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8: 我、魔王。只今、我のターン。

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「……かはっ……、……ぅ…。」

先程まで魔王に好き放題犯されていた舌と喉は中々勇者の思うようには動かないらしく、微かに舌が動いたのが判った程度で殆んど声は聞き取れなかった。
だが、魔王は片眉を跳ね上げて耳を澄まし、辛抱強く待った。

「ッ…ヒュ……り、…んで……る、とも、します……ぉれ、是非、りんでーると……魔王、よるのだーる、さま……♡」

魔王と勇者は何時の世も戦い、激しく憎み合い、そして、勇者に倒された魔王の闇は浄化され世界に還元する。
そしてまた少しずつ闇が凝って魔王となり勇者と出会って倒される。無限に果て無き円環、輪廻、それがこの世界の理。

(だが、此度の勇者は世界の理から外れているらしい。)

『リンデールと名前で呼んで欲しい』

朦朧とする中でも嬉しそうに瞳を蕩けさせてそう乞うた勇者に、魔王は吹っ切れた様に嗤った。ハハハ、と乾いた嗤い声が大理石に反響し、冷たく響き渡る。

(良いだろう。理から外れた先に、何が待ち受けているのか、一緒に見てやろうではないか。)



ああぅ、と小さく勇者が喘いで全身を震わせる。
寛げた素朴な生地のズボンから中途半端に覗く勇者のソレが自身の白濁に濡れていた。

名前とは、その者の魂に直結したモノ。魔力を込めて名を呼ぶ行為は、そのモノを呼んだ名で縛り、時に変質させる事も可能となる。
だからこそ、歴代勇者は沢山の人々に勇者、勇者○○様と呼ばれ、勇者らしくなっていく。
そうやって勇者として確りと育った魂は、魔王が魔力を込めて呼んだ程度では揺らぐことはない。
だが、此度の勇者の魂は己が勇者であるという認識を拒み、女神の加護という手垢を一切付けずに魔王の元へと現れた。

(全く……一周廻って可愛く思えてくる程の愚かさだ。)

無垢で柔らかな魂に魔王の魔力は容易く染み入り、奥の奥まで貫き、ひと度名を呼ぶ毎に闇を注ぎ込んでいく。

勇者の力で闇が少しは浄化されていくものの、それを上回る量の闇を注いでいるため、勇者の右手の甲の紋章をじわじわと闇が取り囲み、刺すような白々した紋章の輝きが、黄金色になりつつある。
そして、この様な事態になっても女神の介入が一切ない。
その事実はとても甘く、魔王を大いに喜ばせた。

勇者は最早、魔王の手の内鳥籠の中だった。

「愚かな…。名を呼ばれただけで果てたか?どうだ?気分は……ククッ」

ひっ……ぁ、ああっ……

魔王が名を呼ぶ度に勇者の身体が跳ね、小さい喘ぎ声がさわさわと反響する。
魔王の凝った闇が鋭い触手を形作り、素朴で使い古され薄くなった勇者の衣を引き裂いていく。
露になった勇者の裸体の中央、勇者自身の白濁にまみれたソコを、魔王は悪戯に触手で弾き、意地悪な笑みを浮かべた。

「成る程、よ。貴様平民の子か。姓も真名もない、正真正銘のなのだな……。そんなお前が、女神から神殿で真名も託宣されず受け取らずに我に名を晒すからこうなるのだ。」

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