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夏休み領地篇

73: 地味令嬢とワンコな兄とワンコな姉。

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いや、マミー&ダディ、フェリたんにハシタナイとかいう前に兄姉よ。

フェリたんベロアのキャミとショートパンツにモコモコカーデのみ着用で生足バーンぞ。
お兄たまズカズカ入ってくる。

ムンストーン家、入学前から全く変わってないわ。

「ヤホー!フェリ!お茶しよ!お茶!!」

「ちょっと!キャロリエン!お姉!あー!!」

ゴム毬みたいに弾んだタックルで、3つ上の姉キャロリエンが私と共にベッドにダイブする。

「ふっふーー♡
 寝る前の自分の部屋でなきゃ、アンタ眼鏡取らないじゃない。
 髪下ろして眼鏡取ったフェリとお茶したいんだもん!
 ね?ね?いーでしょ??久し振りなんだし。
 あー!フェリだ!フェリが帰ってきたァ!」

うおーわー。
姉が抱きついてうりんうりんしながら早口で捲し立てる。

後ろからヘラヘラ陽気に笑ってソファにどかっと座ったのが4つ上の兄、アーサーだ。

「フェリってば、まだその変なピラピラパジャマ着てんのかよ。
 俺の婚約者の可愛いヴィオラなんか、スッゲェヒラヒラのドレスみたいなネグリジェ着てるんだぞ!」

「え?アーサー、とうとう、ヴィオラさんのネグリジェを見るよーな関係に??」

ガキ大将も大人になったもんだと笑顔で聞き返すと、途端に目の前のヘラヘラ顔がシュンとする。

金髪と云うには少し茶に近い癖っ毛と暖かみのある薄茶の瞳が本当にゴールデンレトリーバーにそっくりで、
何だか耳と尻尾が見えるような気がしてしまう。

因みに性格もゴールデンそのまんまである。

陽気、ドタバタ、ヘラヘラ、食いしん坊、
どこまでも優しく、おバカ。

うん。賢いゴールデンじゃなく、おバカな方のゴールデンなのだ。

姉のスリスリ攻撃が一段落したので起き上がる。

後ろで侍女とメイドたちがしずしずとお茶の準備を進めている。

…アレックスを思い出しちゃった。


「それなのよー。
 ちょっと、おバカなアーサーにフェリからも
 ガッツーンと言ってやって貰おうと思って、ね。」

緩くウェーブした薄茶金の髪をバサッと揺らして姉も起き上がる。
その瞳は私より緑みがかった、ティファニーブルーに近いターコイズで、
久々の、その薄茶金との組み合わせにうっとりする。

「相変わらず、お姉の瞳と髪の色は世界一美しいよねー。」

「あんたの称賛それも相変わらずね。
 久し振りでちょっとむず痒いわ。あんたが居ないと、
 誰も私を誉めないもの。」

「婚約者のヘンリー様は何にも言わないの?根性ないなぁ。」

あのヘタレ。

まぁ、人の言動に影響されるようなお姉では無いけど、それでも、人の綺麗なトコ、
キレーって言ってバチが当たるわけでも無いのにね。

そういうと、お姉は嬉しそうに笑った。





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