上 下
35 / 354
地味すぎる転生悪役令嬢爆誕

35: 地味令嬢は目覚め、ヤンキー執事は仕度する。

しおりを挟む



フェリシア…。フェリシア。……起きて。
ほら、早く起きないと、ステーキの代わりに、俺がフェリシアを食べてしまうぞ……?

「んぅ……。ステー…キ?」

ちゅっちゅっとあちこちに降るキスの感触と、合間合間に耳元で囁かれる甘ーく不穏な、でも気になる言葉に意識が浮上する。

すかさず上体を起こされ、ほげーーっとしてる間に上掛けを剥がれ、キスを降らされながらシャツを着せられる。

誰だ、アレックスだ。

何処だ、……何処だ?

喉カラカラだ。

ぉみず……と呟けば、さっと冷えた水を口移される。

ん、おかわり。

もっと。

もっと!

もっと!!

まどろっこしくてボトル奪ったら思いっきり鼻を摘ままれた。
あ"ーー……沁みるぅ。

ゴッゴッゴッゴッ……。

「伯爵令嬢の飲み方じゃないだろ……。」


その一言で我に返る。何処?何時?何故?

取り敢えず、

「あ、アレックス様…。おはようございます。」

「おはよう、フェリシア。さ、スカート履くから腰浮かせて。」

執事モードだ……。

時間は分からないが空き教室だ。
そっか、お昼食べた後、お仕置きタイムに突入したんだっけ。そっから記憶がない。
てことは夜とかかな??朝じゃなきゃいいな。
お腹減った。

さっきステーキって言ってなかった??


靴を履かされ、促されるまま立って、きっちり制服を着付けられる。

と、アレックスが、骨まで蕩けてるんじゃないかという様な笑顔でこっちを見てくる。

吃驚してるとガラクタの中にあった鏡と目が合う。

結論から言うと、色眼鏡とひっつめなしの制服姿はとても可愛かった。

私も普段から部屋着と下着以外はひっつめ色眼鏡だったから、初めて見るが、これは来年が楽しみである。
というか、ボサボサにしてる髪が綺麗に波打っている。

寝てる間にブラッシングしてくれたのかな?

名残惜しいが髪を結おう、と思ったら慌ててアレックスに止められた。??

「認識変換で違う人に見せるから、そのままローブだけ着て行こう。」

「何処に行くんですか?今何時ですか?」

「今は五時半だよ。今から学園外の町を少しぶらついて、平民街の酒場にステーキを食べに行くんだ。
……そういう約束だったからな。」

「…約束…。誰とですか?」

「フェリシアとだよ。やっぱり覚えてないんだな。」

フフン、と何処か満足そうで、イタズラがまだバレてない時の様なニヤニヤ顔でこっちを見てくるアレックスに、思わず眉根を寄せてしまう。

あ、そう言えば、何か意識が朦朧としてた、みたいな事言われたよね?あの時??

「何ですか、それ。何かあったんですか??」

「ほら、行くぞ。学園内はフードを目深に被っててくれ。」

ニヤつくアレックスをガクガク揺さぶって問い詰めたい衝動に駆られるが、そんな事出来る立場でもないし、平民街には前から行ってみたかったので素直に従う。

楽しみだな、お腹減ったな♪



すっと、手を繋がれる。

するりと絡まる指に、心臓が小躍りする。

久しぶり&今生初の恋人繋ぎは何だか気恥ずかしくて、

温かくて、ふわふわする心地だった。


しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

処理中です...