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第三十七節「二天に集え 剣勇の誓い 蛇岩の矛は空を尽くす」
~光に裂、天に極陣拓きて~
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剣聖が誇る必殺剣、【二天剣塵】。
自身に秘めた命力を惜しむ事無く撃ち放ち、無数の刃で敵を斬り刻む奥義である。
空に舞い、斜に構えた魔剣から命力を放出し、円軌道を描いて自身へ還す。
そうして空に刻まれしは巨大な無限の軌跡。
まさにその力を体現した光景が、相対する者へ畏怖すら植え付けよう。
こうして生まれた二つの日輪が大地すら抉り、砕き、消し飛ばし。
それでも留まる事無く閃光を弾いて巡り行く。
その大きさ、剣聖自身が小さく見える程に巨大。
遂には日輪の中央渦巻いていた力が無数の光輪を描き、分かれていく。
その全てが破壊の刃として形成されたのだ。
それも瞬く間にして。
「くぅらいやがぁれぇえええーーーーーーッッッ!!!」
そして両手の魔剣を力の限りに振り回せば―――
その瞬間、全ての斬光輪が一挙に襲い掛かる事となる。
大・中・小、様々な形の光輪が隙間無く。
ありとあらゆる方角から容赦なく襲い行く。
「うおおおッ!!?」
それもかつて見た時よりもずっと多く鋭く激しく。
何一つ惜しみなくの全力斬撃であるが故に。
もはや全てが全て、必滅級。
その怒涛の攻撃を前に何を思うだろうか。
何を考えるのだろうか。
否、何も考える必要は無い。
勇は全てを受けきるつもりなのだから。
「―――ここで退いたら俺はもうこの人とは戦えないッ!! ならッ!!」
一つ間違えれば手足が千切れ飛ぶだろう。
一つ間違えれば首が刎ねるだろう。
それでもやらねばならないという覚悟が勇にはある。
この一撃を解き放った剣聖へ応える為にも。
この苦難を乗り越えて力とする為にも。
「今こそ応えろ【創世の鍵】よッ!! 俺と、あの人の想いにッッ!!!」
今この時、創世剣が―――かつて無い凄まじい光を打ち放つ。
それはまるで刀身の様だった。
それ程に、強く濃く激しく撃ち放っていたのだから。
創世剣が纏う虹光はもはや物質の如く強固であり、それでいて閃光の如く迸る。
それも身の丈以上に長く、それでいて鋭く。
その様相はまさに、創世剣と天力剣が一体化した姿。
勇の天力が想いに応え、形と成したのだ。
「乗りきってみせる!! うおおおーーーーーーッッ!!!」
迫り来る斬光輪を前にして、その身を僅かに屈ませる。
その身に力を溜め込み、全力で迎え撃つ為に。
「【剛命功】!! 全てを跳ね退ける力をッ!!」
この時体に宿りしは【剛命功】。
如何な攻撃にも耐えうる為に、これまで以上に深く広く根を張り巡らせ。
「【命踏身】!! 何者にも追い付ける速さをッ!!」
その腕、その脚に駆けるは【命踏身】。
無数の斬撃全てを打ち、砕く為の加速を体現する為に。
「【命流滑】!! 正しき道へと巡らせる流れをッ!!」
その体に纏いしは【命流滑】。
力の流れを生み出し、最高最大の反撃で万事を期す。
その三つの力が合わさり、一つと成った時。
勇の誇る防御剣技【極天陣】が進化する。
その名も―――【裂光極天陣】。
その剛力、その速さ、その正確さはもはや、かつてのそれが霞む程。
それ程までに激しく、鋭く、斬光輪を引き裂いたのだから。
一つ、二つ、三つ。
四つ、五つ、六つ。
数を刻むごとに閃光一糸が駆け巡り、その度に光輪が砕け散る。
その空間に虹色の残光をいつまでも残しながら。
駆ける軌跡は規則性すらなく無軌道。
迫る光輪一つ一つを刹那の間に幾つも幾つも砕いて駆け抜ける。
そこに剣の数などもう関係は無い。
たった一本。
それだけで全てを追い、全てを迎え、全てを打ち砕く。
その度に、迸る光がまるで大波飛沫の如く弾け飛び。
大地を、虹光一杯で埋め尽くす。
「おおおおーーーーーーッッッ!!!!」
しかも打ち砕いた力さえ、流れに乗せて己の力と換える。
斬光輪を砕けば砕く程に輝きが増し、その刀身光を肥大化させていたのだ。
それはまるで創世剣が巨大化しているかの如く。
これが剣聖の想いにも応えるという、その結論の形に他ならない。
命力と天力。
異なる力と言えど、性質はほぼ同じ。
それが希望の力ならば、利用する事さえ出来るだろう。
そうして出来上がった力はもはや、小さな斬光輪では止める事は叶わない。
バギャギャァァァーーーーーーンッッッ!!!
