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ー本編ー
最後の修羅場②
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「謝罪など必要ない。
私達が望む事はもう伝えた筈だが?・・・」
謝罪をしようとしないルーチェ様を更に怒鳴りつけようとしていたルーチェ様のお父様に冷たい声で告げたお祖父様。
「・・ッ・・・承知致しました。
今後、皆様には関わらせません・・・」
「お父様ッッッ!!!」
納得いかないと声を荒げるルーチェ様
「お前の1番の望みは何だ。」
低い声でルーチェ様へと問うルーチェ様のお父様・・・。
余りの低さにビクッと怯えながらもルーチェ様は未だに事態の深刻さに気づけていない様子・・
「え?・・・ジオル様と幸せになる事です。」
「お前達の婚姻は陛下の御墨付きだ。
スペンサー侯爵を幸せにしたいのなら婚姻後にお前がすればいい・・・子供も2人の間でどうにかすればいい問題だ。これ以上ヴィオレット嬢をお前の都合に巻き込むな。」
思っていた以上の厳しい視線と言葉にルーチェ様は動揺して反論しようとしていたが、そんな娘の態度をわかっていたのか、
「それにヴィオレット嬢が居なければスペンサー侯爵を幸せに出来ないとお前が言うのであればお前達の愛とやらも大したことはなさそうだな・・・」と発破をかけていた。
「なっ・・・いくらお父様でも許せないわ!ジオル様には私がついています!必ずや2人で幸せになってみせます!!」
(流石、父親・・・娘の扱い方がわかってる。)
私達はルーチェ様親子のやり取りを聞きながらお父様へと視線を移した・・・
愛するルーチェ様がお父様と幸せになると宣言したにも関わらず、相変わらず薄暗い目をして言葉を口にしない・・・
「はぁぁぁぁぁぁ。
情けない奴だ・・・このように腑抜けてしまいおって・・・。貴族として、侯爵家としての誇りはどこに捨てて来たのだ・・・」
お祖父様は溜め息をつきながら軽蔑の視線をお父様へと向けた。
だがそんな視線も感じない程、意識が飛んでいるのか・・・目の焦点が合わずどこか恐ろしく感じた。
(・・・・・・・・・そんなになるくらいならどうして、あの女を選んだのよ・・・)
あの日から私の中で不快感→悲壮感→怒り等の心の変化があったが現在の気持ちとしては、不貞腐れてるというのが当てはまるのかも・・・
(だってこれだけ反省して後悔してる姿を見たら怒りよりも何で?って思っちゃうよ・・・
まぁ怒りもまだまだあるけどね・・・。)
私の表情がほんの少し柔らかくなったのがわかったのか側にいてくれていたお祖母様が動いた・・・
「いつまで情けない姿を晒すつもりですか。今、貴方がここで落ちぶれたら本当に私達との縁は切れるでしょうね・・・
それとも貴方はもうヴィオレットを忘れてしまったのかしら?」
お父様の目にうっすらと光が映った・・・
「貴方はあの娘と婚姻します。それは決定事項でしょう。そして私達はこの国を出ます。ヴィオレットの事は新たな地で必ずや幸せにしてみせます。」
「ですが・・・いつの日か・・・ヴィオレットの心の傷が癒える日が訪れ、あの子が貴方に会う事を望むのであれば・・・私達が貴方とヴィオレットを再び会わせましょう。」
「訪れるかわからない日を希望に貴方は立ち続けなさい。それが貴方に対する罰であり、餞別です。」
「・・・・・・・・・・・・」
お父様の瞳には光が戻り涙が溢れていた・・
(お祖母様ッ・・・ありがとう・・・)
お祖母様の優しさや厳しさに私は胸に込み上げてくる物を感じながらグッとこらえ顔を無にしてわざと冷たい声を出してお父様の瞳を睨み付けた。
「私は隣国へ行きます。
そこで貴方より素敵な男性を見つけて必ず貴方達より幸せになってみせます。・・・・・もしこの先お会いする機会があるのであれば、これ以上私を落胆させないでもらいたいですわ。」
そう言いお父様に背を向けた・・・
「あ、あぁ・・・これ以上無様な姿は晒さない。ヴィオにもう1度会ってもいいと思ってもらえるように・・・お父様と呼んでもらえるように・・・この国で私は生きていくよ。」
「ヴィオレット・・・・・・・・私はあの日からまだ1度も伝えていなかった・・・
私は自分の欲望を優先させ、ヴィオの信頼を裏切り、傷つけた・・・そしてその事にすら気付かず更に深い傷をヴィオに与えてしまった。
許されるとは思ってはいない・・・だが言わせてほしい。本当にすまなかった・・・ヴィオレット・・・。
ヴィオが幸せになれるように祈っている・・」
(狡いんだから・・・本当・・・今になって謝るなんて・・・)
私は溢れそうな涙をグッとこらえ、目蓋をきつく閉じた・・・・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その後、陛下との話し合いでお父様とルーチェ様の婚姻は確定し、私達の身分返上、そして隣国移住の件を話し合った・・・
