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64: ランタンの森で散策デート♡

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「わわわ、なぁに!?大きな蛍??」

良く見れば只の雑木林だが、その至るところに大きな鈴蘭の花の様な物が下がっており、そこに何か光るものが入ってるらしく、ぽわっと、時々ひかひか、ゆらゆらと、穏やかに瞬いていた。

「凄いだろう?宿りランタンっていう蘭の仲間の植物でね、幼い妖精や精霊が好んで中で休むんだ。」

ラートンがニコニコしながら説明する。

森には、遊歩道が設置されているらしく、曲がりくねった小路を同じ様にうっとりと様々な獣人カップルが散策していた。


ーーーーー
ーーー


「あ、僕の可愛い番さん♪見て見て♪あそこの少し大きめの妖精、君の髪にそっくりの深緑色だよ♪」

わぁ♡と歓声を上げて遊歩道から外れた木立の先を指差すラートン。

ふと、その背後、ラートンとイオンウーウァの間を横切るように見事な虹色の大きな羽をひらめかせて、光る蝶が飛んでいった。

(わぁぁキレイだわ……!)

そっと手を伸ばせば、逃げる訳では無いが、触れないギリギリの間合いでヒラヒラと蝶が八の字を書いて留まる。
その美しい姿に、もっと眺めていたくなったイオンウーウァはフラフラと遊歩道の敷石のへと踏み出して行った。

「……わぁ、あの妖精さんの瞳、君とそっくりの菫色!
……フフッ……いつも妖精さんみたいに神秘的だと思ってたけど、やっぱり僕の可愛い番さんは深い森の奥で産まれた妖精さんなんじゃないか……な…………あれ?…………え??ウーァ!?ええっ!?奥さん!?」

小路が細くて縦に並んでいたが、てっきり後ろにいると思っていたイオンウーウァが居ない。
ラートンはちょっとドリーミンな気分から一気に地に叩き落とされ、真っ青な顔で辺りを見回した。

(しまった!!僕の奥さん意外と好奇心旺盛なのに!忘れていた!!)

「イオンウーウァ!僕の奥さん!!」

クスクスさわさわと木立や茂みが揺れてイオンウーウァの気配や匂いを紛らわし、アチコチで妖精のランタンがひよひよさわさわとさざ波の様に光る。

それは、まるで妖精達がちょっとした悪戯を喜んでクスクス笑いをしているようだった。

(しまった!!遊歩道から外れちゃ行けないってまだ言ってなかった!ううう~~僕の可愛い奥さん!!何処行っちゃったの!!)

ランタンの森とは、妖精の森の外周の事で、観光名所ではあるが、一歩遊歩道から出てしまえば妖精の森独特の次元構造に迷子になり、下手をすると数日見つからない時もある。

人によっては妖精を怒らせてしまって手酷い目に遭うことはあるが、基本的にヘトヘトになって困ったりしているのをクスクスと笑われるだけのな森なので、危険の割に人気のデートスポットだった。

だが、イオンウーウァは人族のか弱い身体であるし、知らずに妖精達を怒らせて怪我でもしたらどうしようと、ラートンは不安な気持ちで小路を往復し、茂みの向こうにイオンウーウァが見えないかと何度もジャンプした。

(うう~!妖精って転ばせたり髪の毛を枝に絡ませたりするのが好きだって言うからなぁ~!!無事でいて……!!)



と、その時、風で揺れた茂みの向こうに、虹色の蝶に付いていくイオンウーウァの深緑の後頭部がチラリとランタンの灯りに照らされてラートンの目に飛び込んできた。

「ウーァ!!!待って!!……う"お"っ!??」


慌てて小路から出て、イオンウーウァを追い掛けたラートンの脇腹にドンッ!!という衝撃があり、ラートンは気持ちいい位見事に横に吹っ飛んだ。



(ウーァ……!!!)



















ーーーーーーーーーーー



スミマセン、ワクチン昨日打ったら、寝込む程の副反応じゃないな、と思ったのに見事に更新考えられなくなりました。
ボーッとする。怠くて纏まりません(;><)

ウンウン魘される程じゃないですが布団から出れないです。

明日更新出来ないかもしれません。o(__*)Zzz


いつも読んでくださって有り難うございます。(*´∀`)
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