上 下
30 / 354
地味すぎる転生悪役令嬢爆誕

30: 地味令嬢の美味しい時間、ヤンキーは虎視眈々と世話を焼く。

しおりを挟む

「フェリシア、返事は?」

「はぁい………。」

しょんぼり気分にコーヒーの苦味が沁みる。

好物のサーモンとエビとアボカドのサンドがあったのでガブリと喰らい付いた。おいひー!

「そうだ、オマエのカリキュラムどうなってんだ?時間割見せろよ。」

「!?………~~!」

ぅゎ!ちょっと待って。思いっ切りサンドイッチ頬張ってたので、中々喋れない。

「すまない。それを食べてからで良いからゆっくり噛んで食べろ。好物なんだろ?」

お言葉に甘えてゆっくり味わう。

優しいよね、好物だって言ったから又買って来てくれたんだ。

どっちが奴隷か判らない尽くされ具合に思わずニッコリしてしまう。

「………フフッサンド美味しいです。ありがとうございます。……私の時間割はこれです。」

ナプキンで口許を拭い、手も拭いて、鞄から手帳を出して見せる。
手帳と言っても大きめで、一番最初に時間割や連絡事項、後ろは各教科用ノートに使っている。
ページが外せるので、前世みたいに使えて気に入っている。

「成程、中々合理的なんだな。必要最低限しか取ってないじゃないか。」

ふぁー!めっちゃジト目で皮肉言われた!ヤンキーに言われたくなーい!

「この沢山ある空き時間はいつも何してたんだ?」

「そこの図書館別館で時間潰してました。」

「成程。オマエもこの部屋使えるように登録してあるから、空き時間は此処を好きに使えよ。
別館行くにしても荷物此処に置いておけば楽だし、借出さずにこの部屋に持ち込んでも別館の本なら気付かれない。
昼飯も持ってきてやるから此処で食うぞ。」



「……何だか、お早うからお休みまでご一緒する感じですね。」

「別にいいだろ?オマエは俺の奴隷なんだし。」

まぁ、元々ボッチでちょっと寂しかったし……、かといって友達を作るのも躊躇われてたし?

奴隷とか言われちゃってるけど、その分素が出せる人とお喋り出来る時間があるのは悪くない。

奢りだし。

至れり尽くせりだし。

美味しいお茶淹れてくれるし。

奢りだし。


うん、悪くない。

けど、……何か、付き合ってるみたい。

……ま、いっか。
脅されてんだし、考えるだけ無駄無駄♪

「………返事は?フェリシア。」

「ぇ、あ、はい。」

「何だよ。嫌なのかよ……?」

「え?いえ、私も幾つかお茶を持ち込もうかと。所で、登録って何ですか?此処、鍵掛けてないんですか?」

「!…おう、何でも置いとけよ♪
 此処は施錠は結界なんだ。俺とオマエ以外は鍵を持ってても入れないし、俺らはドアノブ回せば解錠出来る。」

ほほー。結界かー!自作??スッゲー!と思いながら、私の一言でご機嫌になったアレックスにもう少し聞いてみる。

「でも、良いんですか?空き教室に勝手に結界とか張って。」

「教師や事務員に金掴ませて一室私物化するなんて、上位貴族じゃ珍しくもないぞ。
 サロンとか言って自分の派閥を侍らせてる奴等、皆そうだ。王族の、生徒会室とその周囲の部屋の改造なんかカナリエグいし、時々、金で爵位買ったような金持ち男爵家もやってる。」

ほへー!知らなかった!勉強になるぅ!

そうこうしている内に、テーブルの上の食糧が粗方食べ尽くされ、アレックスがどんどん空いた皿をクリンナップしてマジックボックスに片していく。

私が食べ終えたと見ると、直ぐ様コーヒーを淹れ直してくれた。

ビスケットは片されずにテーブルに残っていたが、結構お腹が膨れていたので有り難くコーヒーだけ頂く。


はー……美味しかった♪幸せ♡余は満足じゃー!

「はぁー。美味しかった!御馳走様でした、アレックス様♪」

コーヒーもとっても美味しいです!淹れるのお上手ですよね!
と上機嫌でアレックスに礼を言い、コーヒーを味わう。

アレックスもニコニコしている。

「満足したようで何よりだ。

 ……………じゃぁ、腹も膨れたし、そろそろお仕置きタイムに移ろうか♪」







「ぇ?」
しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

処理中です...