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~第一章~
偽物だった王女様
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今宵、王家が主催した夜会が執り行われていた。
優雅な音楽に華やかな衣装を身に纏った者達がダンスに興じ、社交を楽しんでいた。
第二王女である私は王族としてもてなす為、お父様達よりも一足先に会場入りしていた。
何故か婚約者がエスコートにやって来なかったのを不思議に思いながら……
貴族からの挨拶を受けていると、会場の奥からざわめく周囲の声と共に私の婚約者と見知らぬ少女が現れた。
ふわふわとした金髪を宝石が輝いている花型の髪留めでハーフアップに纏め、まんまるで可愛らしい青目が印象的な少女であった。
歩く度に水色のシフォンドレスが揺れて、その姿は何とも可憐で妖精のようでだった。
そんな二人を唖然と見つめていると婚約者が私を突然、突拍子もない理由で断罪してきた。
「今ここに、17年間偽られ続けた真実を証すッ! ここにいるアクリアーナは本物の王女ではないッ! 妖精の取り替え子によって偽られた偽物だッ!」
え……妖精の取り替え子?
私は混乱を表情に出さないように必死で取り繕った。
「そなた達も知っているだろう! この世界に存在すると言われている妖精の悪戯好きを! 見てみるがいい、ここにいるマルヴィーア王家特有の色や容姿を持ったサマンサを!」
仮にも婚約者の国の夜会会場だというのに、まるで自国にいるように演説している隣国の王子様。
自分の功績をひけらかすように少女を前に押し出した。
少女は一瞬怯えた表情を見せた後、力強い視線と声で周囲に自分の訴えを告げた。
「お初にお目にかかります。私は城下町で暮らすサマンサと申します。いきなり現れた事、深くお詫び致します。ですが、先日妖精様が私の元に現れ、私が母のお腹にいた時にそちらにいらっしゃるアクリアーナ様と胎児を取り替えたと夢で告げられたのです。」
貴族達からの注目にもめげず凛とした態度で立ち続けていた。
見た目や存在感のせいかな?
彼女は、私が17年間苦労してようやく少しずつ得られていた貴族からの信頼を一瞬で手に入れていた。
「妖精の取り替えた子だったとは……」
「だから王家の方々とはあんなにも違ったのか。」
「あの方が本物の第二王女様……」
「何て美しい方なんだ。……王妃様や第一王女様の面影を感じるぞ!」
興奮しているのか、私に聞こえるように噂していく。
その声の中に誰一人として私を庇う者は現れなかった。
さっきまでは、『第二王女の最近の成長は素晴らしいな。』と言ってくれてたのに。
あんな苦労して手に入れた私の称賛だったのに受けれた時間は短かったな……
周囲の反応を見て自分の優位を感じたのか、畳み掛けるように私を責めてきた婚約者。
話ながらズカズカと私の元へ歩みを進める姿に恐怖を感じた。
「お前は知っていた筈だぞ! 自分が王族ではないと! 見た目も才能もなかったお前が生粋の王族な筈がない! それを自分可愛さに第二王女の座にしがみついていたのだ! 恥を知れっ! 薄汚い平民がっ!!」
憎悪のこもった視線で私を睨みつけ、頬を力一杯叩いてきた。罪人には相応しい罰だと歪んだ笑顔を浮かべて。
「……ッ……!」
突然の暴挙に軽口で噂をしていた貴族達の声はやみ、静まりかえった。
えっと……仮に私が妖精の取り替えた子だったとしても、私にそれを知る術はなかったんだけど。
何で私が罰せられる訳?
まだお父様達が認めた訳でもないのに……
幼い頃、立場の悪かった私の事を心配したお父様が隣国の王子様との婚約を用意してくれた。
この国で嫁ぐには容姿が必ず枷になる。貴族達から王族と認められていなかった私を肩身の狭い家に嫁がせるぐらいなら、隣国で幸せになって欲しいという両親からの強い願いだった。
同じ歳の王子、クリスディーク様。
美しくて聡明で……自分に従う好みの婚約者が欲しかったお子様王子は私の存在を厭っていた。
自国で王族として認められていない、自分には相応しくない女を何で娶らなくてはいけない!
