502 / 1,197
第十七節「厳しき現実 触れ合える心 本心大爆発」
~コイバナ~
しおりを挟む
フゥーー……
深く息を吐き出し……勇が歩を進める。
高まる鼓動を制する事も出来ないまま……角に隠れていた彼女の姿が徐々に露わとなっていく。
そこにある瀬玲の姿―――
風呂から上がったばかりなのであろう湿り気を残す髪。
そして高温の湯を浴びたのだろうか、彼女の顔は妙に赤い。
自分で持ってきたのだろう、ピンクのスウェットには小さなハートの柄が等間隔で並ぶ。
脇を締める様にしなやかな腕が垂直に腰元に沿い、その手がベッドへと添えられている。
そして上目遣いで勇を見つめ……緩い笑顔を浮かべていた。
「じゃあ勇……ここ座って」
「えっ……」
そう言うと瀬玲が左手で自身のすぐ横のベッドの上を「てしてし」と叩く。
誘っているのだろうか、そう思えなくも無い程に……妙にわざとらしい仕草だ。
誘われるがままに勇が彼女の隣に座る。
思った以上に近く感じる距離間……彼女の香りが呼吸に伴い吸い込まれていく。
未だ勇の鼓動は高鳴ったまま……漂う女の子の香りを周囲に纏わせる今、彼には落ち着いた様な顔を見せるだけで精一杯だった。
「で、な、何の用……?」
必死にそのどもる声で彼女の意図を探る。
途端、流し目で勇を見つめる瀬玲……そんな彼女の表情を前に、不意に視線を逸らすが……その顔が理性をガリガリと深く荒く削りとっていった。
「んとねぇ~……」
焦らす様な声を前に、徐々に勇の顔がしかめシワを作っていき、口の形が歪んでいく。
「プッ」
すると突然空気の破れる様な小さな音が聞こえ、不意に瀬玲の顔を見つめると……彼女の顔が面白い物を見るかの様に今にも吹き出しそうな顔へと変貌していた。
「プフッ!! 勇ちょっと……面白すぎ!! アッハハ!!」
「ちょ……セリィ……お前ふざけて……」
「アハハハ、ごめんごめん!! 」
一瞬で場がしらけた。
大きな期待をしていた勇の想いは見事に打ち砕かれ……そんな彼をあざ笑うかの様ないつもの瀬玲を前にただ溜息しか出てこない。
「……俺戻るわ」
「待ってちょっと!! 用があるにはあるんだからぁ!!」
立ち上がろうとする勇の腕を掴み、無理矢理元の場所へ座らせる。
勢いよく引かれたからか……勇の腰がベッドへ落ちると、ベッドがギシギシと軋みを上げて揺れ動いた。
「全くアンタはもう少し『横』も見なさいってぇ……真っ直ぐ前を向くのは悪い事じゃないけどさ」
彼女の細い指が不意に勇の鼻先に乗り……ツンと突く。
そんな不可解な行動に、勇の口から再びの溜息が漏れていた。
「まぁいいわ……勇さ、初恋っていつだった?」
「はぁ!? なんでそんな……」
突然の不可解な質問……さすがの勇も戸惑いを隠せない。
言い出せない彼に、瀬玲はどこか不満げだ。
「いいから!! 言いなさいよ!!」
痺れを切らした瀬玲がずずいと身を乗り出し、お互いの顔が接近する。
それに対して勢いに押されるまま首を引く勇は、彼女の勢いに負け……渋々語り始めた。
「わ、わかったよ……初恋は……小学4年生の時隣に座った子だったよ」
「へぇ~そんな頃だったんだ。 その子の名前は?」
「えっと確か……宍戸さんだったかな……下の名前は忘れたよ。 隣に座ってから頻繁に話す様になって遊びに行った事もあったんだ。 けど彼女が引っ越す事になってさ……」
「ほうほう……」
「ウンウン」と頷き話の相槌を打つ瀬玲……その瞳はキラキラと輝く様を見せる。
「遠くに行くからって別れの挨拶して……それっきりだよ。 どこに行ったかもわからないし」
「そうなんだぁ~……また会いたい?」
「え、まぁ会いたいと言えば会いたいかな……でも今は好きとかそんなんじゃないけど」
瀬玲が腕を組み、「ウーン」と唸る様に首を俯かせる。
彼女の脳裏に浮かぶのは彼の初恋話のイメージ。
妄想力を働かせ、その話の人物に自身を没入させていた。
語った当の本人を放置して。
「もういい?」
