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59.他ルートでは協力的です

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結局、二人の名が出た事に、私とカローラの口角が引きつるも、そんな事は気がついていないのか、お構いなしなのか。

「お恥ずかしい話、私はずっと領地でこもりっきりでしたので王都の事がわからず……お任せしても宜しいでしょうか」
「僕としてはチョコが食べられる機会が増えるなら喜ばしい事ですので。新作もお待ちしておりますから、リズ嬢には今のように自由に過ごして頂きたいかと思います」

そうだよ!自由だよ!セドリック良い事を言う!!
思わず顔を上げると喜びの表情を出しすぎたのか、セドリックが微笑んだ。流石に神絵師だけあって、その笑顔は破壊力抜群でスチル出たー!といった時のように喜びで胸が高鳴ったが……忘れるなかれ。良いのは顔だけだ。神絵師の腕だけだ。

「殿下やシャルルとは僕が話をしておくから。また魔道具を持って行ったり、相談に行った時に経過を報告するから、新作よろしくね」

セドリックに後光が輝いているように思える。思わず手を合わせてしまいそうになるのを踏ん張って、笑顔で何とか言葉を返す。

「生クリームも手に入ったので、色々考察していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」

礼をしつつ脳内では、いくらスイーツ好きだったとしてもレパートリーそんなないんだけど、なんて思っていたりもする。前世ではネットで検索をかければいくらでもレシピが出てきていたのに、いちいち脳内に記憶なんてしてない。
科学の力め!記憶力どこ行っていたんだ!
そんな悪態を付きながらも、チョコ以外でも色々と作って回避出来ると良いなぁ~なんて切実に願っていた。

「……まぁ……シャルルに目を付けられていたら、そう簡単には逃げられないしね……」
「!!」

セドリックがぼそりと呟いた言葉を拾ったのは、私達四人だけだろう。両親は何を言っていたのか分かっていないのか、それとも内容が理解出来ていないのか、疑問符が駆け巡っているかのような顔をしていた反面、私とカローラは真っ青になり、ポピーは息を飲んだ。理解していても無表情なのはアイビーだけだ。
じゃあね、と部屋を出ていくセドリックに、カローラや私もパーティは途中退席という形で帰ろうと言う事になったが、素早く近くに寄ってきたカローラに耳打ちされた。

「出来るだけ早く、簿記をシャルルに教えた方が良いかもしれないわね。セドリックみたいに執着する方向が変わるかもしれないわ。ルデウル男爵だと、監視に対する防衛がなさそうだもの」

うん。王太子ルートはともかくとして、他のルートは一緒に回避方法を考えてくれるのは有難い。……王太子ルートに関しては天敵以外何でもないけど。
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