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心の整理を付けられるよう、今は時間が少し必要だろうと、呆然としていたミオを休ませる為に部屋に戻すと、ロドの表情は一変した。
「生きながらえているから隙を作ろうと言うわけか?」
鋭い目つきだが、口元だけ歪む。
この世界では力が全てだ。だからこそ呪いを受けても生きているロドの力に怯えているのだろう。自分の息子を王につかせたいが為に。
ロド自身は権力にも地位にも固執しているわけではないが、ミオをロドの弱点とし、攻撃を仕掛けてくるというのならば話は変わる。
ミオが望めば権力を手にするくらいの思いだったが、ミオがそんな事を望むわけがない。
二人で静かに……穏やかに暮らしていく事だけを望んでいた。ミオをこの世界に喚ぶまで、王子という地位に居ただけにすぎなかっただけなのだが、現状を考えると望ましくない。
「……始末するか」
呟いたところにノックの音が響き、ハイルが入ってきた。
「分かったか?」
「第一王女が王妃である自分の母親と手を組んでの計画でした」
ハイルの情報収集能力は突出しているが、周囲に知られると何をされるか分からない為に隠密での行動も突出させた為に、短時間で仕事をこなす側近となっていた。
やはりというか予想通り、ミオに嫌われてスキが出来ればと思ったそうだ。確かにそのおかげで呪いは増幅してしまったのが悔しいところだ。
自分は第一王子だが、母親は第一側室だが、第一王子を生んだという嫉妬からか既にこの世から旅立っている。
第三側室も亡くなっており、第二王女を産んでいるが、それは第二側室が自分の子どもと一緒に育てているようなものだ。というのも、第二側室が生んだ第三王女は生きているが、第二王子は幼い頃に呪い殺されてしまっているからだ。
三人で慎ましく、王族とは関係ありませんと言わんばかりに仲良く遠い地で療養という名目で暮らしているそうだ。自分もそこに誘われたが、狙われている自分も一緒に行けば苦労をかける事など目に見えてわかっていた。
それに何より……ミオを迎える準備をしたかったのだ。何においても。
あの時から……
「王妃と第一王女には退場してもらうか」
「王妃が生んだ第三王子はどうされますか?」
「害がないなら放っておく……害がないならな」
二度言った事によって含みを持った言葉の意味をハイルは気がつき、頭を下げると緊急用の呼び出しに使う式神のようなものを置いて、ロドの邪魔をしてはいけないと言わんばかりに退室して行った。
「苦しみぬけ」
奇妙な文言のようなものを唱えると、周囲に黒く細い靄が何本も現れたかと思うと螺旋状の陣を描き、どこかへ向かっていった。
「生きながらえているから隙を作ろうと言うわけか?」
鋭い目つきだが、口元だけ歪む。
この世界では力が全てだ。だからこそ呪いを受けても生きているロドの力に怯えているのだろう。自分の息子を王につかせたいが為に。
ロド自身は権力にも地位にも固執しているわけではないが、ミオをロドの弱点とし、攻撃を仕掛けてくるというのならば話は変わる。
ミオが望めば権力を手にするくらいの思いだったが、ミオがそんな事を望むわけがない。
二人で静かに……穏やかに暮らしていく事だけを望んでいた。ミオをこの世界に喚ぶまで、王子という地位に居ただけにすぎなかっただけなのだが、現状を考えると望ましくない。
「……始末するか」
呟いたところにノックの音が響き、ハイルが入ってきた。
「分かったか?」
「第一王女が王妃である自分の母親と手を組んでの計画でした」
ハイルの情報収集能力は突出しているが、周囲に知られると何をされるか分からない為に隠密での行動も突出させた為に、短時間で仕事をこなす側近となっていた。
やはりというか予想通り、ミオに嫌われてスキが出来ればと思ったそうだ。確かにそのおかげで呪いは増幅してしまったのが悔しいところだ。
自分は第一王子だが、母親は第一側室だが、第一王子を生んだという嫉妬からか既にこの世から旅立っている。
第三側室も亡くなっており、第二王女を産んでいるが、それは第二側室が自分の子どもと一緒に育てているようなものだ。というのも、第二側室が生んだ第三王女は生きているが、第二王子は幼い頃に呪い殺されてしまっているからだ。
三人で慎ましく、王族とは関係ありませんと言わんばかりに仲良く遠い地で療養という名目で暮らしているそうだ。自分もそこに誘われたが、狙われている自分も一緒に行けば苦労をかける事など目に見えてわかっていた。
それに何より……ミオを迎える準備をしたかったのだ。何においても。
あの時から……
「王妃と第一王女には退場してもらうか」
「王妃が生んだ第三王子はどうされますか?」
「害がないなら放っておく……害がないならな」
二度言った事によって含みを持った言葉の意味をハイルは気がつき、頭を下げると緊急用の呼び出しに使う式神のようなものを置いて、ロドの邪魔をしてはいけないと言わんばかりに退室して行った。
「苦しみぬけ」
奇妙な文言のようなものを唱えると、周囲に黒く細い靄が何本も現れたかと思うと螺旋状の陣を描き、どこかへ向かっていった。
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