上 下
1,027 / 1,197
第三十六節「謀略回生 ぶつかり合う力 天と天が繋がる時」

~Secouez le malentendu <誤解を振り払って>~

しおりを挟む
※※※当人の語りそのままですと、暴言・失言・淫語・豚語が混じる見苦しい文章となってしまう為、従来通りのナレーションでお送りいたします※※※



――――――
――――
――




 シスターキャロ……キャロ=クラレスは二十六年前、イギリスの某所で誕生。
 比較的裕福な家庭の娘として生まれ、何不自由無い幸せな毎日を送る事となる。

 そんな彼女が五歳の頃、とある出来事が起きた。
 たまたまテレビ番組で流れていた格闘技の試合を見掛けたのである。

 それを見た幼いキャロは不思議に思う。
 「なんでこのひとたちはたたきあってるの?」と。

 子供である彼女がそれを問う事はもはや知れた事で。
 好奇心のままに問いた時、両親はこう返した。
 「キャロは知らなくてもいい事だよ」と。

 でもこの時は本当にどうでもよくて。
 気付けばすぐに忘れて、そんな番組を見掛ける事も無くなった。



 それから十年後、キャロが十五歳で学生の頃。
 彼女はひょんな事から、隠れて流行っていた行為の存在を知る事となる。

 自傷行為リストカットである。

 本来ならばこの行為は自殺の為に行われる事だ。
 でも流行ったのは、ちょっとした相手の気を惹く為の行為として軽い傷を付ける程度で。

 当時好奇心旺盛・承認欲求の塊だったキャロがその行為に興味を持つ事も例外ではなく。
 好奇心の赴くまま、行為へと走る事となる。

 だが、その時から彼女は普通の子と何かがズレ始めていた。

 最初は本当に軽い気持ちだった。
 少し傷を付け、親の気を引き、ちょっとお小遣いをせしめる程度で。
 痛いけど、我慢すれば大丈夫なのだと。

 でもとある時、彼女はふと思い出す。
 いつか幼い頃に見た格闘技の事を。
 「なんで殴り合うのだろう」という些細な疑問を。

 その疑問はリストカットを行う度に何度も脳裏に過っていて。
 それから何度も考え、試行錯誤し、悩み続けた。

 そしてとある日、彼女はありえもしない答えを導き出してしまう。

 「彼等が殴り合っているのは、痛い事が大好きだから」なのだと。

 その答えが導き出された時、彼女の痛みの認識は根底から覆される。
 痛い事は罪ではなく快楽なのだと。

 そんな答えへと行き着いた時、彼女のリストカットは徐々に度を増し始めていく。
 より深く、より大きく。

 すると、最初は苦痛だった痛みにも次第に変化が訪れる。
 快楽へと切り替わり始めたのだ。
 脳がそう解釈し、錯覚し、受け入れてしまったのである。
 
 それで出来上がったのが今のキャロの基礎。
 この上なく痛みを愛するキャロの礎。

 ただその後間も無く、彼女は瀕死の重傷を負う事となる。
 行き過ぎたリストカットによって出血多量に見舞われたからだ。

 そこでようやく両親がキャロの異常性に気付く事となる。
 異様なまでに刻まれた体中の傷跡を目の当たりにして。

 それをキッカケに両親は決心したのだ。
 彼女を自戒させる為に修道院へと出家させる事を。

 その時、キャロはまだ十九歳。
 まだまだ年頃の娘と言える歳である。
 でもキャロもまた両親の想いをわかっていたし、自身の行いが異常であった事もしっかり理解出来ていて。
 だから出家する事も厭わず、自戒する事を受け入れたのであった。



 けれどそこからは渇望との戦いだった。

 例え禁欲生活を送ろうとも、痛みを感じたいという欲望【傷欲しょうよく】は消え去らなかったのである。

 食欲や物欲、性欲はまだ周囲が理解出来るからこそ対処方法もあって。
 でも傷欲など誰しもが理解出来ない欲であり、具体的な解決策など持ち得ていなかったから。

 でもキャロはしっかりと耐え続けた。
 日に日に大きくなり続ける傷欲に。



 だが―――そんな中で、あの事件が遂に起きてしまう。



 そう、フララジカである。

 しかも、不幸にも彼女は転移の現場に巻き込まれ。
 そこで目にしてしまったのだ。

 逃げ惑う修道士達を襲い、力の限りに捻り潰す魔者達の存在を。

 そんな魔者達を目にした時、彼女の心の中で何かが切れた。
 修道院という禁欲の場が崩壊し、理性を縛る物が消滅したから。
 今までに溜まりに溜まったありとあらゆる欲望が爆発してしまったのだ。
 しかも、あろう事か目の前の最悪な相手に対して。