「ダメ」
不意にまた立ち上がろうとするも……腕を再び掴み離さない彼女に、遂に勇は観念して肩を落とす。
「わかった、わかったよ……次は何を話せばいい?」
「んーーー次は私の番!」
「えっ?」
勇の目に映るのは、楽しそうな表情を浮かべる瀬玲の顔。
そんな彼女の意図が読めず、勇は思わずその首を傾げた。
だが勇の戸惑いなど意に介する事も無く……瀬玲が自分の望むままに淡々と語り始めた。
「私の初恋はねぇ……心輝なんだよ」
「え、そうだったの?」
幼馴染である瀬玲と心輝……幼い頃から今まで一緒であればそうなるのは必然であろうか。
「そそ、幼稚園の頃からアイツと一緒だったんだけどさ、気付いたのは中学1年の時かなー。 それまでは仲のいい友達だと思ってたんだけど……気付いたらアイツ意識してた」
「意外だな」
勇の相槌に空かさず彼女が食いついた。
「でしょ!? 今の私もそう思う!」
彼女の食い付き具合に、勇はたじたじしながらも小刻みに頷いて応える。
彼の賛同に気が良くなったのだろう……彼女はスッと落ち着きを取り戻して見せた。
「……そんでさ、世話が掛かるけど持ちつ持たれつだしこれでいいのかなーって思ってたんだ。 でもある時気付いちゃったんだよね~……アイツアニメとか漫画ばっか好きじゃん? 自分の好きな物ばっか追い掛けてさ……こっち見てくんないんだよね~それで馬鹿らしくなっちゃった」
言い得て妙だがその通りだろうなと勇は頷く。
彼女が好きになった理由こそわからないが……心輝が趣味に生きる男だというのはお互いよくわかっている事だ。
それ故にその結果もまた必然だったのかもしれない。
「多分アイツをまた好きになる事は無いと思うわ……前も言ったと思うけど、園部一家は相沢家にとって家族仲間みたいなもんだから……近くに居続ける限りくっつかないと思うわ」
人は3年ほど同じ家で生活を共にすると相方を家族と認識し、異性と感じなくなる本能を持つ……そんな学術的な話がある。
幼い頃から共に過ごしてきた二人にとってそれは最早それと同等の状態であると言えるのだろう。
「じゃあ次は勇の番」
「え、また!?」
「当たり前じゃん、これは恋バナよ?」
「恋バナ……女子会かよ!?」
勇のツッコミに瀬玲が「ニシシ」と嘲笑う。
困惑の顔を浮かべながらも、話を続ける勇に対し瀬玲は満足そうに笑顔を浮かべていた。
それというのも……昼間の一件で、瀬玲は多少なりに罪悪感を感じていた。
それはエウリィの事を思い出させてしまった事に対して。
彼にとってその思い出は人生で最も大きな傷だった。
それは元恋人であった勇の親友・司城統也の死を受け入れた彼女と同じ境遇と言える。
それを感じたからこそ……彼女は少しでも勇の力になりたかったのかもしれない。
そしてもう一つ……いつも真剣で真面目な彼の煩悩が欲望に忠実だった事、そこに親近感を覚えたから。
朴念仁だと思っていた勇が実は疚しい事に飢えていたとは思っても見なかったのだろう……彼にも欲望が存在するという事に、同じ人間として安心したからなのかもしれない。
それら二つの要因が、彼女にとっての勇への感情を「仲間」というよりも「同志」に近いモノへと昇華させていたのだった。
男と女の友情は有り得ないとある人は言った。
そんな事は無い……お互いの感情の一部が欠如しているのであればきっとその可能性もゼロではないのだと……いつの間にか笑い合う二人の表情がそれを物語っていた。
その日、二人は夜遅くまで語り合い、お互いの恋バナや身の上話で盛り上がったという。
――――――
その後トルコ政府とリジーシア領国は協力関係を約束する条約を結び、彼等は今までとは比較に成らない程の安定した生活を約束される事となる。
リジーシアの人々の新たな生活はしばらく苦労を伴う事になるだろう。
だがそれでも彼等は生き抜いていく。
そう思える程に、彼等は生き残る事に対してバイタリティに溢れていたのだから……。
第十七節 完
