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13.だから手を回すなと
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思わずアイビーに掴みかかろうとした私は、腕の長さからアイビーに頭を押さえられただけで先へ踏み込む事も、持ってる物を取り上げる事も出来なくなった。
「それは何?」
そう言ってカローラは私の事は何の疑問にも持たないようにアイビーから、先ほどまで私が書いていたノートを受け取ってペラペラと捲り始めると、眉を顰めて険しい顔をした。
「あぁああああ!!」
思わず羞恥心がこみ上げて叫ぶ。内容は確かにゲームの事だけれど、それを自分で書いたってのが何か恥ずかしい!直筆であんな内容を書いている事が何とも言えない!のだが、私の気持ちなんてお構いなしで、ノートを開いて、とある一点を指さしながら険しい顔のままカローラは口を開いた。
「これは……一体どういう事!?」
「は?」
書かれているのは、ヒロインはゲームの中では学園へ入学するまでは領地で暮らしていたという事と、現在起こっている事として王都引っ越しの事を書いていたのだ。
しかも自分の頭の中を整理する為に、王都で社交や勉強をメリットとして書き、デメリットに王太子殿下と会う可能性まで全て書き込んでいたのだ。それをしっかりカローラは今も読んで何やら考えているようだ。
「そうね……王都へ行くよりは領地に居た方が良いわね……まだしばらく引きこもってた方が良さそうね」
「いやいやいや、もうそれはしないよ」
流石に、もう頭は冷えている、というか冷静さを戻している。
しかしそんな私を不満そうにカローラが見ていたかと思うと、視線を外してアイビーを呼びぶと、それだけで彼は理解したのか、畏まりましたと言って退室して行った。
呆気に取られた顔の私に、カローラは微笑みながら言った。
「いきなり生活が一気に変わるのも心細いからって、学園入学するまでは領地で滞在してもらうようアイビーに後押ししてきてもらったわ。あと、勉強もそんなに詰め込んでは精神的に不可がかかってしまうから気遣いましょう。私もしばらくこちらの別荘で過ごそうと思っていたから、遊び相手になってほしいもの」
視線交わしただけでそこまで伝え合えるの!?二人共、本当に何者ですか!?ていうかこっちに別荘あるの!?過ごすの!?と、思わず驚愕で目も口も開いてしまう。……が、しかし待て。何か今、不穏な言葉を聞いたような気がする。
何となく記憶持ち同士、親近感みたいなものはあるが、よく考えろ私!カローラは敵だ!私を陥れる存在なんだ!ヒロインとして確率させるために!と、自分を奮い立たせて、カローラが机の上に置いたままにしてあるノートを自分の方に引き寄せ読み返すと、顔から血の気が引くのが分かった。
「それは何?」
そう言ってカローラは私の事は何の疑問にも持たないようにアイビーから、先ほどまで私が書いていたノートを受け取ってペラペラと捲り始めると、眉を顰めて険しい顔をした。
「あぁああああ!!」
思わず羞恥心がこみ上げて叫ぶ。内容は確かにゲームの事だけれど、それを自分で書いたってのが何か恥ずかしい!直筆であんな内容を書いている事が何とも言えない!のだが、私の気持ちなんてお構いなしで、ノートを開いて、とある一点を指さしながら険しい顔のままカローラは口を開いた。
「これは……一体どういう事!?」
「は?」
書かれているのは、ヒロインはゲームの中では学園へ入学するまでは領地で暮らしていたという事と、現在起こっている事として王都引っ越しの事を書いていたのだ。
しかも自分の頭の中を整理する為に、王都で社交や勉強をメリットとして書き、デメリットに王太子殿下と会う可能性まで全て書き込んでいたのだ。それをしっかりカローラは今も読んで何やら考えているようだ。
「そうね……王都へ行くよりは領地に居た方が良いわね……まだしばらく引きこもってた方が良さそうね」
「いやいやいや、もうそれはしないよ」
流石に、もう頭は冷えている、というか冷静さを戻している。
しかしそんな私を不満そうにカローラが見ていたかと思うと、視線を外してアイビーを呼びぶと、それだけで彼は理解したのか、畏まりましたと言って退室して行った。
呆気に取られた顔の私に、カローラは微笑みながら言った。
「いきなり生活が一気に変わるのも心細いからって、学園入学するまでは領地で滞在してもらうようアイビーに後押ししてきてもらったわ。あと、勉強もそんなに詰め込んでは精神的に不可がかかってしまうから気遣いましょう。私もしばらくこちらの別荘で過ごそうと思っていたから、遊び相手になってほしいもの」
視線交わしただけでそこまで伝え合えるの!?二人共、本当に何者ですか!?ていうかこっちに別荘あるの!?過ごすの!?と、思わず驚愕で目も口も開いてしまう。……が、しかし待て。何か今、不穏な言葉を聞いたような気がする。
何となく記憶持ち同士、親近感みたいなものはあるが、よく考えろ私!カローラは敵だ!私を陥れる存在なんだ!ヒロインとして確率させるために!と、自分を奮い立たせて、カローラが机の上に置いたままにしてあるノートを自分の方に引き寄せ読み返すと、顔から血の気が引くのが分かった。
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