 こうなった時、彼女はとんでもない行動を起こす。
 なんと全裸になり、腹を見せつけた俯伏せ四つん這いで必死に懇願したのである。

 「徹底的に痛めつけて殺してください」と。

 この時、遂に彼女は目覚めてしまったのだ。
 圧倒的な暴力を前に無慈悲に痛めつけられる事に快楽を感じる体へと。
 身も心も何もかも。

 ただ、全てがそう上手く行くとも限らないのが世の中というもの。

 これにはさすがの魔者さえもドン引きで。
 更には「な、なんだコイツ!? 怖い!!」と逃げ出すまでに。
 彼女はそれ程までの異常性を見せつけていたのだろう。

 でも願いが叶わなかった彼女としては不本意な訳で。
 その後も似た様なシチュエーションを求めて旅立ち、ことごとく危険地へと赴く事に。

 それからおおよそ二年後。
 東京事変が起こった直後の事。

 そこでキャロは偶然、デュラン達と出会う事となる。
 魔者に嬲られに向かい、その魔者と戦うデュラン当人と遭遇した事によって。

 凶悪な魔者さえも屠る魔剣使い。
 その圧倒的な実力に惚れ込んだ彼女はすぐさま欲望の対象を変えた。
 今度はデュラン達に嬲る事を懇願し始めたのだ。

 しかしデュランがそんな欲望にまさか付き合う訳も無く。

 むしろ「強く成ればいつか願いを叶えてくれる者が出てくるかもしれない」という助言をもらい。
 そこでキャロは一大決心をする。

 「デュランと共に行き、その先で強敵と出会ったら容赦なく叩き潰してもらおう」と。

 だから彼女は自らを鍛え上げ続けたのだ。
 より最上でより最高の痛みに耐えられる肉体を得る為に。

 魔剣使いになったのは、何よりも相手に痛みを与えて貰う為だったのである。




――
――――
――――――





「―――という訳で私は今も求めているのです。 圧倒的な暴力を。 手足を引き千切り、もがき苦しむ中でも笑って死体蹴りしてくる様な相手を」

「アッ、ハイ」

 当然、そんな事を懇願されようとも勇がそんな事を出来る訳も無く。
 
 聞いている内にどんどんと顔がしかめ上がっていて。
 それ程までに酷い語りだった様だ。

 そんな顔を見せるのも、今のキャロには快楽の材料にしかなり得ないが。

「だから貴方は私を殺さなければなりません。 それが敵としての役目であり、貴方の義務です」

「勝手に義務にしないでくれる?」

「そう、さもなければ―――」

 しかしその時、突如として空気が変わる。
 キャロが手に持つ魔剣に命力が強く篭められたのだ。

 欲望が、渇望が、今までに無い程の力を迸らせて。



「―――私が貴方を殺します」



 そう、彼女は本気なのだ。
 もし殺さなければ殺す。
 敵である限り、殺さなければここを通る事叶わないのだと。

「この建物はかの家よりもずっと強固に出来ています。 この狭い中では先日の様に大暴れしようにも出来ないでしょう。 例え切り抜けてデュラン様の下へ参じても、私は遠慮なく後ろから襲います。 つまり、貴方がここから逃げる事は叶わないのです。 私を殺さない限り」

 しかもキャロは勇に苦戦を強いる程の強者。
 生半可に放置すれば、逆に戦いは困難を極めるだろう。

 故に、今ここで対処しなければならない厄介な相手なのである。

「全く、大した準備だよ。 そこまでやるなんてさ」

 勇としてもこれ以上無い最悪な相手だと言えるだろう。
 敵対心では無く愛情を以って戦意を向けてきているのだから。
 敵意を向けない相手を勇が殺せる訳も無く。

 それに相手はあくまでも女性で、紳士でありたい勇としては手を出し難い。
 例えどんなド変態相手だろうが、そのスタンスを変える事は出来ないのだ。

 それをこうも用意周到に封じられれば顔をしかめもしよう。

 勇の顔が堪らず歪む。
 どうしようもない状況を悩む余りに。

「それでは始めましょう。 貴方の慈悲が私に届きますよう」

 ただ、勇がそうでもキャロには何の関係も無い。
 今はただ全力を出すだけで。
 後は全ての攻撃に対して無防備であり続けるだけでいいのだから。



 だが、その無防備さこそが足を引っ張る事になるとは思っても見なかっただろう。



 キャロがその想いのままに身を屈めた時―――勇の姿は視界には映っていなかった。

 その時既に、背後に居たのだ。



「な―――!?」

 それに気付くも、時既に遅し。
 勇の手刀が彼女の首筋に容赦無く撃ち込まれる事となる。

ットォーーーンッ!!