そしてたった一振り。
たったその一瞬の一振りで、周囲を囲む斬光輪達が砕け散る。
まさにその場へと裂光環を刻みながら。
「ッッ!!?」
しかしその次の瞬間、勇は目を疑う事となる。
自身に迫り来る圧倒的破壊の奔流を前にして。
そんな勇に迫るのは―――巨大な一つ斬光輪。
まるで山の様な大きさだった。
見上げねばならぬ程に大きく、自分よりもずっと刃幅が広く。
それでいて、これ以上無い程に破壊的。
大地を削り、大気を切り裂いて。
ありとあらゆるものを消し飛ばし、吹き飛ばしながら。
【命流滑】の空間制御すら無為とする程の勢いで迫り来る。
剣聖が最初に形成したあの日輪、それそのものが襲い掛かって来たのである。
「うおおおあああッッ!!?」
この時、勇が遂に怯みを見せる。
この圧倒無比の破壊輪を前にして。
余りにも想像を絶する強大さだったが故に。
これ程までに強力な力を弾く手段が―――浮かばない。
そしてその瞬間、場が真白となる程の凄まじい光に包まれた。
空も、大地も、その果ても。
空気も音をも吹き飛ばして。
全てを真っ白の無へと塗り潰す。
勇の姿さえも、何もかも。
「……これで仕舞い、かぁよぉ」
そんな光景を空の上から見下ろすのは、剣聖。
余りの凄まじい斬撃だったが故に、己の身さえも跳ね上げられていて。
大地を埋め尽くす爆裂光へと悲哀の眼を静かに向ける。
心のどこかで期待していたのだろう。
勇は最後の一撃さえも突破してくれるだろう、と。
勝つ事よりも、全力を出す事よりも。
ここまで鍛え上げて来た自身を超えられる事こそが、剣聖の何よりもの楽しみだったから。
それも叶わないと悟れば哀しみもしよう。
「生きてりゃいいがぁ―――」
だがその哀しみは、所詮早計に過ぎない。
「……おおおーーーッッ!!!」
「―――ッ!!?」
その声が響いた時、剣聖は悲哀の眼をこれ以上に無く見開く事となる。
なんと、勇が爆裂光の中から飛び出してきたのである。
それも、彼を包んでいた爆裂光そのものを爆散させて。
その片手に携えし創世剣を突き出し、剣聖目掛けて一直線に突き抜けながら。
あの極大破壊輪に対し、勇は自らを武器と化して突破したのだ。
それ以外に突破する方法は無いと確信したからこそ。
ただこれは賭けだった。
突破出来る確信は無く、力も届くとは限らないから。
もし打ち負ければ、間違いなく死が待っていた事だろう。
でも勇はこうして打ち砕いた。
創世剣に纏っていた力光を全て犠牲にして。
そして今、遂に剣聖へと反撃の一手へと繋いだのである。
ならば剣聖も勇の一撃を前に最大最高の身体で迎え撃つだけだ。
究極なまでに身体を引き絞り、固め込んで。
翼が如き命力の糸根を背空一杯に張り巡らせる。
勇の渾身に応える為に。
「このまま!! 一気に!! 貫くだけだあーーーーーーッッ!!!」
「やってみやぁがれぇえええーーーーーーッッ!!!」
勇が、剣聖が。
その瞬間、互いの意地と誇りに賭けてぶつかり合う。
全ては戦いの先の勝利をもぎ取る為に。
ガッキャァァァーーーーーーンッッッ!!!!!
