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第十節「狂騒鳥曲 死と願い 少女が為の青空」

~堕空に馳せる~

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 ちゃなが落ち、ライゴも逝った。
 人間側に残る戦力はもはや勇達とジョゾウのみ。
 自慢のドローンもちゃなの救助に充てられ、たった三機しか残っていない。

 戦力も乏しく、足場も無く。
 遠距離砲撃を駆使するロゴウに近づく術すらない。
 今あるのは頭上を取ったという優位性だけだ。

 しかし攻撃手段さえ無い今の勇達には優位でも何でもない。
 ただただ牽制し合い、相手の攻撃を抑える事しか。

「ジョゾウよ、何故そこまでして戦う? 主の契りを交わしていようと、其れは所詮一時的なものに過ぎんハズ。 其方の心持ちで幾らでも覆せよう?」

 そんな中でロゴウから放たれたのは炎では無く、言葉だった。

 戦力・戦況的優位に立ったからこその自信の表れでもあったのだろう。
 そもそもロゴウ自体も同族と戦う事は余り好んでいなかったのかもしれない。

 それでもライゴを撃ったのは己の志ゆえに。
 時には犠牲を払ってでも事を成す、王としての判断だ。

 もっとも、ロゴウ自体は余りライゴの存在を良く思ってはいなかった様だが。

「それはロゴウとて同じでは無いかッ!! 何故謀反を起こした!? 何故ライゴを撃った!?」

「謀反、だと? これは【カラクラ族】の総意、王たる儂の意思なるぞ! その志を己が感情のみで妨げんとした単細胞など、我が里には必要は無ぁい!!」

「なんと!? 何を言うているのだロゴウッ!! 現主殿に反旗しフェノーダラを襲うと言うたのはお主自身ではないかぁ!!」

「ッ!? 儂がか!?  ―――いいや儂はそんな事言うてはおらぬ、断じてぇい!!」

 いやそれどころか、どこか話が噛み合っていない。
 まるで自分達が【カラクラ族】の総意であると言って聞かんばかりに。
 謀反を起こしたのが自分では無くジョゾウ達だとでも思っているのだろうか。

 反応は側近達も同じだ。
 皆がジョゾウの話が理解出来ないと言わんばかりに首を傾げている。
 中には「何をとぼけている」と嘲笑する者までが。

 これにはジョゾウ達も唖然とするばかりだ。
 事情を聞いている勇もが戸惑いを隠せずにいて。

「ジョゾウさん、これは一体どういう事なんですか!?」

「わ、わからぬッ!! 拙僧には何が起きているのかさっぱりわからぬゥ!!」

 まるで悪い夢を見ているかの様だ。
 実は人間の主など居なくて。
 夢想世界の者に勇達と協力するよう言われたみたいで。

 でもそれは間違い無く現実だ。
 勇は夢幻でもなく現実に居て、実際に協力してくれている。
 夢で見ただけならこうも上手くいくはずも無い。

 勇にとってだってそうだ。
 ジョゾウ達が会いに来て、話す事も出来れば絆だって結べている。
 実際に今こうして一緒に戦う事だって出来ている。
 夢のような出来事には変わりないが、紛れも無く現実の事だから。

