8 / 22
8: 我、魔王。只今、我のターン。
しおりを挟む「……かはっ……、……ぅ…。」
先程まで魔王に好き放題犯されていた舌と喉は中々勇者の思うようには動かないらしく、微かに舌が動いたのが判った程度で殆んど声は聞き取れなかった。
だが、魔王は片眉を跳ね上げて耳を澄まし、辛抱強く待った。
「ッ…ヒュ……り、…んで……る、とも、します……ぉれ、是非、りんでーると……魔王、よるのだーる、さま……♡」
魔王と勇者は何時の世も戦い、激しく憎み合い、そして、勇者に倒された魔王の闇は浄化され世界に還元する。
そしてまた少しずつ闇が凝って魔王となり勇者と出会って倒される。無限に果て無き円環、輪廻、それがこの世界の理。
(だが、此度の勇者は世界の理から外れているらしい。)
『リンデールと名前で呼んで欲しい』
朦朧とする中でも嬉しそうに瞳を蕩けさせてそう乞うた勇者に、魔王は吹っ切れた様に嗤った。ハハハ、と乾いた嗤い声が大理石に反響し、冷たく響き渡る。
(良いだろう。理から外れた先に、何が待ち受けているのか、一緒に見てやろうではないか。)
「リンデール」
ああぅ、と小さく勇者が喘いで全身を震わせる。
寛げた素朴な生地のズボンから中途半端に覗く勇者のソレが自身の白濁に濡れていた。
名前とは、その者の魂に直結したモノ。魔力を込めて名を呼ぶ行為は、そのモノを呼んだ名で縛り、時に変質させる事も可能となる。
だからこそ、歴代勇者は沢山の人々に勇者、勇者○○様と呼ばれ、勇者らしくなっていく。
そうやって勇者として確りと育った魂は、魔王が魔力を込めて呼んだ程度では揺らぐことはない。
だが、此度の勇者の魂は己が勇者であるという認識を拒み、女神の加護という手垢を一切付けずに魔王の元へと現れた。
(全く……一周廻って可愛く思えてくる程の愚かさだ。)
無垢で柔らかな魂に魔王の魔力は容易く染み入り、奥の奥まで貫き、ひと度名を呼ぶ毎に闇を注ぎ込んでいく。
勇者の力で闇が少しは浄化されていくものの、それを上回る量の闇を注いでいるため、勇者の右手の甲の紋章をじわじわと闇が取り囲み、刺すような白々した紋章の輝きが、黄金色になりつつある。
そして、この様な事態になっても女神の介入が一切ない。
その事実はとても甘く、魔王を大いに喜ばせた。
勇者は最早、魔王の手の内だった。
「愚かなリンデール…。名を呼ばれただけで果てたか?どうだ?リンデール。魂を犯される気分は……ククッ」
ひっ……ぁ、ああっ……
魔王が名を呼ぶ度に勇者の身体が跳ね、小さい喘ぎ声がさわさわと反響する。
魔王の凝った闇が鋭い触手を形作り、素朴で使い古され薄くなった勇者の衣を引き裂いていく。
露になった勇者の裸体の中央、勇者自身の白濁にまみれたソコを、魔王は悪戯に触手で弾き、意地悪な笑みを浮かべた。
「成る程、リンデールよ。貴様平民の子か。姓も真名もない、正真正銘のリンデールなのだな……。そんなお前が、女神から神殿で真名も託宣されずに我に名を晒すからこうなるのだ。」
11
お気に入りに追加
691
あなたにおすすめの小説
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
【完結】なぜ、王子の僕は幽閉されてこの男に犯されているのだろう?
ひよこ麺
BL
「僕は、何故こんなに薄汚い場所にいるんだ??」
目が覚めた、僕は何故か全裸で拘束されていた。記憶を辿るが何故ここに居るのか、何が起きたのかが全く思い出せない。ただ、誰かに僕は幽閉されて犯されていたようだ。ショックを受ける僕の元に見知らぬ男が現れた。
なぜ、王子で最愛の婚約者が居たはずの僕はここに閉じ込められて、男に犯されたのだろう?
そして、僕を犯そうとする男が、ある提案をする。
「そうだ、ルイス、ゲームをしよう。お前が俺にその体を1回許す度に、記憶のヒントを1つやろう」
拘束されて逃げられない僕にはそれを拒む術はない。行為を行う度に男が話す失われた記憶の断片。少しずつ記憶を取り戻していくが……。
※いままでのギャクノリと違い、シリアスでエロ描写も割とハード系となります。タグにもありますが「どうあがいても絶望」、メリバ寄りの結末の予定ですので苦手な方はご注意ください。また、「※」付きがガッツリ性描写のある回ですが、物語の都合上大体性的な雰囲気があります。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
配信ボタン切り忘れて…苦手だった歌い手に囲われました!?お、俺は彼女が欲しいかな!!
ふわりんしず。
BL
晒し系配信者が配信ボタンを切り忘れて
素の性格がリスナー全員にバレてしまう
しかも苦手な歌い手に外堀を埋められて…
■
□
■
歌い手配信者(中身は腹黒)
×
晒し系配信者(中身は不憫系男子)
保険でR15付けてます
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
悪役の弟に転生した僕はフラグをへし折る為に頑張ったけど監禁エンドにたどり着いた
霧乃ふー 短編
BL
「シーア兄さまぁ♡だいすきぃ♡ぎゅってして♡♡」
絶賛誘拐され、目隠しされながら無理矢理に誘拐犯にヤられている真っ最中の僕。
僕を唯一家族として扱ってくれる大好きなシーア兄様も助けに来てはくれないらしい。
だから、僕は思ったのだ。
僕を犯している誘拐犯をシーア兄様だと思いこめばいいと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる