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第十五節「戦士達の道標 巡る想い 集いし絆」
~信念、それは変わり変わらぬモノ~
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ボノゴ族との戦いの後、2日程が経過した。
作戦終了後日、彼等は無事日本へと帰国を果たしていた。
帰国した彼等を待つのは作戦報告。
とはいえ、赴いた全員がわざわざ報告に立ち寄る様な作戦内容でも無く……大きく動いた勇と心輝が代表者として魔特隊本部へ東京にある魔特隊本部へ訪れていた。
事務所にある自分達の席に座り、事務員の女性『笠本 瑠海」の記録の下で報告を行う。
若作りで小柄ともあり、比較的若そうではあるが……実は魔特隊の所属員の中で福留とレンネィに次いで年齢の高い人物である。
ショートのストレートヘアに黒縁の眼鏡を掛け、物静かともミステリアスともとれる雰囲気の彼女……以前は勇達の移動の手伝いなど以外目立つ様な動きはしていなかったのだが、魔特隊発足と共に主事務員として彼等の前で仕事を行う事が増えた様だ。
「―――んで、俺がワンツーを決めたら爺さんがヨロけて―――」
「あの……申し訳ありませんが、そのくだりは続くのでしょうか?」
心輝の話が長くなると踏んだのだろうか、眼鏡を「クイッ」と上げながら笠本が話の腰を折る。
照明の光が眼鏡のレンズを照らし、無表情の彼女の顔に一層の不穏さを醸し出させた。
「……あのね笹もっちゃん、ここはいわゆる俺の見せ場でさぁ、やっぱこう……派手に行きたい訳よ!?」
笠本の歳は今年で31歳。
明らかに年上である笠本に対して心輝が遠慮なく話を連ねるが……彼女は表情一つ変える事無く淡々と一語一句パソコンへ記録していく。
静かに、それでいて凄まじい速度のタイピングで打ち込まれていくさまに、思わず心輝が眉間を寄せ始めた。
「え、今の記録しちゃったの!?」
「はい、しました」
「ちょちょ……笹もっちゃぁん……」
「これも記録しましたので」
そんなやり取りを行う二人を前に、机に肩肘を立てて待つ勇が僅かに微笑んでいた。
―――あ、今ちょっと笠本さんの口角が上がったな―――
クールな様に見える彼女だが……実はちょっとした意地悪な性格だ。
悪意は無いのだが、心輝の様にいじり易い相手は恰好の餌食と言える。
もっとも、彼しかいじられていない様で……もっぱら彼女のお気に入りと仲間内で噂になる程。
もちろん、心輝当人は知らぬ話……であるが。
簡潔に纏めたい笠本と派手に飾りたい心輝の応酬は無駄に続き、時間だけが過ぎていく。
すると玄関の扉が開く音が聞こえ、パタパタという音と共に福留が姿を現した。
「おやぁ、二人共まだここに居たのですか?」
不思議そうな顔で3人を見る福留に、三人が揃って顔を向ける。
その一人、勇があまりにも退屈そうな表情を見せる辺りを察したのか……福留は途端笑顔と共に「ハハハ」と小さな笑いを飛ばした。
事務所内にあるハンガーへ上着を掛けていると、笠本が思わず不満を挙げる。
「園部さんがなかなか正確に報告して頂けないので長引いています。 申し訳ありません」
「いやいや……構いませんよ、今日は時間ありますし」
福留はそう応えながら自分の席へと歩く。
心輝の後ろを通ると、彼は笠本の言葉に反論するかの様に口を開いた。
「報告するならちゃんと報告するべきッスよぉ……必殺ブローとかやっぱ必要じゃないッスか!!」
「ハハ……勿論あっても構いませんよ。 笠本さん、彼が言う通りに書いてあげてください」
「……分かりました」
「報告書を見るのは、戦いに興味なんて全くありはしない総理大臣ですからねぇ……」
その言葉を聞くや否や……心輝の表情が固まる。
「マ、マジすか?」
「えぇ、勿論」
当然嘘ではない。
今までは魔特隊の立案者であり、理解のある鷹峰総理であったからこそ細かい報告でもある程度融通が利いたという点がある。