でもその意地と誇りは、やはり長年の経験こそが上か。
「くははあッ!! 勝ったあああッ!!!」
なんと、創世剣の刺突が塞き止められていたのだ。
剣聖の腹部へと打ち当たるも、一寸たりと刺さる事も無く。
遂には突撃の勢いすら殺されていて。
だがそれが終わりだといつから勘違いしたのだろう。
それが打ち止めなのだと何故思ったのだろう。
勇はまだ―――諦めてはいないのに。
「ま だ だあああーーーーーーッッ!!!」
その瞬間、勇の体から光が迸る。
今までよりも更にずっと強く濃い天力の虹燐光が。
創世剣を掴みし手腕に【剛命功】を。
空を駆けるその脚足に【命踏身】を。
力を跳ね上げる身体に【命流滑】を。
その全てが重なった時、その左膝から極光が弾け舞う。
その時撃ち放せしは極芯を抜く膝蹴り。
創世剣の柄底を打ち貫き、虹の円環を幾重に打ち放つ。
こうして放たれた一撃こそが、逆転の一手となろう。
ドズンンッ!!!!!
創世剣の刀身が剣聖の腹部を貫いたのだ。
深く抜き、貫通する程に深く。
今まで皮しか削れなかった堅牢無比な肉体を、である。
「ぐぅおおおッ!?」
たちまち傷口から血飛沫が弾け飛び、耐え難い苦痛をもたらす。
あの剣聖が苦悶の表情を浮かべる程の痛みを。
メリリッ……!!
しかし、それが決して勇からの一方的な攻撃であったとは限らない。
なんと、勇の肩にも剣聖の拳が撃ち抜かれていたのだ。
肩の骨をも砕く程の強烈な反撃として。
「ぐあああッ!!!」
そしてその二つの事象が同時に行われれば、弾かれ合うのは必然。
たちまち二人の体が同時に弾かれ大地へ落ちていく。
落ちた後も激しく転がり跳ね上がる程の勢いで。
ただ、その攻撃を最後に二人の勢いは留まる事となる。
それだけの威力が、互いの一撃にあったのだから。
自身に秘めた命力を惜しむ事無く撃ち放ち、無数の刃で敵を斬り刻む奥義である。
空に舞い、斜に構えた魔剣から命力を放出し、円軌道を描いて自身へ還す。
そうして空に刻まれしは巨大な無限の軌跡。
まさにその力を体現した光景が、相対する者へ畏怖すら植え付けよう。
こうして生まれた二つの日輪が大地すら抉り、砕き、消し飛ばし。
それでも留まる事無く閃光を弾いて巡り行く。
その大きさ、剣聖自身が小さく見える程に巨大。
遂には日輪の中央渦巻いていた力が無数の光輪を描き、分かれていく。
その全てが破壊の刃として形成されたのだ。
それも瞬く間にして。
「くぅらいやがぁれぇえええーーーーーーッッッ!!!」
そして両手の魔剣を力の限りに振り回せば―――
その瞬間、全ての斬光輪が一挙に襲い掛かる事となる。
大・中・小、様々な形の光輪が隙間無く。
ありとあらゆる方角から容赦なく襲い行く。
「うおおおッ!!?」
それもかつて見た時よりもずっと多く鋭く激しく。
何一つ惜しみなくの全力斬撃であるが故に。
もはや全てが全て、必滅級。
その怒涛の攻撃を前に何を思うだろうか。
何を考えるのだろうか。
否、何も考える必要は無い。
勇は全てを受けきるつもりなのだから。
「―――ここで退いたら俺はもうこの人とは戦えないッ!! ならッ!!」
一つ間違えれば手足が千切れ飛ぶだろう。
一つ間違えれば首が刎ねるだろう。
それでもやらねばならないという覚悟が勇にはある。
この一撃を解き放った剣聖へ応える為にも。
この苦難を乗り越えて力とする為にも。
「今こそ応えろ【創世の鍵】よッ!! 俺と、あの人の想いにッッ!!!」
今この時、創世剣が―――かつて無い凄まじい光を打ち放つ。
それはまるで刀身の様だった。
それ程に、強く濃く激しく撃ち放っていたのだから。
