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33: 似た者親子と名付けに思う事。

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「………ということで、テリーくんの言った通り、名前はブリーダーが愛情を込めて付けてるんだよ♡」

「わぁ、そうなのね!ありがとうラー様♪」

圧倒的熱量を持った愛溢れる語りに真っ白になったイオンウーウァの脳内を察したラートンがそっと結論だけを纏めてくれ、イオンウーウァはちょっとホッとした顔で微笑んだ。

ここここけこけこ♪(ツガイ!ソンナコトヨリノレヨ!ハシローゼ!)
ぎょるるるるぐるるるん♪(オレニノルダロ?オレニノルダロ?)

「あらあらまぁまぁ、うちの子がどうもすみません。」

そんなイオンウーウァの脇に明けの明星丸と韋駄天丸がスリスリと鼻面を擦り付け、テリーくんのおかぁさんがテリーくんをラートンから受け取りつつ韋駄天丸の鱗にさりげなく腕で触れてニコニコする。

そんなおかぁさんの腕の中のテリーくんもそっと垂らした腕で明けの明星丸の艶かでふさふさしてる鬣混じりの首元の羽に触れて嬉しそうにしていた。

(親子ってすごーく似るのね…。と言うことは……私も…?)

じ、と幸せそうな親子を観察し、そんな事を考えるイオンウーウァと、そんなイオンウーウァを見て、

(可愛い僕の番さん♡♡さっきから凄く親子を見詰めてる……♡♡物思いに更ける番さん可愛い♡やっぱり、早く家族が欲しいんだろうか…?あああ、今すぐ結婚して早く暖かい家庭を……♡♡)

等と脳内が10年位未来に吹っ飛ぶラートンだったが、はたらくいきもの大好き親子はそんなこと露とも知らず、嬉しそうに韋駄天丸と明けの明星丸を見詰めているのだった。





「さあ、明けの明星丸!今日は若様&番様が居るからって散歩じゃないよ、ちゃんと仕事しないと次からは若様に散歩に連れてって貰えないぞ!」

きゅるるるるるんぴゅーーい!ぴゅーーい!ぴゅぅぅぅぃ!!(イヤァァァ!ウエーーーン!)

すっかりラートンとイオンウーウァと一緒にお出掛けするつもりだった明けの明星丸が使用人に引き摺られ哀しそうな鳴き声を残して去っていき、それをタイミングに親子もラートン達に礼を言って帰っていった。

「ありがとうございます!今日はグリフィンに触らせて頂けて、本当にありがとうございます。息子も私もとても良い思い出になりました♪」

「ありがとうございました!!これからもボクは明けの明星丸をおうえんしてます!!」

ニコニコと手を振る親子に手を振りながら、イオンウーウァはそっとラートンのはち切れんばかりの筋肉が詰まった胸元に凭れかかる。

「わぁ♡♡僕の奥さんが甘えた♡♡わぁわぁ♪何だか嬉しいな♪僕、溶けちゃうよ♡♡」

その言葉通りに瞳を蕩けさせたラートンだったが、デロデロに溶けた笑顔とは裏腹に、イオンウーウァをお姫様抱っこするとしっかりした足取りで韋駄天丸の背にイオンウーウァを乗せた。

「……名前かぁ……。」

ぽそりと呟いたイオンウーウァの言葉は後ろに跨がったラートンにはしっかり聞こえていたけれど、何だか独り言のようだったので聞き返さず、ラートンはただ、その可愛い灰紫がかった深緑の頭頂にキスを落とすだけに留めた。


"イオンウーウァ?イオンウーウァというの?僕の奥さんは名前まで愛らしいね♡菫と葡萄と云う意味だ。その愛らしい瞳の色から付けられたのかな?"

"名前はブリーダーが愛情を込めて付けてるんだよ♡"



紫紺の瞳を蕩けさせた笑顔で、初めて逢った日のラートンが言った言葉、そして、先程聞いた言葉……。

2つの言葉が、イオンウーウァの頭の中で何度もリフレインしていた。





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