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最近の流行り廃りをしらないリュークは頭を悩ませていた。
ミシャルに希望を聞いたものの任せると全て請け負ってみたものの何を作れば良いのか決められないでいた。

令嬢の好きな物は甘い物と相場は決まっているが、食事で甘い物は流石に提供する事はリュークでも憚られた。

「クロディクス様も普段はお食事をされないし」

不死となってから食事を必要としなくなったクロディクスはどうしても外せない社交以外で食べ物を口にしなくなった。

何を食べなくても腹は空かない、食べたい物もないと自分が人でない事を食事の度に思い知らされる事にクロディクスは言葉にはしないが疲弊していたようだった。

呪われた日から数日は今まで通りにコックの食事を食べていたクロディクスは日に日に食事量が減って行った。
コックがそんな主人の姿にあれこれと工夫をしてみるがクロディクスの食は細くなっていくばかり。
最後には誰も口にすることなく、酒ばかりを口にするようになったクロディクスはコックの気遣いを無碍にする自分よりも喜んでもらえる場所を用意してやって、コックはこの屋敷からいなくなった。

料理をくちにしていた回数分、酒を口にするクロディクスはリュークに次々と酒を用意させた。

紅茶やコーヒーのように常日頃アルコールを求めるクロディクスは誰だけ飲んでも身体に異常をきたすことがなかった。

アルコールにも勿論酔うことはないが、口寂しいのかクワを超えて枠の域にまで達するほど日頃から口にしているクロディクスの好みをリュークはしっかりと把握していた。

ワインやシャンパンよりも、香りが強いウヰスキーを好むクロディクスの趣向に合わせてリュークは食事を用意する事にした。

ウイスキーの中でも燻のつよいマッカランに合うのは魚や肉をシンプルに調理したものだろう。
生の野菜でもいいかもしれない。

リュークは浮かぶメニューを片っ端から頭の隅に走り書きをしてメモをとった。

ミシャルは一度様子を見てから徐々に好みのものを用意すればいいだろうと判断することにした。
身体を見た感じ消化も悪そうなものはあまり食べられないかもしれないと頭の片隅に置いておく。

リュークは開き直ったように答えを見つけると、今晩のメニューを考えながら手を動かした。

料理に精通しているわけではないので、リュークが作れる物はその場にある食材で見たことがある物を再現する程度の腕前だ。
クロディクスが呪われてから彼に使え始めたリュークはシェフが用意していた料理の手順を思い出しながら調理をする。

幸いにも野菜も肉も魚も沢山常備されているキッチンを動き回ってリュークは定番メニューを次々と用意した。

格式ばった無駄を嫌うクロディクスに合わせて皿は全て大皿にし、配膳は最初から並べる事に決めていた。
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