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第七節「絆と絆 その信念 引けぬ想い」
~Credit <信用>~
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広場を抜けて間も無く。
勇達の目にとある一つの家が見え始める。
それは他の家と比べてほんの少し様相が異なっていて。
基本的な構造の家よりも僅かに大きく、でも形はどこか安定していない。
突き出た屋根や変に伸びた柱、無駄にヒラヒラと泳ぐ布切れなど、妙な飾りっ気で溢れている。
もちろんそんな屋上が何かしら役に立っているかと言えばそうでもなさそうで。
精々、風見鶏の様にパタパタと回る妙なオブジェが風の強さを教えている程度だろう。
その様相を一言で片付けるならば、ゴチャゴチャした形とだけ。
あるいは、ツギハギの家と言えばわかりやすいかもしれない。
「ここが村長の家じゃあ」
しかもどうやらここが目的地だった様で。
思わず勇が振り返り、他の民家と見比べ始める始末である。
それほどまでに奇抜だったのだ。
「な、なんか派手ですね……」
「しゃーなかろ、村長の家だけは建て替え出来んじゃ」
でも真っ先に原因がストレートに飛び出す辺り、どうやら巨人も同じ気持ちな模様。
それを察した勇はただただ苦笑するばかりだ。
という訳で、ようやくその奇抜な村長宅へと辿り着き。
「おうジヨヨ、入るぞぉ」
辿り着くや否や、巨人が遠慮も無しに扉を開く。
さすがに元々が大きいとあって、その巨体が楽々と入れる程には入口も大きい。
ほんの少し屈む必要はある様だが。
「お前等も入れェ。 カプロもじゃ」
こうして遠慮せずに入るのが彼等流なのだろう。
狭い村だけの文化だからこそ、その様な配慮すら不要となったからなのかもしれない。
そんな事を思いながらも、勇とカプロが続いて家へと足を踏み入れていく。
すると、そんな彼等の前に一人の人物が姿を現した。
「おぬが人間かの……昔見たのとそっくりじゃのー」
思ったよりも広い屋内空間。
その中央に添えられた長椅子へ、前屈姿勢で座るのがその魔者。
ものすごく小さい。
カプロどころか、子供達よりもずっと。
巨人の膝にすら達しない程の背丈である。
でも年寄りだとわかる程に全体的な毛が燻っていて。
茶色というよりももはや灰色、しかもちぢれてボサボサだ。
おまけに頭頂部は残念なまでに剥げ散らかしている。
ただ、村長という立場としては理解出来る程な様相と言えるか。
相当なお年寄りなのだろう、至る所にシワらしい部分が見え隠れしていて。
動きもあまり芳しくは無く、震えてる様にさえ見える。
きっとこの村で最も長く生き、豊富な知識を持つ人物という事なのだろう。
「まあええわ。 おぬ、そこ座れ。 カプロもじゃー」
ただその性格は巨人と違ってとても温厚そう。
ふわっとした語り方が心地良ささえ感じさせてならない。
そんな村長が手に持つ杖で対面にある長椅子指し示す。
ここまで来ればもう遠慮は必要無い。
その事を学んだから、勇も言われるがままに座り込む。
もちろんカプロも一緒だ。
「バノはこっちじゃ」
さすがに巨人は椅子に座る必要も無い様で。
そう言われるがままに座ったのは、村長の座る椅子の背後。
それでもこの中の誰よりも背が高いのだから十分過ぎる配置だろう。
それぞれが座に付き、ようやく勇と村長が対面を果たす。
落ち着いた場での、正式な話し合いがようやく始まりを告げようとしているのである。
でも何を始めるにしろ、最初にする事は当然―――
「えっと、まずは自己紹介させてもらっていいですか?」
そう、互いに名前を知る事だ。
そしてこれはどうやら魔者達にとっても常識らしい。