 もちろんただの手刀ではない。
 天力を篭めて撃ち放った、強力な一撃だ。

 実は天力には、ぶつけると命力を弾くという特性を持ち合わせていて。
 勇はその特性を利用し、キャロの脳へと巡る命力を一時的に断ち切ったのである。

 命力を断ち切られれば当然、脳活動にも支障をきたす事となる。
 血液が途絶えるのと同じで、強制的に意識を飛ばされるのだ。
 
 相手が拮抗する実力の持ち主ならばそう簡単には決まらない。
 でもキャロの様な実力不足な相手ならば話は別で。

 そして敵意をぶつけてきていないからこそ、天力転換も可能。

 だから一瞬にして背後に回り込み、意識を断つ一撃を見舞う事が出来たのである。
 キャロという存在が特異だからこそ出来た芸当だと言えるだろう。

「せ、せめてみぞおちにして欲しかっ―――」

 その一撃を前に、キャロがあっけなく床へと倒れ込む。
 最後の最後まで自分らしいままに。

 勇としては厄介な相手を無事に排除出来て、ホッと一安心である。



 ただ、気絶してもなおキャロの影響は計り知れない程に大きい様で。



「うおっ!! ……勇さんよぉ、茶奈ちゃんが見てないからってやりたい放題過ぎじゃないかい?」

 するとそんな時、聴き慣れた軽声が。
 ディックがようやく追いついたのだ。

 ……とはいえ、ほぼ全裸なキャロを前に驚かない訳も無く。
 たちまち懐疑の目を勇に向ける始末で。

「誤解するなって。 この人がよくわからない性癖持ってたってだけだ。 緊張感が台無しだよ、全く」

 倒れてもなお妙な誤解をばら撒くキャロの破壊力よ。
 勇としては踏んだり蹴ったりで、「勘弁してくれ」と言わんばかりに手を振り回す。

 なお、ディックはと言えば「ほほう」と声を唸らせ、キャロの肢体をまじまじと眺める有様であるが。

「ディック、拘束バンド持ってるか?」

「うん? ああ、あるよぉ」

 そんなお楽しみタイムも束の間、言われるがままバンドをひょいっと渡す。
 こんな小道具を運ぶのもある意味で言えばディックの役目の一つなので。

 だがそんな拘束バンドを受け取るや否や、今度は勇がとんでもない行動に移した。

 なんと気絶したキャロを徹底的に縛り上げ始めたのである。

 手首足首を背面側で纏め。
 足先から太ももに至るまでをも何重に。
 体が反り上がる程に、微塵も動けないまでにくまなく。

 これにはディックも堪らずドン引きだ。

「勇さんよぉ、アンタそんな趣味があったのかい?」

 もちろんこれは勇の趣味ではない。
 決して、間違い無く。

「だから誤解するなって。 解かれたら困るだけだ。 それにこれは彼女が望んだ事だし。 ここまですれば満足しないまでも、悦んで抵抗を止めてくれるかもしれないだろ」

「……一体どんな女なんだいコイツぁ」

 あくまでも相手は限界突破を成し遂げた魔剣使いで、拘束バンドで封縛しきれるとは限らない。
 念には念を、おまけにちょっとだけ親切心をプラスして。

 こんなプレイを経験した事の無い勇としては、ほんの少し複雑であるが。

「これでよしと。 余計な時間を喰ったな。 後はデュランの下へ向かうだけだ」

「それなら俺が先行するさぁ。 この先罠が無いとも限らんからね」

 とはいえ、これで余計な邪魔者は排除出来たから。
 ようやく勇達が本来の目的へと戻る事が出来る。

 デュランの下へと向かい、止めるという目的を果たしに。



 この最中でも仲間達は戦い続けている。
 だからこそ、勇達にはもう遊んでいる暇など無いのだ。


しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。 そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!! こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!! 感想やご意見楽しみにしております! 尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

龍騎士イリス☆ユグドラシルの霊樹の下で

ウッド
ファンタジー
霊樹ユグドラシルの根っこにあるウッドエルフの集落に住む少女イリス。 入ったらダメと言われたら入り、登ったらダメと言われたら登る。 ええい!小娘!ダメだっちゅーとろーが! だからターザンごっこすんなぁーーー!! こんな破天荒娘の教育係になった私、緑の大精霊シルフェリア。 寿命を迎える前に何とかせにゃならん! 果たして暴走小娘イリスを教育する事が出来るのか?! そんな私の奮闘記です。 しかし途中からあんまし出てこなくなっちゃう・・・ おい作者よ裏で話し合おうじゃないか・・・ ・・・つーかタイトル何とかならんかったんかい!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...