創世剣が纏う虹光はもはや物質の如く強固であり、それでいて閃光の如く迸る。
それも身の丈以上に長く、それでいて鋭く。
その様相はまさに、創世剣と天力剣が一体化した姿。
勇の天力が想いに応え、形と成したのだ。
「乗りきってみせる!! うおおおーーーーーーッッ!!!」
迫り来る斬光輪を前にして、その身を僅かに屈ませる。
その身に力を溜め込み、全力で迎え撃つ為に。
「【剛命功】!! 全てを跳ね退ける力をッ!!」
この時体に宿りしは【剛命功】。
如何な攻撃にも耐えうる為に、これまで以上に深く広く根を張り巡らせ。
「【命踏身】!! 何者にも追い付ける速さをッ!!」
その腕、その脚に駆けるは【命踏身】。
無数の斬撃全てを打ち、砕く為の加速を体現する為に。
「【命流滑】!! 正しき道へと巡らせる流れをッ!!」
その体に纏いしは【命流滑】。
力の流れを生み出し、最高最大の反撃で万事を期す。
その三つの力が合わさり、一つと成った時。
勇の誇る防御剣技【極天陣】が進化する。
その名も―――【裂光極天陣】。
その剛力、その速さ、その正確さはもはや、かつてのそれが霞む程。
それ程までに激しく、鋭く、斬光輪を引き裂いたのだから。
一つ、二つ、三つ。
四つ、五つ、六つ。
数を刻むごとに閃光一糸が駆け巡り、その度に光輪が砕け散る。
その空間に虹色の残光をいつまでも残しながら。
駆ける軌跡は規則性すらなく無軌道。
迫る光輪一つ一つを刹那の間に幾つも幾つも砕いて駆け抜ける。
そこに剣の数などもう関係は無い。
たった一本。
それだけで全てを追い、全てを迎え、全てを打ち砕く。
その度に、迸る光がまるで大波飛沫の如く弾け飛び。
大地を、虹光一杯で埋め尽くす。
「おおおおーーーーーーッッッ!!!!」
しかも打ち砕いた力さえ、流れに乗せて己の力と換える。
斬光輪を砕けば砕く程に輝きが増し、その刀身光を肥大化させていたのだ。
それはまるで創世剣が巨大化しているかの如く。
これが剣聖の想いにも応えるという、その結論の形に他ならない。
命力と天力。
異なる力と言えど、性質はほぼ同じ。
それが希望の力ならば、利用する事さえ出来るだろう。
そうして出来上がった力はもはや、小さな斬光輪では止める事は叶わない。
バギャギャァァァーーーーーーンッッッ!!!
そしてたった一振り。
たったその一瞬の一振りで、周囲を囲む斬光輪達が砕け散る。
まさにその場へと裂光環を刻みながら。
「ッッ!!?」
しかしその次の瞬間、勇は目を疑う事となる。
自身に迫り来る圧倒的破壊の奔流を前にして。
そんな勇に迫るのは―――巨大な一つ斬光輪。
まるで山の様な大きさだった。
見上げねばならぬ程に大きく、自分よりもずっと刃幅が広く。
それでいて、これ以上無い程に破壊的。
大地を削り、大気を切り裂いて。
ありとあらゆるものを消し飛ばし、吹き飛ばしながら。
【命流滑】の空間制御すら無為とする程の勢いで迫り来る。
剣聖が最初に形成したあの日輪、それそのものが襲い掛かって来たのである。
「うおおおあああッッ!!?」
この時、勇が遂に怯みを見せる。
この圧倒無比の破壊輪を前にして。
余りにも想像を絶する強大さだったが故に。
これ程までに強力な力を弾く手段が―――浮かばない。
そしてその瞬間、場が真白となる程の凄まじい光に包まれた。
空も、大地も、その果ても。
空気も音をも吹き飛ばして。
全てを真っ白の無へと塗り潰す。
勇の姿さえも、何もかも。
「……これで仕舞い、かぁよぉ」
そんな光景を空の上から見下ろすのは、剣聖。
余りの凄まじい斬撃だったが故に、己の身さえも跳ね上げられていて。
大地を埋め尽くす爆裂光へと悲哀の眼を静かに向ける。
