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07.神様は存在しました

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「お前は……「え!?私以外にも生贄がいたの!?」

青年が何か話したようだが、驚いてつい声をあげてしまった。
私以外に誰かが入った記憶なんて一切ないのに……神官達と一緒に入った後に祭壇の影にでも隠れていたのだろうか。
神官達が出ていく時に祠を閉められてからは誰も出入りしていないのは確かだ。
つい周囲を見渡してしまった私を見ながら、青年は少し驚いていたかのような表情を崩し、口元に笑みを浮かべた。

「僕が神だよ」

出た。
つい頭の中にはその一言でいっぱいになる。
楽しい家出は終了し、生贄となるようで、残念な気持ちがないわけでもないが、それなりに覚悟があった事でもある。
貢物、生贄。祠に入れられた後の生死は不明、というのは祠には貢物として捧げたものは全て跡形もなく消えているからだ。
死体すらもない。

「驚かないんだね……じゃあとりあえず僕の家に行こうか」

苦笑しながら神と名乗った青年は言う。
確かに今まで居なかった人物が急に現れたら驚くだろうし、しかも神なんて言われたら怯えたりもするだろう。
だって生贄なのだから。
でも……死んだように生きるあの生活よりはマシだし、ある意味苦しみからの開放かもしれないと思える。
が、しかし

「お断りします」
「え……?あっ!生贄とかじゃなく保護するだけなんだけど!」
「お断りします」
「……えー……」

少し抵抗を試みてみたが、神は何か落ち込んでいる。
家から出て、辺境で自由に暮らすという夢が叶えられるのだろうかと思って断ってみたのだが、神は無理矢理連れて行こうとするわけではないようだ。
むしろ今、生贄とかではなく保護と言っていた気もするけれど……
保護されて過保護にされたらそれこそ自由はなくなるのではないだろうかと即座に断りの言葉を繰り返した。

「退屈な時間が終わると思ったのに……」

肩を落とし呟くように神は言った。
退屈な時間……その言葉に自分を重ねてしまう。

「どういう事ですか……?」

相手は神だ。
私のように、死んだように生きているわけでも、自由がないわけでも、人形のように扱われるわけでもないだろう。
神なのに退屈。神だからこそ退屈なのか?
気になり尋ねると、神は少し悲しそうな表情をしながら言った。

「僕は生贄を望んだ事はないんだけどね……とても感謝をしているんだよ」
「……感謝?」
「長い長い時間の中で、君達のような人間が来てくれて保護している間、僕は話し相手を得られるんだ」
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