「訳のわからん幻想に縛られた其方の言葉など、もはや聞くに値せん! 今を以て儂の手で焼き尽くしてくれよう、その妄想と共にッ!!」

「させぬ!! 決してそのような事はぁ!!」

 ただその真意を確かめる時間など今は無い。
 ロゴウが今も敵意を向け、赤の光を灯しているのだから。
 聞く耳持たず、その在り方は未だ変わらないらしい。

「もうダメだジョゾウさんッ!! 俺はいくッ!! こいつらを倒さないと、俺が収まらないッ!!」

「承知!! ならばかくなる上は―――皆の者、櫓を棄てて単騎戦闘開始ィ!!」

 故にジョゾウも決意を決めた。
 例え何を言おうがロゴウの目的は変わらないのだ。
 ならば、今信じる勇の想いに応える他に道は無い。

 その叫びと共に勇が跳び出し、櫓が宙を舞う。
 ジョゾウ、ミゴ、ドウベ、ロンボウが四方に散り行くその中で。
 櫓喪失を想定した特攻戦術である。

 その間際に放たれていた炎がたちまち櫓を焼く事に。
 そうして生まれた爆炎が、爆音が狼煙となって空を裂く。

「おおおーーーーーーッッ!!」

「ぬうッ!! またしても羽無しにんげん如きが空をッ!?」

 その爆炎も今や勇の背を後押ししてくれる。
 降下の勢いを押し上げ、相手の予測をも覆す動きへと進化させる程に。

 ただ、そのまま振り下ろした剣は空を切るのみ。
 皆が怖れて離れていたからだ。
 下手に足場を与えなければ落ちていくだけだろうと。

 しかしその動きは杉浦達にお見通しだった。

 ロゴウ達が避けて出来た道先にはドローンが待ち構えていたのだ。
 たった三基でも、足場としては充分。
 ならばと勇がその足を突き、ドローンを蹴り飛ばす程の勢いで跳ね上がる。

 凄まじい速さだ。
 訓練の時に見せた以上に。
 ロゴウ達が慄く程の。
 
 側近の一人が斬られた事に気付く間さえ無い程に。

「ぐええッ!?」

「よしまた一人ッ!!」

 その力の根源はやはり怒り。
 ちゃなを落とし、ライゴを葬ったロゴウ達に向けての。
 そうして生まれ出た力は勇自身に推力を与える程に強かったのだ。

 つまり、今の勇は空中での加速が出来る。
 それのみならず、軽い軌道変更さえ可能という。

 すなわち今の勇は空中であっても自由自在。
 足場さえあればその力次第でどこまででも跳ねられよう。

 そしてその足場は何もドローンだけとは限らない。

「カァァァ!!」

「おのれ小童ァ!!」

 四方に散っていたジョゾウ達がロゴウ達へと接近戦を仕掛けていく。
 数であれば 四 対 三 とこちらの方が上だ。
 ならばとジョゾウとドウベがロゴウへ。
 それぞれの側近にミゴとロンボウが襲い掛かっていて。

 その間も無くロンボウが離れて翼を大きく広げる。
 きっと敵は「この仕草に何の意味があるのか」と思った事だろう

 しかし間も無く知る事となるだろう。
 これこそが勇とジョゾウ達の特訓の成果だったのだから。

 なんとロンボウの背から勇が現れたのだ。
 しかもその背に飛び乗り、足蹴にさえして。

 その一瞬の勢いで、側近へと向けた斬撃が振り下ろされる。

「ぎぃぃぃッ!!」

 ただ全てが上手く行くという訳では無い。
 側近が身体を捻らせ斬撃を躱していたのだ。
 やはり空での経験は相手が一枚上という事か。

 もちろんこんな一撃で終わりはしない。
 再びドローンを足場に、別の敵へと飛び掛かっていく。

 時にはロゴウに、時にはもう一人の側近に。
 縦横無尽に跳び回っては追い詰めて。
 こうなればロゴウ達とて戦術を駆使する事は出来ない。

 乱戦である。
 いつ誰が落ちてもおかしくない戦況だ。

 ただそれでも勇達が優位とは言い切れない。
 例え相手が残り三人であろうと、真の精鋭である事には変わりない。
 勇の援護があっても覆しきれない力の差があるのだ。

「儂の力を忘れたかジョゾウーーーッ!!」
「お、おおッ!?」

 ロゴウの攻撃の煽りを受け、ドウベまでもが魔剣そのものに叩かれて墜落していく。

「詰めが甘ァい!! 俺はそんな貴様等に討たれるほどヤワではないわ!!」
「ぐはッ!?」

 更にはロンボウが側近に打ち伏せられ、たちまち失速に。

 どちらも死には至っていないが、歴然な力の差を見せつけられたと言えよう。
 その所為か、二人揃って悔しそうな顔を浮かべたまま雲の中へと。
 そのまま手空きとなった側近が間も無くジョゾウへと飛び掛かっていく。

 すると状況は一転、不利に。
 ジョゾウ達の窮地一方である。

「くッ!! ジョゾウさんッ!!」

 そんな状況を覆そうと、勇が再びドローンへ向けて飛び込んでいく。
 残り一体となったなけなしの足場へと。

 補充が間に合わないのだ。
 今現在も向かっているが、高度が高過ぎる故に。
 おまけに今の勇の脚力に耐えられず、一発二発で墜落してしまって。

 だからこの一台で何とかしなければならない。
 この一台ももう今にも壊れそうな程に歪んでいるからこそ。

 その決意を基に、勇が狙いを定める。
 今一番倒さなければならない相手へと向けて。



 だがその視線が真っ先に捉えたのはロゴウでは無く―――炎弾だった。



 そう、勇の着地を狙っていたのだ。
 一 対 二 となった今、ロゴウにはそう出来る程の余裕があったから。

 そのタイミングは完璧だった。
 勇が着地するのと炎弾が着弾するのはほぼ同じ。
 つまり、勇が跳ね飛んで逃げる間すら無い。
 このままドローンを避けようとしても、爆炎に飲み込まれるだろう。