「かまへんで。 ワシはジヨヨじゃ。 このアルライ族の村長やっとるよ。 んでこのバカデカいのがバノじゃ。 ワシの片腕をやっとる。 隣のぼんは説明せんでもええな」
「適当過ぎるッスね」
ただ、遠慮無しな性格はこんな所でも発揮している様で。
勇が語る間も与える事無く、相手側から手軽い自己紹介が。
たった一名のみ不満を露わにしているのはご愛敬である。
「俺は藤咲 勇っていいます。 あ、勇の方が名前で―――」
「細かい事はええがな。 ほいでおぬは何の為に話がしたいんや」
ただそんな自己紹介も、名前を知るだけで十分な訳で。
たちまち、ヨボヨボとは思えない流暢な語りが勇の余計な口を塞ぎ込む。
無駄な話など、今は必要無いから。
ジヨヨも興味があるのだ。
人間である勇がこうして話し合いを望んでやってきて。
この事実が今までの隠れ里の歴史に置いて類を見ない出来事だったからこそ。
だからこそ勇が持ってきた情報が、想いがどの様なものかが気になったのだ。
そこに彼等の抱える問題の解決策もあるかもしれないと。
彼等がそういうスタンスを見せてくれるからこそ、勇はようやく語る事が出来る。
訪れた時から伝えたかった、今の世界の状況を。
ジヨヨ村長が茶を啜る中、遂に勇から外の世界の現状が伝えられる。
勇達の世界が『あちら側』とは違い、魔者が居ない世界で。
争いこそあるが、『あちら側』の戦いと比べれば平穏そのものだという事。
そんな世界にこの隠れ里も含めた『あちら側』の色んな国が転移してきたという事。
そこからは勇自身の話も絡む。
勇が魔剣と魔者の事を知らないままに魔剣使いとなって戦ってきた事を。
更には倒したのはあくまで危害を加えてきた者だけだという事も。
命力を扱える者が言葉を知らなくても話が通じる様になっているという事も忘れない。
そして先程バノに話した、仲良くなりたいという理由にまつわる話もまた一緒に。
きっと聞いている方からすれば、何の話だと疑いもするだろう。
例え環境ががらりと変わっても、そんな不思議な事が起きているとは思いもしないだろうから。
しかし皮肉にも、勇という存在がその事を証明してしまっているからこそ。
ジヨヨ達も語られた話を前に唸りを上げるばかりである。
「成程のぉ、それでこんななってもうたんか」
「はい。 最初は信じられないかもしれないですけど。 俺もそうでしたし」
「命力がこんなとこで役立つとは思わなかったッス」
少なからず、この村に住む人間の誰しもが世界の変化に気付いているのだろう。
だからこそ、疑う余地は殆ど無いに等しく。
勇のひたむきな想いもあって、その場にいる誰しもがしっかりと耳を傾けていた。
「おぬの話し合いたいちう理由はよぉわかったわ。 まぁ敵意も無く、友達になろちゅうこったら、ワシは別にかまへんがの」
「じゃあ―――」
彼等も平穏を享受してきた者達だから、受け入れる地盤もあるのだろう。
少なくとも、今まで戦ってきた者達と比べれば、話のわかる人々だったから。
だが、それを全て信じるか、という話となれば別だ。
「じゃがの、だからとおぬを信用出来るとは言うてへん」
言われた事を信じるのは可能だろう。
自分の目で見て、聞いて、その上で貰った情報を照らし合わせて真実を導き出す。
勇の話はその要素の一つに過ぎず、判断するのはジヨヨ達だから。
でも信用は違う。
もしその話が勇の用意した罠で、融和した後にほくそ笑んでいたら。
もし信用した相手を焼き討ちする様な残酷な人間だったら。
ジヨヨ達が勇を信用するに至る要素は足りていない。
まだ勇は信用に値する人物ではないと思われているのだ。
ジヨヨの言い放った一言に、バノもまた同調の頷きを見せる。
年寄りが故の警戒心―――それは勇が思う以上に堅牢。
しかし勇もその事がわからない訳ではない。
ここまでで疑ったり、不信に思ったりした事も沢山あったから。