会う度に不満げな態度を示すクリスディーク様。
王族として認められてないのも、王子様に相応しくないのも事実だったから私が努力して婚約者として認めてもらおうと思っていた。……だがそれも無意味だったらしい。
何がどうなってこの二人が出会ったのか、どうしてこんな事になっているのかわからなかった。
「穢らわしいお前との婚約は破棄して、ここにいる本物の第二王女であるサマンサと新たな婚約を結ぶ!」
声高らかに叫んだ婚約者の姿は自信に溢れていた。
「クリス様……」
ぐいっと腰を引き寄せられたサマンサは頬を赤く染めながら潤んだ瞳で見上げた。
……二人は愛称を許し、抱き合うのも自然な関係なのね。
隣国の王子の発言や本物の第二王女の出現。
その二人の他人だとは思えない新密度を見せつけられ夜会会場はかつてない程の混乱に支配されていた。
「これは一体何の騒ぎだ。」
恐ろしく平坦な声と共に国王陛下が王妃様を伴って現れた。
慌てて礼をとる貴族達。
私も優雅に礼をしながら考えた。
本来ならお父様達の元に行って私が説明すべきだ。
だけど妖精の取り替えた子が本当の話なら? 私ではなくあの子が本物の第二王女だとしたら、私はもう側には近寄れない。
身動きとれずに固まっていると、怪訝そうな表情で国王陛下が問いかけてきた。
「アクリアーナ、説明せよ。この騒ぎは何だ。」
「……ぁっ……」
わかっている。今はまだ王族なのだから動揺などみせずに役目を果たさなくてはならない。
だけど体が……口が……思うように動かない。
歩きだそうと足に力を入れても、声を出そうと喉に力を入れてもどこかに消えていってしまう。
今の私にはこの場から逃げ出さないだけで精一杯だった。
国王の命令を無視して立ち尽くす私をお母様が心配そうに見つめているのがわかる。
……私にそんな視線を受ける権利があるのだろうか。
「どうしたのだ。アクリーー」
「マルヴィーア国王!アクリアーナは今、自分の罪を暴かれたばかりで説明などは無理でしょう!ですから私が全てご説明致します!」
何一つ許可など出ていないのに勝手に頭を上げて、国王陛下の話を過った不届き者。
「ヒィッ……!」
誰の口から漏れたのかはわからないが、ありえない所業に小さな悲鳴が私の耳に届いた。
誰もが思っただろう。
ーー隣国の王子様はもう終わったと。
「アクリアーナは自分が妖精の取り替え子だというのを知りながら第二王女の座に居座り続けた悪女なのです! 貴方の本物の娘はここにいるサマンサです!」
「お、お父様……?」
震えながら不安そうに声を溢し、青い瞳を潤ませて涙が一筋頬を伝っていった。
庇護欲を誘うようなその仕草は誰の心にも感動を生んだ。
親子の感動の再会に……
何なんだろう。この人には人の心を操る才能でもあるのかな?