「嘘だろ……」

 勇に成す術は無かった。
 ただ炎弾を迎える事以外には。
 その余りの非情な一撃を前にしてしまえばもう。

 この時、勇には何もかもがゆっくりと見えていて。
 〝もうダメか〟と思考出来る程にも余裕があったものだ。
 その思考と同じくらいに身体が動けるならどれだけ良かったか。
 魔剣より得た【鋭感覚】が皮肉にも、死の瞬間を予感させたかの様で。

 その想いのままに、そっと瞼が緩んでいく。
 ただただ諦念に苛まれるままに。



 しかしこの時、誰しもが予想し得なかった出来事が起こる。



 なんと、突如としてミゴが勇の前に現れたのだ。
 敵と戦っていたはずなのに、今は翼を大きく広げていて。

 まるで勇の盾とならんばかりに。

「其方は生きて、希望を―――」

 その首を回し、勇へと微笑みを向けながら。



ッドッギャォォォーーーーーーンッッッ!!!!!



 その瞬間、爆発が起きた。

 何もかもをも焼き去る無情の爆炎を盛らせて。
 勇を弾き飛ばす程の爆風を巻き起こしながら。
 離れていたドローンさえも燃やし尽くす程の火の粉を撒くと共に。

「あ、ああ……ミゴ、さん……ッ!!!」

 でももう、手を伸ばしても届かない。
 ミゴの姿を見る事はもう叶わない。
 その爆発ももう景色の彼方だから。
 どんどんと小さくなるばかりで、想いさえも届かない。



 勇は落ちていたのだ。
 蒼空の中を一直線に。



 もうその背を支えてくれる人は居ない。
 地に足を付く場所も無い。
 翼になってくれる人も景色の彼方で届かない。

 だからこそこう過らずにはいられない。
 きっとこのまま落ちれば死ぬのだろうな、と。

 けれど何だか妙に落ち着いていて。
 それでやっと、今まで死ぬ事への恐怖が失われた事に気付いたらしい。
 魔剣を手に取る前に味わってからずっと忘れていた恐怖を。

「そうか、これが死ぬって事なんだな」

 その背に風を受け、髪が服が絶え間なく煽られて。
 そんな中で、澄んだ空気を味わう間も無くその呼吸を止める。
 まるで来たるべき時を迎えようと準備するかの様に。

「ごめん皆、俺もうダメみたいだ……」

 そうして浮かべたのは涙だった。

 キラキラと陽光を受けた雫が粒となって空へと舞い上がる。
 いや、どちらかと言えば空に置いて行ってるという方が正しいか。
 
 この時、勇の脳裏には色んな人の顔が浮かび上がっていた。
 両親だったり、心輝や瀬玲やあずーだったり、学校の友達だったり。
 福留やエウリィやカプロ達、アージとマヴォやジョゾウ達もあって。

 その最後にはちゃなの笑顔だって。

―――結局、俺は君を守れなかった……ごめんよ―――

 その無念に打ちひしがれ、瞼を閉じる。
 目元に滲んだ涙さえ拭い取りながら。



「―――ぅさぁぁぁーーーんッ!!」
「ッ!?」



 だがその時、声が聴こえた。
 確かに聴こえたのだ。
 幻聴でも無く、心の中の声でも無く。

 鋭くなった聴覚が確かに―――の声を捉えたのである。

「ま、まさかッ!?」

 そして垣間見る事となるだろう。
 その声の正体を、その実態を。

 勇が落ち行く先の、雲の中から現れし―――その可能性に。



「勇さぁぁぁーーーーーーんッ!!!」



 なんとちゃなが現れたのだ。
 雲霧を散り飛ばす程の凄まじい速度と激しさを以て。
 その腕で杖を包み、杖先に足を掛けて。

 圧倒的なまでの炎を杖先より打ち放ちながら。



 そう、ちゃなは飛んでいたのである。
 しかも落ち来る勇へと向けて真っ直ぐと、まさしくロケットの如く。



 その底力は常識を遥かに覆す。
 ちゃなの見せた力の片鱗はもはや留まる所を知らない。


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