「ええ、わかってます。 だからこそ信用してもらう為に聞いてもらいたい事があるんです。 これはまだバノさんにも伝えていない事です」
だからこそ、こんな時の切り札としてもあの本がある。
いつかのグゥとの思い出の中に置かれてきた日誌が。
自分の背中を押してくれる心強い味方が。
「今話した魔者のグゥさんも、最初は皆さんの様に俺の事を疑っていたんだと思います。 それで俺達が魔剣使いで、グゥさん自身ももう死に掛けてて。 だから出会った時、彼は諦めて死を懇願していました」
加えて伝えたのは、グゥ達エウバ族の身に何が起きたのか……その詳細。
転移が起きて、村が水の底に沈み、多くの者達が死に絶えた事。
生き残った者も全く知らない土地での生き方に困窮し、グゥを残して逝った事。
そしてその末に勇達と出会った事。
「でも俺はグゥさんを見殺しにする事なんて出来なかった。 俺にはグゥさんが『助けてくれ』って言ってる様にしか聞こえなかったんです。 なら、助けるしか無いじゃないか、って」
続いて語ったのは自身の境遇。
グゥを助けるに至った、勇の魔剣使いとしての目的。
―――それが〝人〟を守る事。
だから勇はグゥを助ける為に、命を守る為に連れて走ったのだ。
「グゥさんはその後、俺達の住む街にある病院っていう体の治療を行う場所に連れて行きました。 そこで色々と診てもらって、グゥさんは歩けるくらいに回復したんですよ」
「ほほぅ! ならそのビョウインちうとこに行きゃワシの腰痛もなおるかの」
「はは、多分治るんじゃないかなぁ」
「よし仲良うなったろ、今すぐなったろ」
「ジヨヨォ! これ以上話の腰折るんじゃあねぇ! さもなきゃおめぇのその腰折ったるぞォ!!」
しかしそんな真面目な話も束の間、話題はあらぬ方向へ。
このジヨヨ村長、それほど腰痛に悩まされているのだろう。
最初からずっと前屈状態なのもきっとその所為か。
怒鳴られて見せた顔は実に悔しそうである。
もしかしたらこのジヨヨ村長、カプロと同じで相当なマイペースな御仁なのかもしれない。
勇達の目にとある一つの家が見え始める。
それは他の家と比べてほんの少し様相が異なっていて。
基本的な構造の家よりも僅かに大きく、でも形はどこか安定していない。
突き出た屋根や変に伸びた柱、無駄にヒラヒラと泳ぐ布切れなど、妙な飾りっ気で溢れている。
もちろんそんな屋上が何かしら役に立っているかと言えばそうでもなさそうで。
精々、風見鶏の様にパタパタと回る妙なオブジェが風の強さを教えている程度だろう。
その様相を一言で片付けるならば、ゴチャゴチャした形とだけ。
あるいは、ツギハギの家と言えばわかりやすいかもしれない。
「ここが村長の家じゃあ」
しかもどうやらここが目的地だった様で。
思わず勇が振り返り、他の民家と見比べ始める始末である。
それほどまでに奇抜だったのだ。
「な、なんか派手ですね……」
「しゃーなかろ、村長の家だけは建て替え出来んじゃ」
でも真っ先に原因がストレートに飛び出す辺り、どうやら巨人も同じ気持ちな模様。
それを察した勇はただただ苦笑するばかりだ。
という訳で、ようやくその奇抜な村長宅へと辿り着き。
「おうジヨヨ、入るぞぉ」
辿り着くや否や、巨人が遠慮も無しに扉を開く。
さすがに元々が大きいとあって、その巨体が楽々と入れる程には入口も大きい。
ほんの少し屈む必要はある様だが。
「お前等も入れェ。 カプロもじゃ」
こうして遠慮せずに入るのが彼等流なのだろう。
狭い村だけの文化だからこそ、その様な配慮すら不要となったからなのかもしれない。
そんな事を思いながらも、勇とカプロが続いて家へと足を踏み入れていく。
すると、そんな彼等の前に一人の人物が姿を現した。
「おぬが人間かの……昔見たのとそっくりじゃのー」
思ったよりも広い屋内空間。
その中央に添えられた長椅子へ、前屈姿勢で座るのがその魔者。