深く息を吐き出し……勇が歩を進める。
高まる鼓動を制する事も出来ないまま……角に隠れていた彼女の姿が徐々に露わとなっていく。
そこにある瀬玲の姿―――
風呂から上がったばかりなのであろう湿り気を残す髪。
そして高温の湯を浴びたのだろうか、彼女の顔は妙に赤い。
自分で持ってきたのだろう、ピンクのスウェットには小さなハートの柄が等間隔で並ぶ。
脇を締める様にしなやかな腕が垂直に腰元に沿い、その手がベッドへと添えられている。
そして上目遣いで勇を見つめ……緩い笑顔を浮かべていた。
「じゃあ勇……ここ座って」
「えっ……」
そう言うと瀬玲が左手で自身のすぐ横のベッドの上を「てしてし」と叩く。
誘っているのだろうか、そう思えなくも無い程に……妙にわざとらしい仕草だ。
誘われるがままに勇が彼女の隣に座る。
思った以上に近く感じる距離間……彼女の香りが呼吸に伴い吸い込まれていく。
未だ勇の鼓動は高鳴ったまま……漂う女の子の香りを周囲に纏わせる今、彼には落ち着いた様な顔を見せるだけで精一杯だった。
「で、な、何の用……?」
必死にそのどもる声で彼女の意図を探る。
途端、流し目で勇を見つめる瀬玲……そんな彼女の表情を前に、不意に視線を逸らすが……その顔が理性をガリガリと深く荒く削りとっていった。
「んとねぇ~……」
焦らす様な声を前に、徐々に勇の顔がしかめシワを作っていき、口の形が歪んでいく。
「プッ」
すると突然空気の破れる様な小さな音が聞こえ、不意に瀬玲の顔を見つめると……彼女の顔が面白い物を見るかの様に今にも吹き出しそうな顔へと変貌していた。
「プフッ!! 勇ちょっと……面白すぎ!! アッハハ!!」
「ちょ……セリィ……お前ふざけて……」
「アハハハ、ごめんごめん!! 」
一瞬で場がしらけた。
大きな期待をしていた勇の想いは見事に打ち砕かれ……そんな彼をあざ笑うかの様ないつもの瀬玲を前にただ溜息しか出てこない。
「……俺戻るわ」
「待ってちょっと!! 用があるにはあるんだからぁ!!」
立ち上がろうとする勇の腕を掴み、無理矢理元の場所へ座らせる。
勢いよく引かれたからか……勇の腰がベッドへ落ちると、ベッドがギシギシと軋みを上げて揺れ動いた。
「全くアンタはもう少し『横』も見なさいってぇ……真っ直ぐ前を向くのは悪い事じゃないけどさ」
彼女の細い指が不意に勇の鼻先に乗り……ツンと突く。
そんな不可解な行動に、勇の口から再びの溜息が漏れていた。
「まぁいいわ……勇さ、初恋っていつだった?」
「はぁ!? なんでそんな……」
突然の不可解な質問……さすがの勇も戸惑いを隠せない。
言い出せない彼に、瀬玲はどこか不満げだ。
「いいから!! 言いなさいよ!!」
痺れを切らした瀬玲がずずいと身を乗り出し、お互いの顔が接近する。
それに対して勢いに押されるまま首を引く勇は、彼女の勢いに負け……渋々語り始めた。
「わ、わかったよ……初恋は……小学4年生の時隣に座った子だったよ」
「へぇ~そんな頃だったんだ。 その子の名前は?」
「えっと確か……宍戸さんだったかな……下の名前は忘れたよ。 隣に座ってから頻繁に話す様になって遊びに行った事もあったんだ。 けど彼女が引っ越す事になってさ……」
「ほうほう……」
「ウンウン」と頷き話の相槌を打つ瀬玲……その瞳はキラキラと輝く様を見せる。
「遠くに行くからって別れの挨拶して……それっきりだよ。 どこに行ったかもわからないし」
「そうなんだぁ~……また会いたい?」
「え、まぁ会いたいと言えば会いたいかな……でも今は好きとかそんなんじゃないけど」
瀬玲が腕を組み、「ウーン」と唸る様に首を俯かせる。
彼女の脳裏に浮かぶのは彼の初恋話のイメージ。
妄想力を働かせ、その話の人物に自身を没入させていた。
語った当の本人を放置して。
「もういい?」
「ダメ」
不意にまた立ち上がろうとするも……腕を再び掴み離さない彼女に、遂に勇は観念して肩を落とす。
