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キコの実の水の噂
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雨の中で体や髪を洗ったあの日から我が家はちょっと噂の的になっていた。
普段なら就寝に入るあの時間帯にハシャいでいた声が近所まで響いていたらしい。
しかもその次の日には私達が身綺麗になっていたから近所の人達は何事か!と大騒ぎになった。
髪の艶がいつもと全然違ったから日の光の下だとキラキラ輝いているように見えた。
.....でもこれアイラさんにもらったキコの実の水だから使った人達は皆、同じ感じになると思うんだけど...
だが噂を聞きつけたアイラさんも私達の姿を見て驚いていた。
わざわざ私の家まで来たアイラさんは庭に居た私の姿を見て「ちょッ...どんな使い方したのよ!...」と慌てて問いつめてきた。
いきなりの事で驚いたが昨日やった事をありのまま説明した。
「ふ、普通に古布にキコの実の水をつけて体を泡で擦ったり、髪もキコの実の水で普通に泡立てて洗いました。....あ、で!水がもったいないから雨で洗ってたら声が響いてたみたいで、近所の人達には迷惑かけちゃいました。」
「直接泡で擦るの?....そんなやり方知らない...それに雨を使って体を綺麗にするなんて...」
アイラさんが言うには泡を立てて撫でつけるように髪や体につけて塗らした布で拭きとっていたらしく私とは方法がちょっと違っていた。
唖然とした顔で「私間違えてたの?...」と呟いていた。
うーん。よくわかんないけど泡でちゃんと洗わなかった事と水で流さなかった事が悪かったんじゃないかな?
汚れが落ちきらなかったとか...
私は思った事をそのまま伝えてみた。
すると...
「え....じゃあ私は汚れが残ってるのに洗えた気になってたって事?」
「多分...洗濯も汚れが落ちきるまで何度も洗わなきゃ綺麗にならないから...そうだと思う。」
「......そんなぁ~。」
衝撃の事実にショックを受けて、二、三歩後退っていた。
ただならぬ様子にどう声をかけたらいいのか悩んだ。
恐る恐る小さな声で声をかけた。
「.........だ、大丈夫ですか?」
するとさっきの落ち込んでいた姿は嘘だったのかと思うくらい一瞬で立ち直り、目をギラつかせた。
「マディソン!お願いがあるの!!!今から家に来てくれない?」
アイラさんは私と目線をあわせるようにしゃがみ込んで私の手を両手で握りしめてきた。
「え?...い、家?!で、でも...わたし...」
アイラさんの圧に圧倒されてオロオロしていると母さんが家から出てきた。
「あら~外から声がすると思ったらアイラじゃない。どうしたの?」
私の狼狽えていた表情をチラリと見て、さりげなくアイラさんの手を引き離して私を引き寄せる母さん。
そして安心させるように私の頭を二、三回撫でてくる。
ニコニコ笑いながら娘を回収する母親の姿に若干顔を引きつらせるアイラさん。
「え、えっと....あ、ははははは...ちょっとマディソンに用事がぁ.....か、借りてもいい?」
笑ってた母さんの目元がピクリと動いた。
「.....私の娘を借りる?...」
少しだけ低くなった声に私とアイラさんは固まった。
...ヒィィィー。笑顔だけどあれ絶対にイラついてるよ!
「あ、あ、あれぇー。ちょっと言葉を間違えたかも!か、借りるじゃなくて....家に招待して見てもらいたい物があるのよ~」
めげずに母さんに話しかけるアイラさん。
流石付き合いが長いだけあるよねー。
あの母さん相手にまだ自分を通そうとするなんて...
完全に傍観者となった私は二人のやり取りを呆然と見ていた。
「私の娘を借りるじゃなくて家に招待ねぇー。.....何の用事かしら?」
「ご、ごめんってば!怒んないでよ、サーシャ。ただ他にも作ってみた物があるからマディソンに見てもらおうと思っただけなの!」
「他にも作った物?.....」
「そうなのッ!他にも作ってみたのッ!!」
少しだけ食いついた母さんの表情に目を輝かせるアイラさんさん。
「色々試してみたい事があって作ってみたんだけど他の人の意見も聞きたいのよー。マディソンこういうの好きみたいだし...」
ダメかしら?...さっきとは違っておずおずと母さんの様子を伺いながら聞いてくるアイラさん。
その姿に折れたのか、母さんは溜め息をつきながら私を見てきた。
「マディソン...アイラがキコの実の水みたいな面白い物を作ったんですって。見てみたい?」
どっちでも良いわよ?と私の判断に委ねてくる。
だけど母さんの背後から...お願いッ!と私に拝んでくるアイラさんの姿が見えた。
「わ、私.....見てみたいかも...」
「良いの?!ありがとうー!マディソンッ!!」
「はぁー。......仕方ないわね...」
必死なアイラさんの姿とちょっとした好奇心に私はアイラさんの家に行く事に決めた。
だが今から行くのはやる事もあったから無理だ。
そして母さんとアイラさんが話し合って3日後にお邪魔する事になった。
「じゃあ3日後楽しみに待ってるわねー。」
約束を取りつけられて満足したのか、満面の笑みで帰っていったアイラさん。
普段なら就寝に入るあの時間帯にハシャいでいた声が近所まで響いていたらしい。
しかもその次の日には私達が身綺麗になっていたから近所の人達は何事か!と大騒ぎになった。
髪の艶がいつもと全然違ったから日の光の下だとキラキラ輝いているように見えた。
.....でもこれアイラさんにもらったキコの実の水だから使った人達は皆、同じ感じになると思うんだけど...