ものすごく小さい。
カプロどころか、子供達よりもずっと。
巨人の膝にすら達しない程の背丈である。
でも年寄りだとわかる程に全体的な毛が燻っていて。
茶色というよりももはや灰色、しかもちぢれてボサボサだ。
おまけに頭頂部は残念なまでに剥げ散らかしている。
ただ、村長という立場としては理解出来る程な様相と言えるか。
相当なお年寄りなのだろう、至る所にシワらしい部分が見え隠れしていて。
動きもあまり芳しくは無く、震えてる様にさえ見える。
きっとこの村で最も長く生き、豊富な知識を持つ人物という事なのだろう。
「まあええわ。 おぬ、そこ座れ。 カプロもじゃー」
ただその性格は巨人と違ってとても温厚そう。
ふわっとした語り方が心地良ささえ感じさせてならない。
そんな村長が手に持つ杖で対面にある長椅子指し示す。
ここまで来ればもう遠慮は必要無い。
その事を学んだから、勇も言われるがままに座り込む。
もちろんカプロも一緒だ。
「バノはこっちじゃ」
さすがに巨人は椅子に座る必要も無い様で。
そう言われるがままに座ったのは、村長の座る椅子の背後。
それでもこの中の誰よりも背が高いのだから十分過ぎる配置だろう。
それぞれが座に付き、ようやく勇と村長が対面を果たす。
落ち着いた場での、正式な話し合いがようやく始まりを告げようとしているのである。
でも何を始めるにしろ、最初にする事は当然―――
「えっと、まずは自己紹介させてもらっていいですか?」
そう、互いに名前を知る事だ。
そしてこれはどうやら魔者達にとっても常識らしい。
「かまへんで。 ワシはジヨヨじゃ。 このアルライ族の村長やっとるよ。 んでこのバカデカいのがバノじゃ。 ワシの片腕をやっとる。 隣のぼんは説明せんでもええな」
「適当過ぎるッスね」
ただ、遠慮無しな性格はこんな所でも発揮している様で。
勇が語る間も与える事無く、相手側から手軽い自己紹介が。
たった一名のみ不満を露わにしているのはご愛敬である。
「俺は藤咲 勇っていいます。 あ、勇の方が名前で―――」
「細かい事はええがな。 ほいでおぬは何の為に話がしたいんや」
ただそんな自己紹介も、名前を知るだけで十分な訳で。
たちまち、ヨボヨボとは思えない流暢な語りが勇の余計な口を塞ぎ込む。
無駄な話など、今は必要無いから。
ジヨヨも興味があるのだ。
人間である勇がこうして話し合いを望んでやってきて。
この事実が今までの隠れ里の歴史に置いて類を見ない出来事だったからこそ。
だからこそ勇が持ってきた情報が、想いがどの様なものかが気になったのだ。
そこに彼等の抱える問題の解決策もあるかもしれないと。
彼等がそういうスタンスを見せてくれるからこそ、勇はようやく語る事が出来る。
訪れた時から伝えたかった、今の世界の状況を。
ジヨヨ村長が茶を啜る中、遂に勇から外の世界の現状が伝えられる。
勇達の世界が『あちら側』とは違い、魔者が居ない世界で。
争いこそあるが、『あちら側』の戦いと比べれば平穏そのものだという事。
そんな世界にこの隠れ里も含めた『あちら側』の色んな国が転移してきたという事。
そこからは勇自身の話も絡む。
勇が魔剣と魔者の事を知らないままに魔剣使いとなって戦ってきた事を。
更には倒したのはあくまで危害を加えてきた者だけだという事も。
命力を扱える者が言葉を知らなくても話が通じる様になっているという事も忘れない。
そして先程バノに話した、仲良くなりたいという理由にまつわる話もまた一緒に。
きっと聞いている方からすれば、何の話だと疑いもするだろう。
例え環境ががらりと変わっても、そんな不思議な事が起きているとは思いもしないだろうから。
しかし皮肉にも、勇という存在がその事を証明してしまっているからこそ。
ジヨヨ達も語られた話を前に唸りを上げるばかりである。
