本編完結【R18】地味すぎる転生悪役令嬢、攻略対象と関わらずに…俺様ヤンキー公爵に絡まれる。Why？

地味すぎる転生悪役令嬢爆誕

5: 地味令嬢の短い平穏と、ソレを破るヤンキーの登場。

いざ！と気合いを入れて挑んだ学園生活も2ヶ月経過した。



気合いを入れたものの、

未だ平凡モブ女子を演じている為、本当に暇……。

この学校、エロイベントの為か放課後が凄く長い。
かといって、寮は寝る以外はする事のない、娯楽皆無の所だし。

しかも、特に貪欲に勉強したいわけでもないので、
必要と思う授業しか取らなかったら授業時間中も結構空き時間が出来てしまった。

部活動は主だった所に攻略対象がいるはずだし…。

暇をもて余して彷徨い、
最近は専ら図書館別館の半地下階一番奥、

官能小説コーナーに入り浸っている。


こんなナリだから出会いもねぇ、事件もねぇ、
モブ男子ですら目も合わねぇ。おら、とっても暇だぁ♪

下手くそな替え歌を口ずさみながら、今読んだ本を棚に差し込む。

入学１週間でここを見つけて以来、何冊読んだだろうか。
ここは本当に誰も来ないので、最近はやりたい放題である。

本来なら、目の前の棚の一番上の左から官能小説が作家名順に並んでいる。

しかし、私はそこにこっそりMyお薦めランキングコーナーを作っているのだ！

今のところ五冊。今読んだのは四位に浮上した！

いやー、やっぱり最後ラブラブとか良いよね！
大人しいもっさり系が獣の様に豹変とかね！

なんて余韻を楽しみながらランキングでずれた分、本棚を整え、今日読んだ他の本もしまって行く。

時々並びがもとに戻っていると言うことは、司書が時々は来てるということである。

あのお堅そうな司書がいつか、ランキングに気付いて手に取ってくれたら面白いのにな……。げへへ。

そろそろ夕食だ。
私は満足げに棚を一瞥すると、食堂へと向かう。

この時私はすっかり、婚約破棄イベントまでの一年、このまま平穏で退屈な日々が続くと信じていた。

だが、次の日の放課後、図書館別館に続く人気のない廊下をいそいそと進んでいた時、

事態は一変する。




次の日、
放課後いそいそと別館に繋がってる廊下を進んでいると、入学以来初、前方から男子生徒がやってきた。

私以外の生徒が別館利用してるの初めて見たよ…。

前方の生徒は廊下の中央、若干右寄りにズンズンと歩いてくるので、少し左による。

上級生だろうか、貴族ばかりの学校に珍しく、着崩した制服で、
欠伸をしつつ右の窓から景色を眺めてる。
窓から差し込む光に反射して、赤みがかった金髪が煌めく。

わぁ、イケメン！！

「あーー暇だ。何か面白ぇコトねぇかな。あれも最近飽きたしなぁ。」

わぁ、怖い。ヤンキーぽい。

大分近くなってきた時に、前で大きな独り言と共にコキコキと肩を回したりされたので、少し左に寄り気味に、視線を落として進む。

私は石ころ。私は石ころ。

「あー…何かねぇかな。ん、丁度良い、お前でいーや。遊ぼうぜっ」「えっ」

すれ違う瞬間、首もとにラリアットされるみたいに腕が伸びて来た。
と、思ったらクリッとヤンキーが向きを変え、私を捕まえるような形になる。
ぐいっと引っ張られ、あっという間に景色が変わる。

バタン！チャッ…

と、後ろでドアを閉め鍵を掛けた音がし、私はすぅっと、背中と舌の根が冷たくなるのを感じた。

ヤンキーが私の首に手を回したまま、こちらを覗き込んでニカッと笑う。

「一年か？名前は？」

どうしよう！ヤンキーに捕まった！！