だが噂を聞きつけたアイラさんも私達の姿を見て驚いていた。
わざわざ私の家まで来たアイラさんは庭に居た私の姿を見て「ちょッ...どんな使い方したのよ!...」と慌てて問いつめてきた。
いきなりの事で驚いたが昨日やった事をありのまま説明した。
「ふ、普通に古布にキコの実の水をつけて体を泡で擦ったり、髪もキコの実の水で普通に泡立てて洗いました。....あ、で!水がもったいないから雨で洗ってたら声が響いてたみたいで、近所の人達には迷惑かけちゃいました。」
「直接泡で擦るの?....そんなやり方知らない...それに雨を使って体を綺麗にするなんて...」
アイラさんが言うには泡を立てて撫でつけるように髪や体につけて塗らした布で拭きとっていたらしく私とは方法がちょっと違っていた。
唖然とした顔で「私間違えてたの?...」と呟いていた。
うーん。よくわかんないけど泡でちゃんと洗わなかった事と水で流さなかった事が悪かったんじゃないかな?
汚れが落ちきらなかったとか...
私は思った事をそのまま伝えてみた。
すると...
「え....じゃあ私は汚れが残ってるのに洗えた気になってたって事?」
「多分...洗濯も汚れが落ちきるまで何度も洗わなきゃ綺麗にならないから...そうだと思う。」
「......そんなぁ~。」
衝撃の事実にショックを受けて、二、三歩後退っていた。
ただならぬ様子にどう声をかけたらいいのか悩んだ。
恐る恐る小さな声で声をかけた。
「.........だ、大丈夫ですか?」
するとさっきの落ち込んでいた姿は嘘だったのかと思うくらい一瞬で立ち直り、目をギラつかせた。
「マディソン!お願いがあるの!!!今から家に来てくれない?」
アイラさんは私と目線をあわせるようにしゃがみ込んで私の手を両手で握りしめてきた。
「え?...い、家?!で、でも...わたし...」
アイラさんの圧に圧倒されてオロオロしていると母さんが家から出てきた。
「あら~外から声がすると思ったらアイラじゃない。どうしたの?」
私の狼狽えていた表情をチラリと見て、さりげなくアイラさんの手を引き離して私を引き寄せる母さん。
そして安心させるように私の頭を二、三回撫でてくる。
ニコニコ笑いながら娘を回収する母親の姿に若干顔を引きつらせるアイラさん。
「え、えっと....あ、ははははは...ちょっとマディソンに用事がぁ.....か、借りてもいい?」
笑ってた母さんの目元がピクリと動いた。
「.....私の娘を借りる?...」
少しだけ低くなった声に私とアイラさんは固まった。
...ヒィィィー。笑顔だけどあれ絶対にイラついてるよ!
「あ、あ、あれぇー。ちょっと言葉を間違えたかも!か、借りるじゃなくて....家に招待して見てもらいたい物があるのよ~」
めげずに母さんに話しかけるアイラさん。
流石付き合いが長いだけあるよねー。
あの母さん相手にまだ自分を通そうとするなんて...
完全に傍観者となった私は二人のやり取りを呆然と見ていた。
「私の娘を借りるじゃなくて家に招待ねぇー。.....何の用事かしら?」
「ご、ごめんってば!怒んないでよ、サーシャ。ただ他にも作ってみた物があるからマディソンに見てもらおうと思っただけなの!」
「他にも作った物?.....」
「そうなのッ!他にも作ってみたのッ!!」
少しだけ食いついた母さんの表情に目を輝かせるアイラさんさん。
「色々試してみたい事があって作ってみたんだけど他の人の意見も聞きたいのよー。マディソンこういうの好きみたいだし...」
ダメかしら?...さっきとは違っておずおずと母さんの様子を伺いながら聞いてくるアイラさん。
その姿に折れたのか、母さんは溜め息をつきながら私を見てきた。
「マディソン...アイラがキコの実の水みたいな面白い物を作ったんですって。見てみたい?」
どっちでも良いわよ?と私の判断に委ねてくる。
だけど母さんの背後から...お願いッ!と私に拝んでくるアイラさんの姿が見えた。
「わ、私.....見てみたいかも...」
「良いの?!ありがとうー!マディソンッ!!」
「はぁー。......仕方ないわね...」
必死なアイラさんの姿とちょっとした好奇心に私はアイラさんの家に行く事に決めた。
だが今から行くのはやる事もあったから無理だ。
そして母さんとアイラさんが話し合って3日後にお邪魔する事になった。
「じゃあ3日後楽しみに待ってるわねー。」
約束を取りつけられて満足したのか、満面の笑みで帰っていったアイラさん。
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