心のどこかで期待していたのだろう。
勇は最後の一撃さえも突破してくれるだろう、と。
勝つ事よりも、全力を出す事よりも。
ここまで鍛え上げて来た自身を超えられる事こそが、剣聖の何よりもの楽しみだったから。
それも叶わないと悟れば哀しみもしよう。
「生きてりゃいいがぁ―――」
だがその哀しみは、所詮早計に過ぎない。
「……おおおーーーッッ!!!」
「―――ッ!!?」
その声が響いた時、剣聖は悲哀の眼をこれ以上に無く見開く事となる。
なんと、勇が爆裂光の中から飛び出してきたのである。
それも、彼を包んでいた爆裂光そのものを爆散させて。
その片手に携えし創世剣を突き出し、剣聖目掛けて一直線に突き抜けながら。
あの極大破壊輪に対し、勇は自らを武器と化して突破したのだ。
それ以外に突破する方法は無いと確信したからこそ。
ただこれは賭けだった。
突破出来る確信は無く、力も届くとは限らないから。
もし打ち負ければ、間違いなく死が待っていた事だろう。
でも勇はこうして打ち砕いた。
創世剣に纏っていた力光を全て犠牲にして。
そして今、遂に剣聖へと反撃の一手へと繋いだのである。
ならば剣聖も勇の一撃を前に最大最高の身体で迎え撃つだけだ。
究極なまでに身体を引き絞り、固め込んで。
翼が如き命力の糸根を背空一杯に張り巡らせる。
勇の渾身に応える為に。
「このまま!! 一気に!! 貫くだけだあーーーーーーッッ!!!」
「やってみやぁがれぇえええーーーーーーッッ!!!」
勇が、剣聖が。
その瞬間、互いの意地と誇りに賭けてぶつかり合う。
全ては戦いの先の勝利をもぎ取る為に。
ガッキャァァァーーーーーーンッッッ!!!!!
でもその意地と誇りは、やはり長年の経験こそが上か。
「くははあッ!! 勝ったあああッ!!!」
なんと、創世剣の刺突が塞き止められていたのだ。
剣聖の腹部へと打ち当たるも、一寸たりと刺さる事も無く。
遂には突撃の勢いすら殺されていて。
だがそれが終わりだといつから勘違いしたのだろう。
それが打ち止めなのだと何故思ったのだろう。
勇はまだ―――諦めてはいないのに。
「ま だ だあああーーーーーーッッ!!!」
その瞬間、勇の体から光が迸る。
今までよりも更にずっと強く濃い天力の虹燐光が。
創世剣を掴みし手腕に【剛命功】を。
空を駆けるその脚足に【命踏身】を。
力を跳ね上げる身体に【命流滑】を。
その全てが重なった時、その左膝から極光が弾け舞う。
その時撃ち放せしは極芯を抜く膝蹴り。
創世剣の柄底を打ち貫き、虹の円環を幾重に打ち放つ。
こうして放たれた一撃こそが、逆転の一手となろう。
ドズンンッ!!!!!
創世剣の刀身が剣聖の腹部を貫いたのだ。
深く抜き、貫通する程に深く。
今まで皮しか削れなかった堅牢無比な肉体を、である。
「ぐぅおおおッ!?」
たちまち傷口から血飛沫が弾け飛び、耐え難い苦痛をもたらす。
あの剣聖が苦悶の表情を浮かべる程の痛みを。
メリリッ……!!
しかし、それが決して勇からの一方的な攻撃であったとは限らない。
なんと、勇の肩にも剣聖の拳が撃ち抜かれていたのだ。
肩の骨をも砕く程の強烈な反撃として。
「ぐあああッ!!!」
そしてその二つの事象が同時に行われれば、弾かれ合うのは必然。
たちまち二人の体が同時に弾かれ大地へ落ちていく。
落ちた後も激しく転がり跳ね上がる程の勢いで。
ただ、その攻撃を最後に二人の勢いは留まる事となる。
それだけの威力が、互いの一撃にあったのだから。
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