上 下
36 / 76

36: 悪態は御褒美なのです。

しおりを挟む


「で、ジュリアと付き合い始めた訳なんだけどー。」

此処は乙女心と恋心のアパルトマン。

俺は、多分今、デレッデレに溶けた顔をしている。
対する乙女心と恋心、それに虹の玉とオーロラとビアホップと玉綴りはげんなり顔だ。
だが俺は気にしない。俺達には、誰かが色恋で浮かれきった時、例え相手がげんなり死んだ魚の目をしていよーが砂狐の目をしていよーが心情を捲し立てて良いと云う暗黙のルールがあるからだ。

「はぁ~……それはおめでとー。人生初めての春だもんねー。良かったわねー。はーめでたいめでたいーパチパチパチー…」

「あああ……他人のノロケ程耳が腐るもんもないわ……。」

「うぇーー……砂と砂糖を山程吐き出した気分~♪」

「ちょっとこのミートパイでも口に突っ込んで黙りなさいよぉ。」

くふふふふふふ♡皆の塩対応がむず痒い!こ、これがコイバナか!

こっち側になるのは初めてなので、俺は塩対応にくふくふと笑いで答えた。

「やだもー。笑い声までキショいわ。すっかり逆上せて…ホント、幸せそうねーww」

恋心が呆れた声を出して目をぐるりと回して見せながらも、紅茶を目の前に置いてくれる。何だかんだで彼はマスターに負けず劣らずの世話焼きなのだ。

「はー…でも、そんだけラブラブしててもヤらなかったし、項も噛まないもんなのねぇ…。ジュリア、前からネオンに凄くご執心だったから、てっきり番にしちゃうかと…。」

「……多分、ジュリアは元貴族でしょ?……ネオンが貴族なの察して我慢したんじゃない?ほら、未婚でそーゆーの、貴族はダメなんでしょう…?」

「……えっ、じゃぁ、愛ゆえに耐えたってことぉ??ヒュー♪ネオン愛されてるぅ…♪あの入れ込み様なら、耐えるのもカナリ辛かっただろーにさぁ…」

「しかも、ネオンのチョロ度なら、やろうと思えば簡単に項噛めただろうにね…。はぁ♡アタシダメなのよ、そーゆーの。ドキドキしちゃう♡♡恋愛小説みたいだわ♡」

「いいなー♡アタシも恋したいー!」

なんて、虹の玉とオーロラとビアホップと玉綴りがヒソヒソと会話してたのだが、恋心と乙女心に、如何にジュリアの程好く低い穏やかな声が俺の腰に甘い痺れを齎すかを熱烈に語ってた俺は全く気付かなかった。

「はいはい!はいはい!ジュリアはイケボ!もーそれでいーから!暑苦しい!あっちいって!!」

「んもーー!これだから初恋愛で浮かれるドーテーは!!鼻息かけないで!」

「むほほ!何とでも言いやがれ!今日は俺のターン!今日は俺のターン!!」

うはは愉快痛快!
俺は口々に悪態を吐きながらワシャワシャ髪を撫でたり、ムギュッ!と筋肉ハグをしてくれる友人達に囲まれ、揉みくちゃになりながら幸せを噛み締めた。

あんなに好きで、十年以上追い続けていたオキナ・タカサゴの事は薄情?にもスッポーーンと頭の中から抜け落ちて、最早失恋したことすら忘れていた。

学園以外は如何にジュリアと過ごし、ジュリアと何を話し、何を食べるか、そんな事ばかり考えて過ごしていた。


だって、今更オキナが俺を気にし出すなんて、普通思わないだろう?



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

離縁は恋の始まり~サインランゲージ~

cyaru
恋愛
相思相愛と言われ、来年には結婚を控えていたビオレッタとライネル。 兵士であるライネルはビオレッタの父に結婚を許してもらうために奮闘し、武功をあげて今では隊長職にまでなっていた。 戦地から帰還したライネルの誘いでビオレッタは待ち合わせ場所でライネルを待っていた。 しかし、約束の時間を過ぎてもライネルは来なかった。 ライネルが約束の時間通りに来ていればビオレッタは事件に巻き込まれる事もなかったが、遅れたばかりにビオレッタには生涯消える事のない傷を負ってしまった。 見舞いにも来ないライネルから花が届いた。その花に全員が硬直する。 ビオレッタは「ライネルの気持ち」なのだと婚約の解消を決意し、当主の間で婚約は解消になった。 ライネルにしてみれば青天の霹靂。どうして婚約が解消になったのかも判らない。 当主である父が勝手に解消してしまったと、復縁を願うライネルはビオレッタが負傷する原因となった犯人を捕縛。その褒賞として国王に「何が願いか」と問われ「ビオレッタを妻に」と願い、目出度く王命によりビオレッタを妻に迎える事となったのだが・・・。 初夜。ライネルがビオレッタの部屋を訪れることはなく、帰ってきたのは昼過ぎだった・・・。 ★例の如く恐ろしく省略しております。 ★1月27日投稿開始、完結は1月28日22時22分です。 ★シリアスを感じ、イラァ!とする展開もありますが、出来るだけ笑って頂け・・・お察しください。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。

