騎士団の世話役

haru.

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本編

真実

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チュン・・・チュンチュン。

「ん・・・。朝食の準備しなくちゃ。」 

目を開けると隣にディー様が寝ていた。
叫びたくなる自分を抑え、必死に昨日の状況を思い出した・・・

はあ・・・。2日連続。やってしまった・・・
本当よく眠れたな自分。神経図太すぎるよ。

「とりあえず起こそう。
ディー様!ディー様起きてください!!!」

早く仕込みに行かないと朝食の時間になっちゃうよ!!!

「んッ・・・。」

「ディー様!!!手を離してください!」

拘束さえ解いてくれればまだ寝てて良いから!

「・・・朝か。・・・・・・は?」

ディー様その顔二度目ですから!
また記憶ないんですか・・・はあ~。

「またか?・・・迷惑かけたのか?」

「はあ・・・。その話しは後にしましょう。私は朝食の仕込みがありますので、これで失礼致します。あ、もし状況がお知りになりたければお二人に聞いて下さい。」

*****

急げ・・・。
もう時間がないよ~
一回部屋に帰って着替えと身嗜みを整えて・・

よし!!!朝食作りだ!
昨日の内にパンの生成も終わってるからあとはオーブンに入れて焼くだけ・・・
(釜戸とかじゃなくて本当によかった~。火加減とかまでは知らないし。絶対失敗してたよ~)

あとはまたスープとサラダでしょ。
それと、スクランブルエッグとウインナー!!

うん。良さそう!はあ~間に合った・・・
騎士様達も美味しそうに食べてくださってる♪
良かった~!!

「ティアナちゃん!おはよう~♪」

「あ!おはようございます!ラインハルト様」

「あのさ、ここは大丈夫そうだから、執務室で皆と朝食食べない?昨日の事も話したいし」

「あの申し訳ないのですが、職務中なのでご一緒は出来ません。
お誘い頂きありがとうございます!」

「あー。うん。そうだよね・・・」

ラインハルト様は苦笑いしながら戻っていった
断ったら不味かったかな・・・?

「ちょっと!手間をかけさせないで下さい!
楽しく一緒に食事しよう。ではなく!報告会をすると言っているのですよ!!
これも職務の一環です!」

えーーー。
後でゆっくりと食べようと思ってたのに~
顔には出さないがイヤイヤオーラが出ていたのかも・・・足取りも重いし・・・。

「何ですか!それは!!!
シャキッと歩きなさい!急ぎますよ!!!」

それに報告会って、昨日の事はミュゼル様達も全部知ってるのだから伝えてくれれば終わるんじゃないかな・・・。

*****

「ふう。では昨日の話しから始めましょう。」

「ロイ、貴方は何処まで覚えてますか?」

「抱き締めて、匂いを嗅いだ所までだ・・・」

え??それ素でやってたの?
もう猫化してると思ってたよ・・・

「・・・それで?」

「匂いを嗅いでたら・・・本能に引っ張られているような感覚になった。
恐らくは抵抗すれば抗えたかもしれない。
だかそこで俺は身を任せてしまった・・・。」

「あ?やっぱり??
おかしいと思ってたんだよね?
酔ってもいないし疲労だってそんなに無いはずなのに、ロイが何の抵抗もなく意識が乗っ取られるなんてあり得ないよね?ふふふ。」

え???何の話し?

「まあ、私達もいるから大丈夫だとでも思ったのではありませんか。全く!!!」

昨日の猫化はわざとだったの・・・?

「あのきちんと説明して頂けませんか?
昨日の猫化は故意に引き起こした物だったのですか・・・私は重要な実験だと聞いていたので協力したのですが!」

ありえない。
昨日あんな恥ずかしい思いしたのに・・・

「同感ですね。説明しなさい。ロイディラン」

昨日私を見捨てた小姑が頼もしく見える!!