またも簡単に周囲の空気を変えた彼女に私はこれが本物の王族なんだろうなと何処かで納得していた。
だが当の本人であった父親の国王陛下は表情をピクリとも動かさず低い声で問いかけた。
「何を持ってしてそんな事を言い出した。……隣国の王子とはいえ我が国での行いがいささか過ぎるのではないか。」
あきらかに自分達の話を受け入れていない国王の態度を見て自分の失態にようやく気がついた。
目立つ場所で断罪を行って、真実を握り潰されないようにと考えていたのだが……。
自分に似たサマンサの姿を見れば王の心が動くと踏んでいたのは浅はかな考えだった。
国王の鋭い視線に、冷や汗が噴き出す。
何とか自分の正当性を伝えようと、言葉につまりながらも必死で説明した。
「あ、あ……の、それは…………サ、サマンサが……貴方の娘が妖精に告げられたと……」
矛先を無理矢理向けられたにもかかわらず、動じる様子のないサマンサは深い悲しみの表情で自分の境遇を訴えた。
「私は昔から自分の家族に違和感を感じていました。家族と一人だけ姿が違い、馴染むことの出来ない距離感。妖精様から私が国王陛下の娘だと告げられた時、混乱よりも先に納得していたのです。私が家族に馴染めないのは別の家の子供だったからだと。本来関わる事のなかった人や場所に馴染めないのは当たり前だと告げられました。」
「証拠はあるのか。」
「……妖精様のした事ですから証拠なんてありません。ただ……私が覚えているのは優しい女性の歌声だけです。いつ聞いたのかも覚えていない私の頭の中に存在する歌です。」
サマンサは記憶の中にあったうろ覚えの歌をたどたどしく歌った。
きごちない歌声ではあったが、柔らかで澄んだ声は会場内に響いた。
そしてその歌に動揺を示したのは国王陛下の隣にいた王妃様であった。
「そ、それは私がお腹の中にいた子の為に歌っていた歌っ!」
小さく叫ぶように溢れた声は貴族達の耳にも届いた。
王妃様だけが知る事ができる事実を知っていた。
それは即ち、サマンサが王妃様のお腹の中で育った胎児であったという事実だ。
……私……お母様が歌ってる所なんて見た事もない。
サマンサが本物の王女だと証明された瞬間、もう誰にも止められないほど貴族達の空気は歓喜に包まれていた。
「おお! 何という事か!」
「17年の歳月を経て本物の王女様が戻って来られたぞ!」
「サマンサ様っ! 万歳っ!」
「美しき親子の絆が奇跡を生んだのだ!」
「なんと素晴らしき夜なのだ!」
「早く国民にも知らせねばっ!」
サマンサが本物の王女。誰もがそう言っていた。
先程まで疑っていた国王陛下や王妃様でさえ、サマンサから目を離すことが出来なかった。
そのすぐ側で一人涙を流している偽りの娘がいるのにも目をくれずに。
優雅な音楽に華やかな衣装を身に纏った者達がダンスに興じ、社交を楽しんでいた。
第二王女である私は王族としてもてなす為、お父様達よりも一足先に会場入りしていた。
何故か婚約者がエスコートにやって来なかったのを不思議に思いながら……
貴族からの挨拶を受けていると、会場の奥からざわめく周囲の声と共に私の婚約者と見知らぬ少女が現れた。
ふわふわとした金髪を宝石が輝いている花型の髪留めでハーフアップに纏め、まんまるで可愛らしい青目が印象的な少女であった。
歩く度に水色のシフォンドレスが揺れて、その姿は何とも可憐で妖精のようでだった。
そんな二人を唖然と見つめていると婚約者が私を突然、突拍子もない理由で断罪してきた。
「今ここに、17年間偽られ続けた真実を証すッ! ここにいるアクリアーナは本物の王女ではないッ! 妖精の取り替え子によって偽られた偽物だッ!」
え……妖精の取り替え子?
私は混乱を表情に出さないように必死で取り繕った。
「そなた達も知っているだろう! この世界に存在すると言われている妖精の悪戯好きを! 見てみるがいい、ここにいるマルヴィーア王家特有の色や容姿を持ったサマンサを!」
仮にも婚約者の国の夜会会場だというのに、まるで自国にいるように演説している隣国の王子様。
自分の功績をひけらかすように少女を前に押し出した。
少女は一瞬怯えた表情を見せた後、力強い視線と声で周囲に自分の訴えを告げた。
「お初にお目にかかります。私は城下町で暮らすサマンサと申します。いきなり現れた事、深くお詫び致します。ですが、先日妖精様が私の元に現れ、私が母のお腹にいた時にそちらにいらっしゃるアクリアーナ様と胎児を取り替えたと夢で告げられたのです。」
貴族達からの注目にもめげず凛とした態度で立ち続けていた。
見た目や存在感のせいかな?
