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4: 憧れのスーパームーンキャット様の名はアレキサンダー様
しおりを挟む俺は、しおしおと大人しい仔猫の様に従った。
アレキサンダー殿が俺の鼻に鼻をつけ、匂いを嗅ぎ、額に額を合わせてくれる。はゎゎゎゎ……。溶けちゃう……。
髭と髭を交わし、尻尾を絡め、お互いのムルーンな喉の音でお互いを揺らし合う。はゎゎゎゎ……。ダメェ…尻尾の付け根が疼いちゃうよぉ♡
俺達全猫種族達の頂点、月の裏側にお住まいの猫族であるアレキサンダー殿。何故だか知らにゃいが、俺はこのスーパームーンキャット様に初めて種族サークルに入った頃から目を掛けて頂いていて、時々こうやってお声を掛けて貰えるにゃだ。はにゃにゃにゃにゃにゃ…。もぅ、本当に溶けちゃう。
俺は猫は液体であるという理論を証明するかのようにスライミィな感じでアレキサンダー殿の後をついて庭園へと向かった。
途中、完全室内ガイ仲間のカウチキャットマイコーと外猫のコードネーム:TIGERが俺を呆然と見ていたけど、俺は彼等に目配せも出来ずにひたすらアレキサンダー殿の横を歩き続けた。
本当にゃら、マイコーやTIGERにもっと、この俺の選ばれし猫っぷりを盛大にアッピールして、コッチを羨望の眼差しで見たり、嫉妬の緑の瞳を向けてきたりしてる他の猫達にも盛大に尻尾を揺らして自慢したいし、そうするのが俺様の俺様な性格にゃんだけれにょも……。
どーも、アレキサンダー殿の横に居ると骨が震えて体が溶けてしまいそうになるので、形を保ってるだけで精一杯にゃにゃにゃ。
白い沢山の花々が時を止められた様に咲き誇る庭園に足を踏み入れる。
いつ来てもお花が綺麗だけど眺める余裕すらない。此処は月に住まう猫族の許可がないと入れないから、貴重な機会なのに。
そんな俺を、アレキサンダー殿が鼻でツンツンと頬っぺをつついて笑う。
「ハハハ…仔猫君は相変わらず緊張しぃだね。もっとリラックスして。ムルーンに行こうじゃないか…。」
ぁぁぁぁぁ……。つぁりつぁりとアレキサンダー殿の舌が!俺の首を!顎の下を!ぁぁぁぁぁ……。
俺達は、庭園の一角にある東屋で、備え付けてある沢山のクッションに埋もれつつ、寛いでいる。
トロトロのふにゃふにゃになった俺をアレキサンダー殿はうっそり笑んで見詰めると、高らかに喉を鳴らした。
え?さっきからムルーンムルーンて言ってるけど、それはどんな意味なのかって??
よくぞ聞いてくれた!
ムルーンとは、ニンゲン風に言うと、スーパーハイパーパーフェクトキャットな感じ♡って意味かな♪
つまり、猫にとって最大の賛辞なのだ♪
発音する時は、舌の上でトロットロの甘ーい刺身の切り身でも転がすように発音するんだぞ♪
あ、ニンゲンは蛋白質の甘味を余り感じないんだっけ?
なら、チョコでも転がしとくのだ!好きだろ?ニンゲンはチョコをさ。
但し、猫族様や犬どもには毒だからな!
ふにゃにゃ……話が逸れたゃ……。
兎に角、スーパーハイパーパーフェクトキャットなアレキサンダー殿に毛繕いされてトロトロになってる今の俺は、非常にムルーンな気分だって事だ。
後、アレキサンダー殿は全てがムルーン。
俺は優しくうなじをハミハミされながら、うっとりとクッションを揉んだ。
「仔猫君、君に祝福と加護を。…どうか、ムルーンな日々を送り給え……。」
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