王道転校生に「愛を教えてやるよ!」と言われたんだが

こと
BL
庶民産まれ庶民育ちの主人公・東西幾月(とうざいいつき)は、母親の再婚がきっかけで、王道学園へ。 周りに合わせながら、生徒会副会長として何とか過ごしていたが、王道転校生の登場によりすべてが台無しに。 その後いろんな人に好かれたり嫌われたり貶められたり追い詰められたりカワイソーな目に合ったりしながらアイデンティティを確立していく話にしていく予定です!ルート分岐あり(王道生徒会長、王道転校生くん、友人)、ルートによってはリバあり、なんでも許せる人向け。 ※他サイトに投稿したものを改稿しております

冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~

日之影ソラ
ファンタジー
タイトル統一しました! 小説家になろうにて先行公開中 https://ncode.syosetu.com/n5925iz/ 残虐非道の鬼女王。若くして女王になったアリエルは、自国を導き反映させるため、あらゆる手段を尽くした。時に非道とも言える手段を使ったことから、一部の人間からは情の通じない王として恐れられている。しかし彼女のおかげで王国は繁栄し、王国の人々に支持されていた。 だが、そんな彼女の内心は、女王になんてなりたくなかったと嘆いている。前世では一般人だった彼女は、ぐーたらと自由に生きることが夢だった。そんな夢は叶わず、人々に求められるまま女王として振る舞う。 そんなある日、目が覚めると彼女は少女になっていた。 実の姉が魔女と結託し、アリエルを陥れようとしたのだ。女王の地位を奪われたアリエルは復讐を決意……なーんてするわけもなく! ちょうどいい機会だし、このままセカンドライフを送ろう! 彼女はむしろ喜んだ。

【完結】愛されなかった私が幸せになるまで 〜旦那様には大切な幼馴染がいる〜

高瀬船
恋愛
2年前に婚約し、婚姻式を終えた夜。 フィファナはドキドキと逸る鼓動を落ち着かせるため、夫婦の寝室で夫を待っていた。 湯上りで温まった体が夜の冷たい空気に冷えて来た頃やってきた夫、ヨードはベッドにぽつりと所在なさげに座り、待っていたフィファナを嫌悪感の籠った瞳で一瞥し呆れたように「まだ起きていたのか」と吐き捨てた。 夫婦になるつもりはないと冷たく告げて寝室を去っていくヨードの後ろ姿を見ながら、フィファナは悲しげに唇を噛み締めたのだった。

王道な物語の裏では

ふじの
BL
王であるリオンはある日突然前世の日本人だった頃の記憶を取り戻し、自分が転生している事を知る。この世界は前世の日本で流行っていたBL漫画と同じ世界で、自分は訳あって女装して嫁いで来た他国の美貌の王子と結ばれるストーリーだった筈だ。 しかしそれには大きな問題が一つあった。リオンは確かにBL漫画の中では攻めだったが、前世のゲイでネコだった記憶を取り戻した今はガタイの良い男に組み敷かれたいという願望しかない。そう、まさに今目の前に跪いている屈強な色男、騎士団長のフィンの様な男がタイプだった。

BLゲームの世界に転生!~って、あれ。もしかして僕は嫌われ者の闇属性!?~

七海咲良
BL
「おぎゃー!」と泣きながら生まれてきた僕。手足はうまく動かせないのに妙に頭がさえているなと思っていたが、今世の兄の名前を聞いてようやく気付いた。  あ、ここBLゲームの世界だ……!! しかも僕は5歳でお役御免の弟!? 僕、がんばって死なないように動きます!

公開凌辱される話まとめ

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 ・性奴隷を飼う街 元敵兵を性奴隷として飼っている街の話です。 ・玩具でアナルを焦らされる話 猫じゃらし型の玩具を開発済アナルに挿れられて啼かされる話です。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

処理中です...