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41: 朝5時に美容院予約したネオン・ブレーカーです!おはようございます!

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ピュウと吹く風がキリリと冷たくて、コートを着てても何と無く肌寒い。

そんなカラッと乾燥した初冬の朝に、俺は公園の噴水を眺めながらソワソワしていた。
空は高く、綺麗なスカイブルーで、俺のスカイブルーと黒のゼブラ柄ストールと良く合っていた。何だか幸先が良い気がする。

ジュリアは今日の俺を見たら何と言うだろうか。

俺は染めたばっかりの毛先を弄びながら、数時間前を思い出していた。

ーーーーー
ーーー



「ごめんね、朝早くに。でも、どうしても染めたてにしたくてさ。」

「まっかせてよネオン~♡あんたの初デートなんでしょ??気合入るわー!それで?今回は何色にする??」

俺の言葉に上機嫌で鏡越しウィンクを寄越してくれる行きつけの美容師、トリカラーに、俺はモジモジしながら切り出した。

「それなんだけどさ、最近…ちょっとくすんだ感じのピンクって良いなって思っててさ……サーモンピンクとか、アンティークローズとかさ……へへへ。」

はい、ジュリアのえーきょーです!

ジュリア色に染まりたい♡……とかじゃぁ無いんだけど、連日?連夜?ジュリアと過ごしてて、ジュリアの褐色の肌を引き立てる、あのセクシーなくすみピンクが、何か良い色だよなぁ…って。

別に、ジュリアのトレードカラーを俺も身に付けたい、とか、俺もジュリアの付属品♡になりたい♡♡だとか、そーゆー訳じゃない!断じて!…………ちょっと深夜にそーゆー気分というか、妄想しちゃう時もあるけど、決してそーゆー訳じゃない!

なんて、心の中で言い訳して更にモジモジする俺を、鏡越しに冷ややかに見下ろし、トリカラーは溜め息を吐いた。

「はぁー、あんた。それ、ジュリアのトレードカラーじゃない。」

「ぁ、…ふぐぅ……☆∂∀:∞…」

ぐさりと突き刺さる一言に、何とも言えない声が出る。

「はーぁ…全く。あんただって判ってるデショ?あのくすみピンクは!ジュリアが着るから!あんなにセクシーな色なのよ!」

そーですよね!そーでしょーとも!

「人の彼氏の事をキャーキャー言うのもナンだけどさー、あのジュリアの艶々浅黒パーフェクトボディだからこそ、浅いピンクやくすみピンクが似合うんでしょ?あの浅黒滑らか肌をより綺麗な色に見せるって判ってるから、ジュリアはいつもあーゆーピンクを着てるんでしょ?」

「デヘヘ…彼氏だなんて……へへへ…。」

「そこに反応してニヤけちゃうんだ。幸せねぇ…。」

そうなのだ。
いつもジュリアはピンク系のシャツを好んで着てるのだが、自分の肌をより綺麗に魅せる系のピンクばかり選ばれているのだ。うっすら藤色がかったくすみピンクや、浅いサーモンピンク、真っ白にゴールドの刺繍と薄ピンクのピンストライプ…。
どのシャツも、より彼の肌を色濃く、血色良く、そして異国的に見せる様になっている。

も、ホントにセクシーで、俺、実はピンクって好きじゃなかったんだけど、何かピンクって良い色だなぁ~って思うようになってきたんだよね…♡

「あんたに似合わない色だって、判ってるデショ?その色はダメよ。」

うん、俺がサーモンピンクを着たら何かもう頭お花畑の女装男子爆誕!って感じになるだろうな、うん、そうだよね。わかってるんだけどさー…。髪の毛半分位ならありかなーって思ったんだよね、ほら俺の父上ピンクゴールドヘアだし…。

なんて、心の中でしか言い訳できなくて小さくなる俺に、トリカラーが戸棚から出してきた瓶をビシッ!っと突き付けた。

「あんたに似合うのは、この目を突き刺すよーなショッキングピンク!その名も、"ホットショックキャンディショッキング"よ!」

う"っ!サンプルの毛束が眩しい!なんてピンクだ!!

「最高ーー☆!!これ!これにするぅ!!」

「デショデショ!サイッコー☆に可愛いピンクデショー!!さぁ、バッチリ決めるわよー♪」

あんまり綺麗なピンクだったもので、一目惚れした俺は早速染めて、反対側の編み込み部分も今日は細かいコーンロウにして貰い、その後デート服に着替える為に急いで帰宅した。

ーーーーー
ーーー



そうして今、待ち合わせには大分早い時間に到着してしまい、俺はソワソワと落ち着かなく踵を上げ下げして、噴水の煌めきを見詰めていた。

何せ、ジュリアとのデートも初めてだし、人生初のデートなんですよ!もう、ベンチに座ってなんかいられないんですよ!!

「くぅぅ~~…!ドキドキするなぁ!」

耐えきれなくて、揺らぐ水面を見詰めながら声に出してみれば、水の中の俺もシアンブルーの瞳を瞬かせて緊張に喘いでいた。

サラサラドピンク髪と金髪コーンロウの頭に、スカイブルーのストールに白黒ゼブラのタイトなウール地コート、スカイブルーのズボン、黒のブーツの紐はショッキングピンク。
キメにキメたコーディネートが、外骨格の様に俺を支え、励ましてくれる。

「…………すぅー……はぁー…。」

約束の時間迄後三十分。俺はそっと深呼吸を繰り返した。


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