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終焉
しおりを挟む「カイラス様。城の制圧は計画通り進んでいるようです」
「城にいる貴族どもは殺さずに拘束しろ。使い道があるからな」
「かしこまりました」
ハクギンのいうように城の計画は計画多り進んでいる。
まず王の首をとることで集団の弱体化を狙った計画は十分に効いているようだった。
あとは平民である民衆が暴徒化しないように管理するのがカイラスたちの第二の仕事であったが、それも平民出の部下がうまくやっているようだった。
「お前はこのまま制圧状況の管理に集中しろ。民衆が暴徒にならぬようにな。俺は行くところがある」
「かしこまりました。護衛をつけましょうか?」
「必要ない」
「かしこまりました」
ハクギンは深く腰を折った。
そのまま把握のため血にまみれた会議室を後にする。
カイラスは会議室内を改めてみた。
カイラスによって胴と首が離れた『王だった』ものは首が机の上、胴が扉にある。
すでにどちらも血で汚れ、胴に至っては他の会議室にいた要人たちが我先に逃げ出そうとしたせいで、ひどく汚れており、王だけが着用することを認められるマントは他の要人たちの靴跡が付き、背中に丁寧に刺繍された国章は血と靴底で汚されている。
今、そのマントを纏うことができるのはカイラスのみだが、血と靴底によって穢れたマントを纏いたいとは思わなかった。
首はカイラスが魔法を放った衝撃で会議室内を舞い、それが机に無雑作に置かれている。
カイラスはその首が置かれた場所から一番近い席を見た。
この国の技術総監督が座っていたはずの席に今はその人間はいない。
カイラスはそれを眺めながら、埃が舞う会議室を後にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…はぁ、はあ…」
バグダスは足を引きずりながら歩いていた。
民衆が城の制圧に乗り込んだという混乱を乗じて会議室から逃げたバグダスは今、逃げる際に傷ついた足を引きずりながら城内を歩いていた。
カイラスはバグダスを追うようなことはせず、他の要人たちより少し遅れて逃げたバグダスをそのまま見逃した。
しかし、半年間カイラスを汚し続けていたバグダスが何のお咎めなしで済むほどカイラスは寛大ではなく、この国が平民に制圧されたら要職についていたバグダスは責任をとらされることは確実だろう。
さんざんカイラスをいたぶってきたのだ。
殺されることは怖くない。
だが、バグダスは無知な民衆共に拘束されるわけにはいかなかった。
幸い城には多数の抜け道があり、長年の歴史で使われず忘れ去られたものもあった。
幸いバグダスを追う民衆はいない。
バグダスは血が流れ続ける足を引きずりながら一歩一歩進んでいった。
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