「わかった、わかったよ……次は何を話せばいい?」
「んーーー次は私の番!」
「えっ?」
勇の目に映るのは、楽しそうな表情を浮かべる瀬玲の顔。
そんな彼女の意図が読めず、勇は思わずその首を傾げた。
だが勇の戸惑いなど意に介する事も無く……瀬玲が自分の望むままに淡々と語り始めた。
「私の初恋はねぇ……心輝なんだよ」
「え、そうだったの?」
幼馴染である瀬玲と心輝……幼い頃から今まで一緒であればそうなるのは必然であろうか。
「そそ、幼稚園の頃からアイツと一緒だったんだけどさ、気付いたのは中学1年の時かなー。 それまでは仲のいい友達だと思ってたんだけど……気付いたらアイツ意識してた」
「意外だな」
勇の相槌に空かさず彼女が食いついた。
「でしょ!? 今の私もそう思う!」
彼女の食い付き具合に、勇はたじたじしながらも小刻みに頷いて応える。
彼の賛同に気が良くなったのだろう……彼女はスッと落ち着きを取り戻して見せた。
「……そんでさ、世話が掛かるけど持ちつ持たれつだしこれでいいのかなーって思ってたんだ。 でもある時気付いちゃったんだよね~……アイツアニメとか漫画ばっか好きじゃん? 自分の好きな物ばっか追い掛けてさ……こっち見てくんないんだよね~それで馬鹿らしくなっちゃった」
言い得て妙だがその通りだろうなと勇は頷く。
彼女が好きになった理由こそわからないが……心輝が趣味に生きる男だというのはお互いよくわかっている事だ。
それ故にその結果もまた必然だったのかもしれない。
「多分アイツをまた好きになる事は無いと思うわ……前も言ったと思うけど、園部一家は相沢家にとって家族仲間みたいなもんだから……近くに居続ける限りくっつかないと思うわ」
人は3年ほど同じ家で生活を共にすると相方を家族と認識し、異性と感じなくなる本能を持つ……そんな学術的な話がある。
幼い頃から共に過ごしてきた二人にとってそれは最早それと同等の状態であると言えるのだろう。
「じゃあ次は勇の番」
「え、また!?」
「当たり前じゃん、これは恋バナよ?」
「恋バナ……女子会かよ!?」
勇のツッコミに瀬玲が「ニシシ」と嘲笑う。
困惑の顔を浮かべながらも、話を続ける勇に対し瀬玲は満足そうに笑顔を浮かべていた。
それというのも……昼間の一件で、瀬玲は多少なりに罪悪感を感じていた。
それはエウリィの事を思い出させてしまった事に対して。
彼にとってその思い出は人生で最も大きな傷だった。
それは元恋人であった勇の親友・司城統也の死を受け入れた彼女と同じ境遇と言える。
それを感じたからこそ……彼女は少しでも勇の力になりたかったのかもしれない。
そしてもう一つ……いつも真剣で真面目な彼の煩悩が欲望に忠実だった事、そこに親近感を覚えたから。
朴念仁だと思っていた勇が実は疚しい事に飢えていたとは思っても見なかったのだろう……彼にも欲望が存在するという事に、同じ人間として安心したからなのかもしれない。
それら二つの要因が、彼女にとっての勇への感情を「仲間」というよりも「同志」に近いモノへと昇華させていたのだった。
男と女の友情は有り得ないとある人は言った。
そんな事は無い……お互いの感情の一部が欠如しているのであればきっとその可能性もゼロではないのだと……いつの間にか笑い合う二人の表情がそれを物語っていた。
その日、二人は夜遅くまで語り合い、お互いの恋バナや身の上話で盛り上がったという。
――――――
その後トルコ政府とリジーシア領国は協力関係を約束する条約を結び、彼等は今までとは比較に成らない程の安定した生活を約束される事となる。
リジーシアの人々の新たな生活はしばらく苦労を伴う事になるだろう。
だがそれでも彼等は生き抜いていく。
そう思える程に、彼等は生き残る事に対してバイタリティに溢れていたのだから……。
第十七節 完
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる