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夏休み領地篇

93: 地味令嬢が気付いた家族の絆とすれ違い

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私は、いつもより少し、
お互いのプライベートに踏み込んだ話を少ししてみた。



結局、アーサーは嫡男として、
ハイリスクハイリターンよりは着実に今ある領地と財を守り、税で取られる分より少し稼ぐ、堅実に。

お姉は長女として領地内に嫁いでも、政略でも、ちゃんとその家でやっていけるように、おしとやかに、愛らしく従順に。

私は、何か変な子だけど次女だからいっかー。
伸び伸び育てばいーね。
領地内を少しでも盛り立てられたら万々歳☆

不在のラインハルトは、次男だから伸び伸び以下略。
だけど、向こうの子爵家としては、
掛替えのない嫡男&上の子達の馬鹿を感染したくない!
ってんで向こうからは厳しい英才教育を。

と、それぞれ、全然違う育て方をされた訳だけど、

…そりゃ、育て方通りに全部育ったとは言えないけど、やっぱりアーサーは保守、
お姉は意見は言うより聞く方、
私はやりたい放題だけど少し放置気味で。

でも、その根っこ、芯みたいなところが、
やっぱり同じムンストーン、同じ血を分けた兄妹なんだと改めて思った。

きっと、マミー&ダディも少し踏み込んで話せば、
今まで気付かなかった私への思いなんかが沢山見えるんだろうな。

後、私は兄妹で一番小遣い少ないのに、
更に私だけ、衣服代も小遣いから出してたことが判明。

「ぇっ!服とかって小遣いから出すんじゃないの??えっ?じゃぁ、どうやって買うの??」

「え、だって、外商にしろ、出向くにしろ、
 じゃあ、これとこれを頂戴。ったら、侍女とかが、
 支払いは家にお願いします。て、
 店員と何かごそごそごそ……でしょ?」

「寧ろ、フェリはどうやって買うんだよ?
 服とか何着か買えば結構高くなるだろ?
 まさか、金貨じゃらじゃら持ってくのか!?
 正金貨じゃらじゃら??!」

「や、私の小切手を切るんだよ。」

「「小切手!私の小切手!!」」



暫く話してみたものの、これは私が悪かった。

初めて一人で仕立て屋に行った頃、
自分の小切手を持ち始めたばかりではしゃいでいたため、付き添いの執事が何か言うより早く、ポーチから小切手を出したのだ。

執事は、自立心が旺盛なんだなぁと見守り、
元々地味な装いで数も購入しないから払えない額になることもなく、
その後、全て自分で払ってきた。

マミーに連れられて何か仕立てる時はマミーに支払いも任せるので、
マミーはまさか一人で仕立てる時は自分で買ってると思わない。

父は、とんでもない請求なら確認するが、
基本的に誰がどのくらい使ってるか、何て気にするタイプじゃないので、
私の使用額が少なすぎるとか、気が付くわけがない。

そうして今まで気付かずに過ごしていたらしい。

けど、特に困ってないし、まぁ、いーかな。
今後も自分払いで。

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