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地味すぎる転生悪役令嬢爆誕
37: 地味令嬢の至福とTUEEE!されたヤンキー。
しおりを挟む頬杖ついたアレックスが、
蕩けるよーな甘ーい笑顔でこっちを眺めていた。
「ほゎ」「喜んで貰えて何よりだよ。」
我に返って何か喋らないと、と焦って変な声が出たが、アレックスは優しく首肯してくれる。
本来なら、連れが居るのに余所見ばっかりするのはマナー違反だが、指笛と共に帽子らしきものが端から端へ飛び、私は又酒場の賑わいに夢中になってしまった。
「ハァイ♡おまちどおさま!!アンタラお忍びだろ!
全く、お嬢さんが人を舞台女優か何かみたいにキラキラと見つめるもんだから、皆照れちまってるよ!」
どん!と樽ジョッキ2つとホカホカのプレートを2つテーブルに置いて、バイエルンのビアガーデン!って感じの薄茶髪碧眼そばかす巨乳おねー様は続ける。
「彼氏は彼氏でお嬢さんにゾッコン♡て感じだし、此処だけ大通りのカッフェーみたいでやり難いよ、全く!
…楽しんでくれてるのは嬉しいが、治安良くても絶対じゃぁない、帰りは気を付けるんだよ?」
あーアツい、アツい!
そう言っておねー様は他の客の方へ去っていった。
「わ、私、バレバレだったみたいですね。」
まぁ、胸の前で手を組んでキョロキョロキラキラと見詰めてたら、こーゆーのが物珍しい身分だってのは誰でも判るよね。
「大丈夫、今のお前は茶髪緑眼の良いとこの商会のお嬢さんって感じだから。因みに俺は平民の騎士見習いって感じだ。」
「成る程、平民ボンボンカップルのお忍びデートって感じなんですね?」
「そんなとこだ!食おう、腹ペコだ。」
「そうですね。私もです。とても美味しそう♡」
焦った様に言い、手早く食前の祈りを捧げるアレックスの顔が少し赤い。
ゾッコンって言われてたもんね……。
私も目の前の御馳走に向き合う。
ほっかほかのプレートには、未だジュウジュウと音を立ててる大きなソーセージにハチミツと茶色いソースがかかったモノと、揚げた芋、アスパラが途中から人参になったような野菜のフリット、軟骨の唐揚げを三倍位に大きくしたコリコリした謎唐揚げが載っていた。
樽ジョッキで乾杯し、常温で表面に泡は浮かんでいるものの発泡性を感じない、薄めたワインにハチミツとスパイス数種をぶちこんだような飲み物を呷る。
美味しそうに聞こえないって?
いや、こんなもんだと思えば、結構美味しいんだけどね。
まぁ、キンキンに冷えたビールがお好きならイマイチだろうけど。
美味しい食事に舌鼓を打って、上唇についた葡萄酒の泡を笑って、自分の領地の話や、最近の授業、気になる噂話なんかの他愛ない話で盛り上がる。
満を持して登場したどでかいステーキは、けれど、柔らかく、脂の無いキメ細やかな赤身肉で。
前世から見てもすんばらしい理想のステーキ具合に夢中で頬張った。
沿えてあった玉ねぎとにんにく香るソースも美味しかったけど、岩塩ガリガリして食べるのが気に入ったので、ひたすらガリガリキコキコガリガリキコキコ食べる。
其れにしても大きい。
1キロは軽く超えてるよね。
切り株みたいな大きさと顎の疲労感にうっとりとする。
私の愛する下着達は、コルセットやビスチェであっても、ちょっと補正したろかなー?程度で、決してぎゅうぎゅう締め付ける為のモノではないのである。
寧ろ、こんな時のために伸縮するように作られているのである。
下着屋に何度も指示した私グッジョブ!
お蔭で完食できました♡
ふぅーぅ、
と幸せのため息を付き、ナプキンで口許を拭うと、ふと、周りが静かなのに気付く。
顔を上げると、アレックスどころか、店内のほぼ全ての人の視線が私に注がれていた。
あれ、私、何かやっちゃいました?
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