりに。

正面の艶々の大理石の壁に映るアレックスの完璧なヤンキー具合に内心ニンマリして、俺は練武場へと向かった。

「ハハッ……いーねぇ、この視界。20センチヒール履くよりずっと高ぇ…♪」

あーー、これ楽しい！クセになりそうだ♪