だが予想に反して揉める事はなくすんなりと陛下は引き下がり私達は貴族ではなくなった。
私達が望む事はもう伝えた筈だが?・・・」
謝罪をしようとしないルーチェ様を更に怒鳴りつけようとしていたルーチェ様のお父様に冷たい声で告げたお祖父様。
「・・ッ・・・承知致しました。
今後、皆様には関わらせません・・・」
「お父様ッッッ!!!」
納得いかないと声を荒げるルーチェ様
「お前の1番の望みは何だ。」
低い声でルーチェ様へと問うルーチェ様のお父様・・・。
余りの低さにビクッと怯えながらもルーチェ様は未だに事態の深刻さに気づけていない様子・・
「え?・・・ジオル様と幸せになる事です。」
「お前達の婚姻は陛下の御墨付きだ。
スペンサー侯爵を幸せにしたいのなら婚姻後にお前がすればいい・・・子供も2人の間でどうにかすればいい問題だ。これ以上ヴィオレット嬢をお前の都合に巻き込むな。」
思っていた以上の厳しい視線と言葉にルーチェ様は動揺して反論しようとしていたが、そんな娘の態度をわかっていたのか、
「それにヴィオレット嬢が居なければスペンサー侯爵を幸せに出来ないとお前が言うのであればお前達の愛とやらも大したことはなさそうだな・・・」と発破をかけていた。
「なっ・・・いくらお父様でも許せないわ!ジオル様には私がついています!必ずや2人で幸せになってみせます!!」
(流石、父親・・・娘の扱い方がわかってる。)
私達はルーチェ様親子のやり取りを聞きながらお父様へと視線を移した・・・
愛するルーチェ様がお父様と幸せになると宣言したにも関わらず、相変わらず薄暗い目をして言葉を口にしない・・・
「はぁぁぁぁぁぁ。
情けない奴だ・・・このように腑抜けてしまいおって・・・。貴族として、侯爵家としての誇りはどこに捨てて来たのだ・・・」
お祖父様は溜め息をつきながら軽蔑の視線をお父様へと向けた。
だがそんな視線も感じない程、意識が飛んでいるのか・・・目の焦点が合わずどこか恐ろしく感じた。
(・・・・・・・・・そんなになるくらいならどうして、あの女を選んだのよ・・・)
あの日から私の中で不快感→悲壮感→怒り等の心の変化があったが現在の気持ちとしては、不貞腐れてるというのが当てはまるのかも・・・
(だってこれだけ反省して後悔してる姿を見たら怒りよりも何で?って思っちゃうよ・・・
まぁ怒りもまだまだあるけどね・・・。)
私の表情がほんの少し柔らかくなったのがわかったのか側にいてくれていたお祖母様が動いた・・・
「いつまで情けない姿を晒すつもりですか。今、貴方がここで落ちぶれたら本当に私達との縁は切れるでしょうね・・・
それとも貴方はもうヴィオレットを忘れてしまったのかしら?」
お父様の目にうっすらと光が映った・・・
「貴方はあの娘と婚姻します。それは決定事項でしょう。そして私達はこの国を出ます。ヴィオレットの事は新たな地で必ずや幸せにしてみせます。」
「ですが・・・いつの日か・・・ヴィオレットの心の傷が癒える日が訪れ、あの子が貴方に会う事を望むのであれば・・・私達が貴方とヴィオレットを再び会わせましょう。」
「訪れるかわからない日を希望に貴方は立ち続けなさい。それが貴方に対する罰であり、餞別です。」
「・・・・・・・・・・・・」
お父様の瞳には光が戻り涙が溢れていた・・
(お祖母様ッ・・・ありがとう・・・)
お祖母様の優しさや厳しさに私は胸に込み上げてくる物を感じながらグッとこらえ顔を無にしてわざと冷たい声を出してお父様の瞳を睨み付けた。
「私は隣国へ行きます。
そこで貴方より素敵な男性を見つけて必ず貴方達より幸せになってみせます。・・・・・もしこの先お会いする機会があるのであれば、これ以上私を落胆させないでもらいたいですわ。」
そう言いお父様に背を向けた・・・
「あ、あぁ・・・これ以上無様な姿は晒さない。ヴィオにもう1度会ってもいいと思ってもらえるように・・・お父様と呼んでもらえるように・・・この国で私は生きていくよ。」
「ヴィオレット・・・・・・・・私はあの日からまだ1度も伝えていなかった・・・
私は自分の欲望を優先させ、ヴィオの信頼を裏切り、傷つけた・・・そしてその事にすら気付かず更に深い傷をヴィオに与えてしまった。
許されるとは思ってはいない・・・だが言わせてほしい。本当にすまなかった・・・ヴィオレット・・・。
ヴィオが幸せになれるように祈っている・・」
(狡いんだから・・・本当・・・今になって謝るなんて・・・)
私は溢れそうな涙をグッとこらえ、目蓋をきつく閉じた・・・・・・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その後、陛下との話し合いでお父様とルーチェ様の婚姻は確定し、私達の身分返上、そして隣国移住の件を話し合った・・・
だが予想に反して揉める事はなくすんなりと陛下は引き下がり私達は貴族ではなくなった。
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