彼女は、私が17年間苦労してようやく少しずつ得られていた貴族からの信頼を一瞬で手に入れていた。
「妖精の取り替えた子だったとは……」
「だから王家の方々とはあんなにも違ったのか。」
「あの方が本物の第二王女様……」
「何て美しい方なんだ。……王妃様や第一王女様の面影を感じるぞ!」
興奮しているのか、私に聞こえるように噂していく。
その声の中に誰一人として私を庇う者は現れなかった。
さっきまでは、『第二王女の最近の成長は素晴らしいな。』と言ってくれてたのに。
あんな苦労して手に入れた私の称賛だったのに受けれた時間は短かったな……
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話ながらズカズカと私の元へ歩みを進める姿に恐怖を感じた。
「お前は知っていた筈だぞ! 自分が王族ではないと! 見た目も才能もなかったお前が生粋の王族な筈がない! それを自分可愛さに第二王女の座にしがみついていたのだ! 恥を知れっ! 薄汚い平民がっ!!」
憎悪のこもった視線で私を睨みつけ、頬を力一杯叩いてきた。罪人には相応しい罰だと歪んだ笑顔を浮かべて。
「……ッ……!」
突然の暴挙に軽口で噂をしていた貴族達の声はやみ、静まりかえった。
えっと……仮に私が妖精の取り替えた子だったとしても、私にそれを知る術はなかったんだけど。
何で私が罰せられる訳?
まだお父様達が認めた訳でもないのに……
幼い頃、立場の悪かった私の事を心配したお父様が隣国の王子様との婚約を用意してくれた。
この国で嫁ぐには容姿が必ず枷になる。貴族達から王族と認められていなかった私を肩身の狭い家に嫁がせるぐらいなら、隣国で幸せになって欲しいという両親からの強い願いだった。
同じ歳の王子、クリスディーク様。
美しくて聡明で……自分に従う好みの婚約者が欲しかったお子様王子は私の存在を厭っていた。
自国で王族として認められていない、自分には相応しくない女を何で娶らなくてはいけない!
会う度に不満げな態度を示すクリスディーク様。
王族として認められてないのも、王子様に相応しくないのも事実だったから私が努力して婚約者として認めてもらおうと思っていた。……だがそれも無意味だったらしい。
何がどうなってこの二人が出会ったのか、どうしてこんな事になっているのかわからなかった。
「穢らわしいお前との婚約は破棄して、ここにいる本物の第二王女であるサマンサと新たな婚約を結ぶ!」
声高らかに叫んだ婚約者の姿は自信に溢れていた。
「クリス様……」
ぐいっと腰を引き寄せられたサマンサは頬を赤く染めながら潤んだ瞳で見上げた。
……二人は愛称を許し、抱き合うのも自然な関係なのね。
隣国の王子の発言や本物の第二王女の出現。
その二人の他人だとは思えない新密度を見せつけられ夜会会場はかつてない程の混乱に支配されていた。
「これは一体何の騒ぎだ。」
恐ろしく平坦な声と共に国王陛下が王妃様を伴って現れた。
慌てて礼をとる貴族達。
私も優雅に礼をしながら考えた。
本来ならお父様達の元に行って私が説明すべきだ。
だけど妖精の取り替えた子が本当の話なら? 私ではなくあの子が本物の第二王女だとしたら、私はもう側には近寄れない。
身動きとれずに固まっていると、怪訝そうな表情で国王陛下が問いかけてきた。
「アクリアーナ、説明せよ。この騒ぎは何だ。」
「……ぁっ……」
わかっている。今はまだ王族なのだから動揺などみせずに役目を果たさなくてはならない。
だけど体が……口が……思うように動かない。
歩きだそうと足に力を入れても、声を出そうと喉に力を入れてもどこかに消えていってしまう。
今の私にはこの場から逃げ出さないだけで精一杯だった。
国王の命令を無視して立ち尽くす私をお母様が心配そうに見つめているのがわかる。
……私にそんな視線を受ける権利があるのだろうか。
「どうしたのだ。アクリーー」
「マルヴィーア国王!アクリアーナは今、自分の罪を暴かれたばかりで説明などは無理でしょう!ですから私が全てご説明致します!」
何一つ許可など出ていないのに勝手に頭を上げて、国王陛下の話を過った不届き者。
「ヒィッ……!」
誰の口から漏れたのかはわからないが、ありえない所業に小さな悲鳴が私の耳に届いた。
誰もが思っただろう。
ーー隣国の王子様はもう終わったと。
「アクリアーナは自分が妖精の取り替え子だというのを知りながら第二王女の座に居座り続けた悪女なのです! 貴方の本物の娘はここにいるサマンサです!」
「お、お父様……?」
震えながら不安そうに声を溢し、青い瞳を潤ませて涙が一筋頬を伝っていった。
庇護欲を誘うようなその仕草は誰の心にも感動を生んだ。
親子の感動の再会に……
何なんだろう。この人には人の心を操る才能でもあるのかな?