しかし現総理大臣は小嶋 由子という人物。
彼女は魔特隊の存在に否定的であり、もし彼女の目に不備が映る様であれば魔特隊の存続にも関わる事に成り兼ねないのだ。
彼女が魔特隊に否定的な事は勇達にも周知済みの事である。
「あー……笠本さぁん、続きの報告、始めて宜しいでしょうかぁ?」
「フフ、どうぞ」
急にしおらしくなった心輝が慣れない丁寧口調で話し始めると……それがツボだったのだろう、笠本が笑いを零した。
「この後編集もあるので問題ありませんよ」
「んなっ……笹もっちゃぁん……!!」
見事に遊ばれている心輝を前に、勇と福留も思わず笑いを零す。
「でも必要であれば、全文を印刷してボードに張り付けておきますので」
「ちょちょ……急に恥ずかしくなってきたぁー!!」
頭をわしゃわしゃと掻き乱し恥ずかしがる心輝に対して再び笠本が笑顔を浮かべた。
なんだかんだでこの二人のやりとりは絶妙にバランスが取れているのかもしれない。
―――福留さんの人選ってホント頭が切れる人ばっかりだよなぁ―――
嫌という程の人では無いが、こう弄ばれるとなんだか別の意味で不安を感じる勇であった。
心輝の報告が終わり、報告書を纏める笠本。
特に勇からは大きな報告内容がある訳でもなく……。
「敵のボスを見つけ次第説得、成功したので現地オブザーバーに報告で作戦完了です。 侵入した一般人在り、注意を勧告。 それとボノゴ族への提供用ハンバーガー100個要求後解散となりました」
たった3言……1分程度で報告を済ませると、笠本がそれに続き報告書に記録していく。
すると……彼女が纏めている最中、思い立った様に福留が勇へと視線を向けた。
「勇君、相手のボスは結局悪人だったのですか?」
「初見ではそう感じました……ですが反省の余地ありという事で警告して聞き入れて貰えた筈です」
「そう……『筈』、ですか」
そうぼそりと呟くと福留は「フゥー」と深く息を吐き出した。
「何か不味かったですかね?」
その福留の反応が気に成ったのか、勇は不意に彼の意図を探ろうと問い掛ける。
だが、勇の反応に対し……福留はゆるりと首を横に振り、にこりと優しい笑みを浮かべた。
「いえいえ、無駄な殺生を避けて頂いて安心したのですよ」
「そうですか……」
その言葉を聞いて勇も安心したのか……勇は微笑みを浮かべ、座っている椅子の背もたれにドサリと背を当てた。
「報告書の整理が完了しました」
「はやっ!!」
そう話をしていると驚異の編集力で作業を済ませた笠本が声を上げる。
それを聞いた福留は「ウンウン」と頷くと、自身の席に備え付けられたパソコンをおもむろにいじり始めた。
「はい、確認出来ました、有難う御座います……ではこれで報告は終わりという事で」
「お疲れさまでした」
「お疲れっしたー!」
「お二人共ご苦労様でした」
勇と心輝が「やっと終わったか」と言わんばかりの疲れた様な顔付で挨拶し席を立つ。
戦うだけの時であればこんな雑務は無かったのだが……魔特隊に正式入隊後はこんな事も増えた。
事務的な事となれば、面倒さも相まって疲れも溜まるもので。
二人が帰宅準備を済ませて事務所から外へ出ていくと……その背中を追う様に福留が事務所の入り口をじっと見つめ続けていた。
「おう勇、飯くって帰ろうぜ」
「そうだな」
既に時刻は夕刻……空は闇に覆われ、街灯が街を照らす。
そんな他愛もない会話を交わしながら二人が事務所の前から去っていくと、事務所内に居る福留がぼそりと呟いた。
「……そうですか……やはり君は……」
―――君はいつだか
『変わろうと望まない限り人の心は変わらない』
そう言いましたねぇ……
……でも、人の心というモノは……
変えようと思っても、なかなか変わらないモノなんですよ―――
福留の心の中で優しい言葉が響く……そんな事も分かる筈も無く、暗い空の下で二人の男が笑いを交わし夜の街に消えていった……。
かつて少年は、守るべき者を守る為に青の少女との約束を捨てた。
しかし彼は気付いていない。
