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33: これはピロートークというヤツかもしれません。

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そのまま、俺達は布団で出来た柔らかな洞窟の中で何度も見詰め合い、何度もキスをした。

ヒートではない、素面で感じる恋愛のキスは凄く刺激的で、只唇でジュリアの唇の厚みや柔らかさ、少しの固さ、反発する心地よい弾力を味わってるだけなのに、頭が蕩けるんじゃないかと思う程甘かった。

鼻で鼻を突っついたり、額を擦り合わせているだけなのに、どんな笑い話より可笑しくて、どんなゲームよりも楽しくて。

只触れるだけの行為が擽られてるより擽ったくて、俺達はクスクスと笑いっぱなしだった。

暖かな暗闇の中、ジュリアに乞われるまま俺は色んな事を話した。

ブレーカー家は、武で名の知れた家門で、俺の父も母もαとαから生まれたαであること。分家筋も全部そう。
だから、一族にβって本当に少なくて、"出来損ない"βはおじさんが三人位。俺は9男6女の内の5男なんだけど、俺以外の8男6女皆α。家門でΩが生まれた記録は、百年遡っても無い。そんな激レアが俺。

一歳の誕生日の時に、母の母方のお祖母さんの一人が「この子はΩだと思う。」って言ったらしいんだけど、誰も信じなかった。

その後、普通に他の兄弟達と一緒にビシバシしごかれて…、俺はαの姉妹達よりも、出来損ないβよりも出来損ないだった。
それで俺が四歳の時に、父がもしやと思って数人の占い師に依頼した所、全員が俺をΩだと占った。

「だから、何か間違いが有ったら困るからって、そこからは俺は離れで一人で暮らしてたんだ。使用人は全部βで、家庭教師だけは皆と同じ先生だった。」

「…~~∞@ゑヰヱ∂☆…!」

そこまで話した時に、何だかジュリアが何とも言えない呻きの様な悪態の様な溜め息の様な音を出してたけど、先程より深く潜り込んだ温かい布団の洞窟の中は暗くて、見上げたジュリアがどんな顔をしているのか判らなかった。只、俺の背を優しく撫でるジュリアの手がとても心地好かった。

「…家庭教師は年上の再従兄弟なんだっけ…そいつもαとαから生まれたα?」

「そうそう、イリア・クリスタル先生。…うん。うちの一族は皆αとαから生まれるんだ。サラサラした青白い髪が綺麗な先生でね…」

背中を撫でる指先と穏やかな声に促されて、俺は再び話し出した。

家の騎士団長と兵団長に、兄弟姉妹と同じ様にビシバシ武術を叩き込まれたせいか、どうも骨太で、βっぽい見た目なのが少しコンプレックスであること。

「俺は好きだけどな…。それに、ネオンは十分華奢だ。」

なんて言ってくれるジュリアの言葉が擽ったい。

ファーー!そりゃ、ジュリアよりはかなり華奢だけどさぁ!
さっきもほぼ片手でベッドに連れ戻されたけどさぁ!うひー!

なんて心の中で悶絶しつつ、俺は話し続けた。
暗くて、俺が真っ赤になってるのが判らないのは幸いだな。

「フフ、ネオン。急にホカホカしてきたぞ?もしかして照れたのか?フフフ、頬も耳もホカホカだ…♪」

ごそごそと、俺の背中を撫でていた指が這い登ってきて、頬を、耳を撫でる。くぅ、まさかそんなバレ方するなんて!

俺は恥ずかしさを必死に頭から振り払い、耳元でこしょこしょ囁くジュリアの頬をキュッとつねって言葉を繋げた。

「と、兎に角そんな感じで、家庭教師に、間違いが有る前にαである御家族とは離れた方が宜しいでしょうって言われてたから、12の学園入学を契機に一人暮らし始めたって感じだよ!いじょ!俺の話終わり!!」

「はぁぁっ!?間違いが有る前に??家族なのに??」

もう話を終わらせようと思って纏めたら、凄い食い付かれてしまった。

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