またも簡単に周囲の空気を変えた彼女に私はこれが本物の王族なんだろうなと何処かで納得していた。
だが当の本人であった父親の国王陛下は表情をピクリとも動かさず低い声で問いかけた。
「何を持ってしてそんな事を言い出した。……隣国の王子とはいえ我が国での行いがいささか過ぎるのではないか。」
あきらかに自分達の話を受け入れていない国王の態度を見て自分の失態にようやく気がついた。
目立つ場所で断罪を行って、真実を握り潰されないようにと考えていたのだが……。
自分に似たサマンサの姿を見れば王の心が動くと踏んでいたのは浅はかな考えだった。
国王の鋭い視線に、冷や汗が噴き出す。
何とか自分の正当性を伝えようと、言葉につまりながらも必死で説明した。
「あ、あ……の、それは…………サ、サマンサが……貴方の娘が妖精に告げられたと……」
矛先を無理矢理向けられたにもかかわらず、動じる様子のないサマンサは深い悲しみの表情で自分の境遇を訴えた。
「私は昔から自分の家族に違和感を感じていました。家族と一人だけ姿が違い、馴染むことの出来ない距離感。妖精様から私が国王陛下の娘だと告げられた時、混乱よりも先に納得していたのです。私が家族に馴染めないのは別の家の子供だったからだと。本来関わる事のなかった人や場所に馴染めないのは当たり前だと告げられました。」
「証拠はあるのか。」
「……妖精様のした事ですから証拠なんてありません。ただ……私が覚えているのは優しい女性の歌声だけです。いつ聞いたのかも覚えていない私の頭の中に存在する歌です。」
サマンサは記憶の中にあったうろ覚えの歌をたどたどしく歌った。
きごちない歌声ではあったが、柔らかで澄んだ声は会場内に響いた。
そしてその歌に動揺を示したのは国王陛下の隣にいた王妃様であった。
「そ、それは私がお腹の中にいた子の為に歌っていた歌っ!」
小さく叫ぶように溢れた声は貴族達の耳にも届いた。
王妃様だけが知る事ができる事実を知っていた。
それは即ち、サマンサが王妃様のお腹の中で育った胎児であったという事実だ。
……私……お母様が歌ってる所なんて見た事もない。
サマンサが本物の王女だと証明された瞬間、もう誰にも止められないほど貴族達の空気は歓喜に包まれていた。
「おお! 何という事か!」
「17年の歳月を経て本物の王女様が戻って来られたぞ!」
「サマンサ様っ! 万歳っ!」
「美しき親子の絆が奇跡を生んだのだ!」
「なんと素晴らしき夜なのだ!」
「早く国民にも知らせねばっ!」
サマンサが本物の王女。誰もがそう言っていた。
先程まで疑っていた国王陛下や王妃様でさえ、サマンサから目を離すことが出来なかった。
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