【R18】平凡Ω？いいや、俺は嫌すぎΩだ！

19: 筒抜けだとは知りませんでした。

平常心平常心、平～常～心～♪

虹の玉から貰ったジャスミンとイランイランの香りがするバブルバスに浸かり、俺は変な歌を歌いながら体を丹念に洗った。シャンプーして、リンスして、全部流したら同じ香りのローションを濡れた体に一通り塗り、顔から頭皮から全身、足の裏や爪先、指の間までゆっくりマッサージしながら馴染ませていく。

屋敷では入浴の補助を受けていたけれど、その時はこんなマッサージなんてされなかったから、貴族がどんなマッサージを受けてるのかは知らない。でも、乙女心と恋心と一緒に風呂入ったりして教わったこのマッサージ法は国を越えた踊り子達の技術の粋だと俺は思ってる。

このまま誰にも貰われずに学園を卒業したら、多分俺は平民になるんだけど、どっかの屋敷の侍従とかもアリかもしれないな♪

可愛いΩを毎日俺が磨いてやって、意中のαとの茶会にはピアノを弾いてやるんだ♪なーんちゃってなーんちゃって…。

「いやいや、貴族のΩが貰われずに平民になんかなるかよ…。一体どんな育ちしたら、そんな発想になるんだ…。」

壁の薄いボロアパート、俺の独り言から変な歌、妄想までぜーーんぶジュリアに筒抜けだなんて全然知らなかった俺は、そんな感じで色々垂れ流しながら風呂から上がり、お気に入りのボディパウダーをはたいて下着をノリノリで選んだ。

だって仕方無くない？今まで客をリビングに残して風呂とか入った事無かったからさー。

「ハィ♪ネオン♡今日みたいな日には俺様、ピンクの♡柄パンツにするだろ？」「イヤイヤ、ビシッとこの俺、水色ヒョウ柄で決めるに決まってるぅ！」「キャー！ネオン！キャー！私を履いてぇ♡貴方の大好きなトリコロールカラーよ♡」

「アイツ、何やってンだ…パンツで一人芝居とか…。てか、パンツも派手なのかよww」

リビングでジュリアが呆れてるが、俺はそんなこと知らずに蛍光イエローに水色とピンクとカラフルな上にヒョウ柄やらゼブラ柄が描かれた一番のお気に入りパンツを履いてドレッサーの前に飛び込んだ。

ささっとクリームを塗り、鎖骨だとか目尻だとかにちょちょいとラメやパールを施す。
髪の毛を乾かしながら整え、金髪部分を編み込みにしていく。
ピアス、蛍光イエローのシャツとジャケットと黒の変形したズボン。靴下にピカピカのイエローのエナメル靴。

最後にサッとコロンを振った俺は深呼吸一つしてからリビングの扉を開いた。


「お待たせ、ジュリア。………って、何だまだ寝てるや。」

狸寝入りが本当に寝てしまったなんて知らない俺は、よっぽど疲れてるんだな、なんて可哀想になり、お茶を出涸らしでお代わりして少しだけ寝かせてやることにした。