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地味すぎる転生悪役令嬢爆誕
58: 寝坊助地味令嬢とヤンキーの二度寝。
しおりを挟むアレックスに、起きて、と言われた気がした。
もう朝だと。
衣擦れ、リネンの肌触り、
滑らかで弾力のあるふかふか。
…温かい。
穏やかな鼓動。
少しウッディな……グリーンノート。
ベルガモット、 シダー、 少しサンダルウッド?
……私は、こんなの持ってない。
ふ、と目が覚める。
朝の光が室内を淡く照らす。
ツヤッツヤの素肌に、黒い革紐、
小さな宝石が一つ嵌まった、くすんだドッグタグ、
白のリネンシャツ、視線を上げれば、喉仏。
どうやら、アレックスの胸に抱かれて眠っていたようだ。
そっと、身を起こすと、アレックスが仰向けになる。
すぅすぅと穏やかな寝息が聞こえる。
端正な寝顔に、暫し見惚れる。
これは、貴重。
でも、今何時だろ?
アレックスを起こさないように静かに伸びをして、目覚ましを見る。
8時半。
まだ早朝ね。
自分がベロアのルームウェアではなく下着姿で寝てた事に気付く。
昨日、あのまま寝ちゃったんだ。
クリンナップはしてくれてるみたいだけど、やっぱり、シャワーを浴びて寝間着に着替えてから寝ないと、どっか疲れが取れない気がするよねー。
ほゎゎ。と欠伸して、アレックスのシャツが昨日と違うことに気付く。
夜帰って、朝来たのかな?
そーいえば、起きてって言われた気がする。
「……ん。……?…」
もぞっと動いて、アレックスが起きた。
男性的な大きな手が、私を探すようにシーツを滑る。
それが何だか嬉しくて、クスクス笑いながら再びアレックスの腕の中に還る。
「おはよう、フェリシア。」
幸せで堪らない、といった顔で笑うアレックスに、こっちも幸せで、堪らずキスをする。
いつもの、長く甘ーいキス。
唇を互いに啄んで、クスクス笑って、舌を絡めて。
やっぱり、アレックスは夜帰って、朝、東屋に私が来なかったので起こしに来たらしい。
そして、起きない私に付き合って横になった筈がいつの間にか寝入ってしまった、と。
ようこそ、自堕落な世界へ。
二度寝は最高でしょう?と言うと、笑って鼻をギュッと摘ままれた。
今日は、アレックスはお家の用事があるらしく、訓練が出来ず、夕食も共に出来ない。
と、凄く凄くすごーーく残念そうに言われた。
夕食はともかく、訓練は連日だとちょっと疲労が激しいのでお休みはありがたい。
夕食は、少し寂しく感じてしまう自分に気付く。
出会って一週間、脅迫から始まった関係だというのに、何だか随分依存しちゃってない?
朝食をココで食べ、王都内をお散歩デートしよう(意訳)との事だったので、ちょっと失礼してシャワーを浴びる。
何かお茶を淹れてくれそうだからチョッパヤで浴びよう!チョッパヤで!
アレックスがお茶淹れる姿は大好き過ぎるので見逃したくない。
カーディガンをひっ掴んだ私はバスルームに飛び込み、下着をべべッと洗濯かごにシュートして頭から水を被る。
早くお湯になれ!と思うものの、お湯になるまえに全て洗い上がってしまい、バスルームを出る。
昨日シャワーしてなかったから頭はお湯で洗いたかったけど、まぁ、クリンナップするし良いか。
急ぐのでタオルを使わずクリンナップで水気を全部吹っ飛ばす。
モコモコカーディガンを羽織り、クローゼットに入る。
あ、昨日の荷物。
取り敢えず一個開けてみた。
ユニコーンカラーが可愛いガラスケースのボディパウダーに、可愛いパフ。
ルームフレグランス?
これは……!
他のも開けてみた。
全部、一昨々日アレックスと入った店で、近いうちに来店して買おうと思った商品だった。
一体いつの間に!??
あ、でも急がなきゃ!アレックスがお茶淹れちゃう!
慌てて、ユニコーンカラーのオーガンジーがチュチュみたいで可愛いパニエショーツを履き、お揃いのブラを着ける。
キャンディカラーのバラの飾りと結ばず垂らしたリボン、金の星形の刺繍飾りが可愛いセットに、
お揃いの白のガーターレスストッキングを履いて、ワンピースを上から被って、コロンを振って部屋に戻る。
お湯が沸きかけ!セーフ!
「アレックス様、沢山プレゼントありがとうございます。」
ピクッとした後、こっちを向かないアレックスの背中に、
あんなのいつの間に手配してたんですか?全然気付かなかったです。と続ける。
アレックスの耳とうなじが赤い。
そーーっと立ち位置をずらし、横顔を伺う。
はにかみながらお茶を淹れるアレックスは、めちゃめちゃカッコ可愛くて、キュンキュンしてしまった。
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