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私、エレノアは中堅どころの子爵の娘として生まれた。
中堅どころ、すなわち可もなく不可もないとりあえずご先祖さまからの遺産を減らさず次に繋げてこれた家、である。
畑があって村があって、それなりの税収は入るが我が領だけの「これ」といった特産品もない。
毎年大体同じくらいの収穫される農産物を、ずっと同じ商人におろして、同じくらいの現金を得る。
贅沢はできないけれど、平和でのんびりした家だった。
ただ、私が生まれて両親が戸惑ったのも確かだった。
今度こそ跡継ぎ男の子を、という望みをかけて生んだ子供が5人目の娘だったのだ。
この時母30歳。
この国の貴族としては高齢の出産であり、最後の出産となった。
これ以上は無理だったから。
いや、本当は経済的に3人目から無理だったのだが、男の子を諦めきれなかったから頑張ったのだ。
結果は女の子。
母子ともに無事産まれたことを喜びつつ、両親がまず考えたのが4人分の持参金と婿取りにかかるお金についてだったのは無理からぬことだった。
そんな、産まれた時から両親の期待を裏切った私であったが、幸福なことに家族から愛されて育った。
そんな私の人生の転機は3回あった。
1回目は3歳の時。
私の預かり知らぬところで起こった。
2番目の姉アリシア(当時13歳)が魔物討伐部隊の慰問に行って、見染められたのだ。
公爵家の後継ぎ(当時15歳初陣)に。
(ちなみに慰問へは1番目の姉ミリアム(当時16歳)も行っていた)
紆余曲折はあったが、最後は当人同士と気持ちと、我が家が爵位の高さ以外は問題ない家だったことから婚約が成立した。
アリシアが肩身の狭い思いをしないよう、頑張った両親の気持ちは理解できる。
ただその結果。
下の娘3人の持参金は用意できなくなった。
婚約が成立した時に、私は成人したら修道院に行くことが決定した。
三番目の姉スザナはミリアムの貴族学校の先輩の侯爵家の侍女に、四番目の姉リリアルは親戚の男爵家に子供が産まれなかったら養子になることになっていた。
中堅どころ、すなわち可もなく不可もないとりあえずご先祖さまからの遺産を減らさず次に繋げてこれた家、である。
畑があって村があって、それなりの税収は入るが我が領だけの「これ」といった特産品もない。
毎年大体同じくらいの収穫される農産物を、ずっと同じ商人におろして、同じくらいの現金を得る。
贅沢はできないけれど、平和でのんびりした家だった。
ただ、私が生まれて両親が戸惑ったのも確かだった。
今度こそ跡継ぎ男の子を、という望みをかけて生んだ子供が5人目の娘だったのだ。
この時母30歳。
この国の貴族としては高齢の出産であり、最後の出産となった。
これ以上は無理だったから。
いや、本当は経済的に3人目から無理だったのだが、男の子を諦めきれなかったから頑張ったのだ。
結果は女の子。
母子ともに無事産まれたことを喜びつつ、両親がまず考えたのが4人分の持参金と婿取りにかかるお金についてだったのは無理からぬことだった。
そんな、産まれた時から両親の期待を裏切った私であったが、幸福なことに家族から愛されて育った。
そんな私の人生の転機は3回あった。
1回目は3歳の時。
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2番目の姉アリシア(当時13歳)が魔物討伐部隊の慰問に行って、見染められたのだ。
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紆余曲折はあったが、最後は当人同士と気持ちと、我が家が爵位の高さ以外は問題ない家だったことから婚約が成立した。
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ただその結果。
下の娘3人の持参金は用意できなくなった。
婚約が成立した時に、私は成人したら修道院に行くことが決定した。
三番目の姉スザナはミリアムの貴族学校の先輩の侯爵家の侍女に、四番目の姉リリアルは親戚の男爵家に子供が産まれなかったら養子になることになっていた。
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