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たった1つの事柄で、人間関係はこうも変わるのか。
それはまるで漫画や小説にある恋愛関係のようだ。否、現実でもそうなのだろうけれど、私はそんな体験をまだした事がない。
「ごめんね、いきなり……」
「ともっちは気にしなくて良いよ~! 明日は土曜だし女子会だー!」
「美紀の家じゃないでしょ……」
「うちはお母さんだけだから大丈夫だよ」
そうか。明日は土曜日だったか。
既に曜日の感覚もなかった自分に気が付いた。それ程までに心はいっぱいいっぱいだったのだろう。
あれから、三人はずっと一緒に居て私からの連絡を待っていたそうだ。いっそそのまま泊まろうかまで話していた時に私が連絡して、急遽羽柴さんの家でお泊り会なるものになったらしいけれど。
「ありがとう……」
「いいって!」
「それより、どうなったー?」
傷つき痛んでいた心が、嬉しさで癒されていくように……私は乾いてしまったのだろう涙を喜びから溢れさせてしまった。
「落ち着いて」
「いっぱい吐き出しちゃえ!」
「私達しか聞いてないよ」
三人の言葉に甘えるよう、私は吐き出した。
明里さんの言葉や、私が感じた事を。
心の痛みを言葉に変えるよう吐き出す私だったけれど、三人は何も言わずにただ聞いてくれた。
――人は一人で生きられない。
これは、そういう事かもしれないと、何となく思う。
一人でなんて、心が耐えられなくなる。
いくら強がったって、色んな事には限度がある。
仲間同士、協力してとか。知恵を出し合って、だけじゃないんだ。
人は人と居る事で心まで補い合って強くなれる。
「そんなんだから上に行けないのよ」
鋭い羽柴さんの言葉が飛んだ。
「仲間内だけのコミュニティで優越感に浸ってるだけじゃない」
「努力というのは、色んな方向に向けてするものじゃない?」
「人間性も見られると思うけどなぁ~」
「あんな風になっちゃ駄目だよ」
「名前が少し知られるようになっても、おごり高ぶっちゃ駄目」
明里さんのようになりたいと思っていた。
目標にしていた。
けれど……今は、明里さんのようにならないと決めた。
人を傷つけて貶める為に感情を使いたくない。
自分にとってマイナスの感情さえも……自分の成長に使いたい。自分を高みへと導く為に。
相手を恨み憎んで傷つける時間が、惜しいから。
「ありがとう」
改めて皆に感謝を伝えれば、羽柴さんが申し訳なさそうに小さく手を挙げて口を開いた。
「一つ解決したとこで申し訳ないけど……誹謗中傷っぽくなってる現状、歌の提供はどうなってるの?」
それはまるで漫画や小説にある恋愛関係のようだ。否、現実でもそうなのだろうけれど、私はそんな体験をまだした事がない。
「ごめんね、いきなり……」
「ともっちは気にしなくて良いよ~! 明日は土曜だし女子会だー!」
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「うちはお母さんだけだから大丈夫だよ」
そうか。明日は土曜日だったか。
既に曜日の感覚もなかった自分に気が付いた。それ程までに心はいっぱいいっぱいだったのだろう。
あれから、三人はずっと一緒に居て私からの連絡を待っていたそうだ。いっそそのまま泊まろうかまで話していた時に私が連絡して、急遽羽柴さんの家でお泊り会なるものになったらしいけれど。
「ありがとう……」
「いいって!」
「それより、どうなったー?」
傷つき痛んでいた心が、嬉しさで癒されていくように……私は乾いてしまったのだろう涙を喜びから溢れさせてしまった。
「落ち着いて」
「いっぱい吐き出しちゃえ!」
「私達しか聞いてないよ」
三人の言葉に甘えるよう、私は吐き出した。
明里さんの言葉や、私が感じた事を。
心の痛みを言葉に変えるよう吐き出す私だったけれど、三人は何も言わずにただ聞いてくれた。
――人は一人で生きられない。
これは、そういう事かもしれないと、何となく思う。
一人でなんて、心が耐えられなくなる。
いくら強がったって、色んな事には限度がある。
仲間同士、協力してとか。知恵を出し合って、だけじゃないんだ。
人は人と居る事で心まで補い合って強くなれる。
「そんなんだから上に行けないのよ」
鋭い羽柴さんの言葉が飛んだ。
「仲間内だけのコミュニティで優越感に浸ってるだけじゃない」
「努力というのは、色んな方向に向けてするものじゃない?」
「人間性も見られると思うけどなぁ~」
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「名前が少し知られるようになっても、おごり高ぶっちゃ駄目」
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けれど……今は、明里さんのようにならないと決めた。
人を傷つけて貶める為に感情を使いたくない。
自分にとってマイナスの感情さえも……自分の成長に使いたい。自分を高みへと導く為に。
相手を恨み憎んで傷つける時間が、惜しいから。
「ありがとう」
改めて皆に感謝を伝えれば、羽柴さんが申し訳なさそうに小さく手を挙げて口を開いた。
「一つ解決したとこで申し訳ないけど……誹謗中傷っぽくなってる現状、歌の提供はどうなってるの?」
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