「ヴッ・・・。
故意と言えばそうだ。だが、猫化したかった訳では無い。
ただ・・・番の匂いに抗えなくて・・・」

え?何て言ったの?聞こえなかったよ・・・

「ロイディラン!!!
もっとハッキリ話なさい!!聞こえません!」

「だから!ルクティアナの匂いが気持ちよすぎて離れられなかったんだ!!!
あんな経験始めてで抗い方なんて知らん!!」

匂いが気持ちいい??
訳がわからない・・・それに開き直ってるし。

ディー様は怒りなのか?恥ずかしさ?なのか顔が真っ赤に染まってしまってる。

「意味がわかりません。
もう少し詳しく説明して下さい。」

うわ・・・。
小姑ってば、凄い!まだ質問続けるの?

キッ!!!!
「何をだ!!これ以上何が知りたい!」

「匂いが気持ちいいとは何です?
それに先程は抵抗すれば抗えるといいました。ですが、実際には抗えなかった・・・
これは訓練を積めば克服出来そうですか?」

「・・・そのまんまの意味だ。
下半身を突き抜けるような匂いだった・・・。
おい!!!お前は嗅がなくていい!!!!」

え?振り返るとラインハルト様がすぐ近くにいた。怖ッ!!全然気がつかなかったよ~
匂い嗅がれたのかな?

「んー?優しい香りはするけど・・・気持ちよくはならないな~。」

いや!解説いりませんから!!!
ってディー様怖ッ!!!
いつもより五割増しの顔面になってるよ・・・

「ルクティアナこっちに来い。」

ディー様が自身の膝を叩き、私を呼ぶ。
うわ目が・・・

「ダメですよ。今接触させて、猫化したらどうするんですか?
これから職務もあるので、許しませんよ。
ラインハルト、貴方は隅にでもいなさい!!」

「りょうか~い♪」

「チッ・・・。」

小姑様~♪今日は本当に頼りになる!!!

「で!訓練を積めば抗える様になりますか?
というより、出来るようになってもらいます。でなければ、婚約はおろか、側に置くことも出来ませんよ・・・」

「・・・わかっている。」

「あの~。皆様忘れているかも知れませんが、私はお兄様に会えたら領地に帰りますよ?
恐らくもう会う機会もなくなるかと・・・」

空気重ッ!!!
途中から空気が重いのか、私に重力が覆い被さっているのか、わからなくなってきた・・・

まずいこと言ったかな?
でも事実だしな~。怖くて顔上げられないよ。

「許さない。・・・領地には帰らせない。
お前は俺の番だ・・・。」

「それは聞きました。
でも、私婚約は辞退しましたよね?」

「それは・・・。」

婚約はやだ。貴族だから政略結婚も覚悟してたけど、こんな身分の上の人は想定外だよ!
きっと何かしでかしちゃう・・・。

「では、こうしましょう。
ルクティアナ嬢、貴女は騎士団の世話役として就職しなさい。
恐らく今、領地に帰る事は危ないのでしょう?アルもきっと安心します。
そして、その間にロイがどんな男か知るんです。その上で婚約についてもう一度考えなさい。
・・・でなければ、この男は強行手段に出るでしょう。はあ~。本能に目覚めた男を侮ってはなりませんよ。」

え?就職・・・?
お兄様と一緒に居れるのは私にとっても安心できるけど。うーーーん。悪くない話しだよね?
とりあえず本契約はお兄様が、帰ってきてからって事にして・・・

強行手段って何???何するの??
もう!そういうのが怖いって言うのー。

「はあ・・・。
そのような勿体無い話をありがとうございます
前向きに検討させて頂きたいと思います。
契約に関しましては、兄が戻ってからもう一度お話しさせて頂いてもよろしいでしょうか。」

「まあ、今の所はそれで良いでしょう。
貴方もそれでいいですね!ロイ!!!」

「・・・ああ。」

ようやく話しがまとまった~
長い朝食だったな・・・どっと疲れた~。

うわ!結構時間たったな・・・
今日もやる事はいっぱいあるし!
仕事始めよう♪

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