その約束は、捨てようと、忘れようと、蔑ろにしようと……心がそう在り続ける限り、決して、消える事は無いのだと。
その事に気付くのは―――
作戦終了後日、彼等は無事日本へと帰国を果たしていた。
帰国した彼等を待つのは作戦報告。
とはいえ、赴いた全員がわざわざ報告に立ち寄る様な作戦内容でも無く……大きく動いた勇と心輝が代表者として魔特隊本部へ東京にある魔特隊本部へ訪れていた。
事務所にある自分達の席に座り、事務員の女性『笠本 瑠海」の記録の下で報告を行う。
若作りで小柄ともあり、比較的若そうではあるが……実は魔特隊の所属員の中で福留とレンネィに次いで年齢の高い人物である。
ショートのストレートヘアに黒縁の眼鏡を掛け、物静かともミステリアスともとれる雰囲気の彼女……以前は勇達の移動の手伝いなど以外目立つ様な動きはしていなかったのだが、魔特隊発足と共に主事務員として彼等の前で仕事を行う事が増えた様だ。
「―――んで、俺がワンツーを決めたら爺さんがヨロけて―――」
「あの……申し訳ありませんが、そのくだりは続くのでしょうか?」
心輝の話が長くなると踏んだのだろうか、眼鏡を「クイッ」と上げながら笠本が話の腰を折る。
照明の光が眼鏡のレンズを照らし、無表情の彼女の顔に一層の不穏さを醸し出させた。
「……あのね笹もっちゃん、ここはいわゆる俺の見せ場でさぁ、やっぱこう……派手に行きたい訳よ!?」
笠本の歳は今年で31歳。
明らかに年上である笠本に対して心輝が遠慮なく話を連ねるが……彼女は表情一つ変える事無く淡々と一語一句パソコンへ記録していく。
静かに、それでいて凄まじい速度のタイピングで打ち込まれていくさまに、思わず心輝が眉間を寄せ始めた。
「え、今の記録しちゃったの!?」
「はい、しました」
「ちょちょ……笹もっちゃぁん……」
「これも記録しましたので」
そんなやり取りを行う二人を前に、机に肩肘を立てて待つ勇が僅かに微笑んでいた。
―――あ、今ちょっと笠本さんの口角が上がったな―――
クールな様に見える彼女だが……実はちょっとした意地悪な性格だ。
悪意は無いのだが、心輝の様にいじり易い相手は恰好の餌食と言える。
もっとも、彼しかいじられていない様で……もっぱら彼女のお気に入りと仲間内で噂になる程。
もちろん、心輝当人は知らぬ話……であるが。
簡潔に纏めたい笠本と派手に飾りたい心輝の応酬は無駄に続き、時間だけが過ぎていく。
すると玄関の扉が開く音が聞こえ、パタパタという音と共に福留が姿を現した。
「おやぁ、二人共まだここに居たのですか?」
不思議そうな顔で3人を見る福留に、三人が揃って顔を向ける。
その一人、勇があまりにも退屈そうな表情を見せる辺りを察したのか……福留は途端笑顔と共に「ハハハ」と小さな笑いを飛ばした。
事務所内にあるハンガーへ上着を掛けていると、笠本が思わず不満を挙げる。
「園部さんがなかなか正確に報告して頂けないので長引いています。 申し訳ありません」
「いやいや……構いませんよ、今日は時間ありますし」
福留はそう応えながら自分の席へと歩く。
心輝の後ろを通ると、彼は笠本の言葉に反論するかの様に口を開いた。
「報告するならちゃんと報告するべきッスよぉ……必殺ブローとかやっぱ必要じゃないッスか!!」
「ハハ……勿論あっても構いませんよ。 笠本さん、彼が言う通りに書いてあげてください」
「……分かりました」
「報告書を見るのは、戦いに興味なんて全くありはしない総理大臣ですからねぇ……」
その言葉を聞くや否や……心輝の表情が固まる。
「マ、マジすか?」
「えぇ、勿論」
当然嘘ではない。
今までは魔特隊の立案者であり、理解のある鷹峰総理であったからこそ細かい報告でもある程度融通が利いたという点がある。
しかし現総理大臣は小嶋 由子という人物。
彼女は魔特隊の存在に否定的であり、もし彼女の目に不備が映る様であれば魔特隊の存続にも関わる事に成り兼ねないのだ。
彼女が魔特隊に否定的な事は勇達にも周知済みの事である。
