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32.聖女を取り戻しに-アスタside
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帰還し、殿下への報告を終えた後、殿下は難し顔をする。
隣に居るリスタに関しては相変わらず何を考えているのか分からない無表情さだ。
「獣人達と仲良くするなんて、狂ってる!」
レイドワーク領土では獣人と共同生活のようなものを送っていると、悔しそうな顔をしたロイドから報告があった。
「そしてマユはルフィル国…か」
殿下が歯を食いしばりながら答えた。
僕はマユが居なくなったと聞いて、聖女の力を辿って探した末に見つけたのは、暴力的な獣人が住むルフィル国だった。
この国の成り立ちから考えても、人間であるマユが正当な扱いを受けているとは思えない。
すぐさま救出しなければと思っている。
レイドワークを視察したロイドが国王様に報告をした後、現地で合流するはずだったが、現状僕一人でルフィル国へ渡ってもマユを無事に取り返せるとは思えなかった為、王都へ戻ってきたのだ。
そこへロイドも報告へきていて合流となったのだが…。
「マユ…大丈夫かな」
僕が零した言葉に、殿下とロイドが勢いよく振り返る。
だってそうでしょう?
獣人達だよ?
そんな意味を込めて、二人へ視線を投げる。
「くそ!あっちもこっちも獣人達め!」
「まさか我が国を乗っ取ろうとでも言うのか!?マユだけでなく…許せん!」
ロイドも殿下も怒りで顔が赤く染まる。
ここまできてもリスタは相変わらず無表情だ。
マユの事が心配じゃないなんて、もはや人間の感情があるのかすら疑う。
「国王様は何と仰っていますか」
やっとリスタが口を開いたかと思えば、そんな一言だった。
「はっ!父上は、母上が出て行ってから常に震えて部屋にこもっておるわ!!あんな腑抜け、いくら父上と言えど知らん!」
「マユが戻れば問題ない!救い出せば良いだけだ!」
「王太子として…次期国王として決定する!ルフィル国と戦うぞ!」
殿下もロイドも、ちゃんと分かってる。
獣人に怯える必要なんてないし、マユが居れば大丈夫なんだ。
前のようにマユと皆で笑い合って一緒に過ごしてるのが平和なんだよ。
◇◆◇◆◇
王都に残っている騎士や兵士達だけでなく、腕に覚えのある者達も含め集まってもらった。
こんなに少ないものなのか?と思ったが、マユさえ取り戻せたら良い。
清らかな白い神官服に身を包み、騎士や兵士達の前に立つと僕は説いた。
国の安寧に必要な聖女、それは神が選びし異世界より降り立った少女。
荒れ果てた地でも植物が育ち、大地が潤い、天からは恵みの雨が降る。
獣人に虐げられた我々の先祖を守った、人々に平和をもたらす神に愛されし聖女。
「聖女を奪いし獣人達から取り返すぞ!」
「聖女は人々の味方なり!」
おおぉおおおおおおーーーーーー!!!
咆哮が轟く。
士気が一気に上がる。
「目指すはルフィル国だ!」
殿下の言葉が出発の合図となる。
殿下とロイドと僕はマユを取り戻す為にルフィル国を目指す。
王宮に残ると決めたリスタが、僕達の後ろで冷たい微笑みを浮かべていた事など知らずに———
隣に居るリスタに関しては相変わらず何を考えているのか分からない無表情さだ。
「獣人達と仲良くするなんて、狂ってる!」
レイドワーク領土では獣人と共同生活のようなものを送っていると、悔しそうな顔をしたロイドから報告があった。
「そしてマユはルフィル国…か」
殿下が歯を食いしばりながら答えた。
僕はマユが居なくなったと聞いて、聖女の力を辿って探した末に見つけたのは、暴力的な獣人が住むルフィル国だった。
この国の成り立ちから考えても、人間であるマユが正当な扱いを受けているとは思えない。
すぐさま救出しなければと思っている。
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そこへロイドも報告へきていて合流となったのだが…。
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だってそうでしょう?
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「くそ!あっちもこっちも獣人達め!」
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ロイドも殿下も怒りで顔が赤く染まる。
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「王太子として…次期国王として決定する!ルフィル国と戦うぞ!」
殿下もロイドも、ちゃんと分かってる。
獣人に怯える必要なんてないし、マユが居れば大丈夫なんだ。
前のようにマユと皆で笑い合って一緒に過ごしてるのが平和なんだよ。
◇◆◇◆◇
王都に残っている騎士や兵士達だけでなく、腕に覚えのある者達も含め集まってもらった。
こんなに少ないものなのか?と思ったが、マユさえ取り戻せたら良い。
清らかな白い神官服に身を包み、騎士や兵士達の前に立つと僕は説いた。
国の安寧に必要な聖女、それは神が選びし異世界より降り立った少女。
荒れ果てた地でも植物が育ち、大地が潤い、天からは恵みの雨が降る。
獣人に虐げられた我々の先祖を守った、人々に平和をもたらす神に愛されし聖女。
「聖女を奪いし獣人達から取り返すぞ!」
「聖女は人々の味方なり!」
おおぉおおおおおおーーーーーー!!!
咆哮が轟く。
士気が一気に上がる。
「目指すはルフィル国だ!」
殿下の言葉が出発の合図となる。
殿下とロイドと僕はマユを取り戻す為にルフィル国を目指す。
王宮に残ると決めたリスタが、僕達の後ろで冷たい微笑みを浮かべていた事など知らずに———
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