「成程のぉ、それでこんななってもうたんか」
「はい。 最初は信じられないかもしれないですけど。 俺もそうでしたし」
「命力がこんなとこで役立つとは思わなかったッス」
少なからず、この村に住む人間の誰しもが世界の変化に気付いているのだろう。
だからこそ、疑う余地は殆ど無いに等しく。
勇のひたむきな想いもあって、その場にいる誰しもがしっかりと耳を傾けていた。
「おぬの話し合いたいちう理由はよぉわかったわ。 まぁ敵意も無く、友達になろちゅうこったら、ワシは別にかまへんがの」
「じゃあ―――」
彼等も平穏を享受してきた者達だから、受け入れる地盤もあるのだろう。
少なくとも、今まで戦ってきた者達と比べれば、話のわかる人々だったから。
だが、それを全て信じるか、という話となれば別だ。
「じゃがの、だからとおぬを信用出来るとは言うてへん」
言われた事を信じるのは可能だろう。
自分の目で見て、聞いて、その上で貰った情報を照らし合わせて真実を導き出す。
勇の話はその要素の一つに過ぎず、判断するのはジヨヨ達だから。
でも信用は違う。
もしその話が勇の用意した罠で、融和した後にほくそ笑んでいたら。
もし信用した相手を焼き討ちする様な残酷な人間だったら。
ジヨヨ達が勇を信用するに至る要素は足りていない。
まだ勇は信用に値する人物ではないと思われているのだ。
ジヨヨの言い放った一言に、バノもまた同調の頷きを見せる。
年寄りが故の警戒心―――それは勇が思う以上に堅牢。
しかし勇もその事がわからない訳ではない。
ここまでで疑ったり、不信に思ったりした事も沢山あったから。
「ええ、わかってます。 だからこそ信用してもらう為に聞いてもらいたい事があるんです。 これはまだバノさんにも伝えていない事です」
だからこそ、こんな時の切り札としてもあの本がある。
いつかのグゥとの思い出の中に置かれてきた日誌が。
自分の背中を押してくれる心強い味方が。
「今話した魔者のグゥさんも、最初は皆さんの様に俺の事を疑っていたんだと思います。 それで俺達が魔剣使いで、グゥさん自身ももう死に掛けてて。 だから出会った時、彼は諦めて死を懇願していました」
加えて伝えたのは、グゥ達エウバ族の身に何が起きたのか……その詳細。
転移が起きて、村が水の底に沈み、多くの者達が死に絶えた事。
生き残った者も全く知らない土地での生き方に困窮し、グゥを残して逝った事。
そしてその末に勇達と出会った事。
「でも俺はグゥさんを見殺しにする事なんて出来なかった。 俺にはグゥさんが『助けてくれ』って言ってる様にしか聞こえなかったんです。 なら、助けるしか無いじゃないか、って」
続いて語ったのは自身の境遇。
グゥを助けるに至った、勇の魔剣使いとしての目的。
―――それが〝人〟を守る事。
だから勇はグゥを助ける為に、命を守る為に連れて走ったのだ。
「グゥさんはその後、俺達の住む街にある病院っていう体の治療を行う場所に連れて行きました。 そこで色々と診てもらって、グゥさんは歩けるくらいに回復したんですよ」
「ほほぅ! ならそのビョウインちうとこに行きゃワシの腰痛もなおるかの」
「はは、多分治るんじゃないかなぁ」
「よし仲良うなったろ、今すぐなったろ」
「ジヨヨォ! これ以上話の腰折るんじゃあねぇ! さもなきゃおめぇのその腰折ったるぞォ!!」
しかしそんな真面目な話も束の間、話題はあらぬ方向へ。
このジヨヨ村長、それほど腰痛に悩まされているのだろう。
最初からずっと前屈状態なのもきっとその所為か。
怒鳴られて見せた顔は実に悔しそうである。
もしかしたらこのジヨヨ村長、カプロと同じで相当なマイペースな御仁なのかもしれない。
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