「あー……笠本さぁん、続きの報告、始めて宜しいでしょうかぁ?」
「フフ、どうぞ」
急にしおらしくなった心輝が慣れない丁寧口調で話し始めると……それがツボだったのだろう、笠本が笑いを零した。
「この後編集もあるので問題ありませんよ」
「んなっ……笹もっちゃぁん……!!」
見事に遊ばれている心輝を前に、勇と福留も思わず笑いを零す。
「でも必要であれば、全文を印刷してボードに張り付けておきますので」
「ちょちょ……急に恥ずかしくなってきたぁー!!」
頭をわしゃわしゃと掻き乱し恥ずかしがる心輝に対して再び笠本が笑顔を浮かべた。
なんだかんだでこの二人のやりとりは絶妙にバランスが取れているのかもしれない。
―――福留さんの人選ってホント頭が切れる人ばっかりだよなぁ―――
嫌という程の人では無いが、こう弄ばれるとなんだか別の意味で不安を感じる勇であった。
心輝の報告が終わり、報告書を纏める笠本。
特に勇からは大きな報告内容がある訳でもなく……。
「敵のボスを見つけ次第説得、成功したので現地オブザーバーに報告で作戦完了です。 侵入した一般人在り、注意を勧告。 それとボノゴ族への提供用ハンバーガー100個要求後解散となりました」
たった3言……1分程度で報告を済ませると、笠本がそれに続き報告書に記録していく。
すると……彼女が纏めている最中、思い立った様に福留が勇へと視線を向けた。
「勇君、相手のボスは結局悪人だったのですか?」
「初見ではそう感じました……ですが反省の余地ありという事で警告して聞き入れて貰えた筈です」
「そう……『筈』、ですか」
そうぼそりと呟くと福留は「フゥー」と深く息を吐き出した。
「何か不味かったですかね?」
その福留の反応が気に成ったのか、勇は不意に彼の意図を探ろうと問い掛ける。
だが、勇の反応に対し……福留はゆるりと首を横に振り、にこりと優しい笑みを浮かべた。
「いえいえ、無駄な殺生を避けて頂いて安心したのですよ」
「そうですか……」
その言葉を聞いて勇も安心したのか……勇は微笑みを浮かべ、座っている椅子の背もたれにドサリと背を当てた。
「報告書の整理が完了しました」
「はやっ!!」
そう話をしていると驚異の編集力で作業を済ませた笠本が声を上げる。
それを聞いた福留は「ウンウン」と頷くと、自身の席に備え付けられたパソコンをおもむろにいじり始めた。
「はい、確認出来ました、有難う御座います……ではこれで報告は終わりという事で」
「お疲れさまでした」
「お疲れっしたー!」
「お二人共ご苦労様でした」
勇と心輝が「やっと終わったか」と言わんばかりの疲れた様な顔付で挨拶し席を立つ。
戦うだけの時であればこんな雑務は無かったのだが……魔特隊に正式入隊後はこんな事も増えた。
事務的な事となれば、面倒さも相まって疲れも溜まるもので。
二人が帰宅準備を済ませて事務所から外へ出ていくと……その背中を追う様に福留が事務所の入り口をじっと見つめ続けていた。
「おう勇、飯くって帰ろうぜ」
「そうだな」
既に時刻は夕刻……空は闇に覆われ、街灯が街を照らす。
そんな他愛もない会話を交わしながら二人が事務所の前から去っていくと、事務所内に居る福留がぼそりと呟いた。
「……そうですか……やはり君は……」
―――君はいつだか
『変わろうと望まない限り人の心は変わらない』
そう言いましたねぇ……
……でも、人の心というモノは……
変えようと思っても、なかなか変わらないモノなんですよ―――
福留の心の中で優しい言葉が響く……そんな事も分かる筈も無く、暗い空の下で二人の男が笑いを交わし夜の街に消えていった……。
かつて少年は、守るべき者を守る為に青の少女との約束を捨てた。
しかし彼は気付いていない。
その約束は、捨てようと、忘れようと、蔑ろにしようと……心がそう在り続ける限り、決して、消える事は無いのだと。
その事に気付くのは―――
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