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地味すぎる転生悪役令嬢爆誕
38: 豪傑!地味令嬢、ヤンキーと散歩する。
しおりを挟む「あれ、私、何かやっちゃいました?」
まさかこの名台詞が我が口から発せられようとはな。
「いや、よくもまぁ、その小さい腹に収めたものだな、と。」
アレックス、目が点になってるよ。
「んまぁ!アンタ見かけによらず食べるねぇ!女でも、冒険者や力仕事するよーな市場の女将さん達なら時々全部食べる人もいるけどさ、アンタみたいなお嬢さん、大抵は堅くて殆んどお連れさんに食べさすのに!
しかも、ドラゴン肉を塩で食べるだなんて、ねぇ~。確かに、うちは臭みが少ないって人気の店だけど、それでも塩で食べ切るような豪傑、アンタが初めてだよ……。」
へーー、
ふーーーん。
臭みなんかあったかなぁ。
てか、ドラゴン肉だったんだ!感動!!
取り敢えず、臭みとか感じずにペロッと平らげた羞恥で顔が火照ってきたので、曖昧に笑って、凄く美味しかったです、と伝えておいた。
あ、でもさ、日本人が、見たら胸一杯香りを吸い込む松茸って、英語でスカンクマッシュルームって言って臭ーいキノコ扱いなんだよね?
てことはきっと、これもそーゆーのだ。
私が香り付けのハーブの一つだと思った匂いがきっと、この世界の人の臭みだったんだ!
うん、きっとそう。味音痴とか鼻音痴とかじゃない。
文化の違いだ!
そう信じて笑顔で葡萄酒を飲み干す。
ふぃーーー!お、な、か、ポーーンポン♪
同じく、食べ終わり、葡萄酒を飲み干したアレックスに御馳走様を言って、二人で店を出る。
そのまま帰るのかと思ったら、腹ごなしの散歩に誘われ、気付くと、船着き場で観光用の小舟を借りて森の中の池に続く水路を進んでいた。
何が凄いって!
水中に大きな光るクラゲがゆわゆわと沢山泳いでて、かと思うと、華やかなネオンカラーに光る小魚の一群がスイスイ、スイー♪ピャッ!て泳いだり反転したり!
更によ?!
森に入ってきたら沢山の蛍みたいなのが空中に漂ってて!
良い匂いのジャスミンとか見たこと無い花とかがあちこち垂れ下がってて!
ふぁー!
ティンカー◯ル!ティ◯カーベルみたいなのがちょくちょく居る!!
ふぁー!
ふぁー!凄い凄い凄い!
神様仏様アレックス様!異世界転生有り難う!!
ふっ、
と小さく笑うのが聞こえて前を見ると、アレックスがとても嬉しそうに笑っていた。
蛍とクラゲに照らされたアレックスは、
赤みがかった金髪とアメジストの瞳がいつも以上に煌めいて、
とても幻想的で美しい。
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