ハート オール デスゲーム／宇宙から来たロボットに拠る地球侵略

バイタルチェック

目が覚めると、白い天井が目に入った。

俺に妹はいない、居たらいいと妄想は何度もしてきたけど。

ロボ「気が付いたか、バイタルチェックするからそのままでいろ」

金属製の手が、俺の左手を掴んだ。

このデスゲームが俺の現実なんだ。

待つ事数秒。

ロボ「体温正常値、呼吸と心拍数異常なし、脈拍正常。
　　　心電図問題なし。血圧正常。
　　　水分量不足」

スポーツドリンクから伸びた異常に長いストローの先端を口に入れられた。

寝転がったままでも飲めるように配慮されたのだろう。

ロボ「全部飲め」

五百ミリの液体は胃袋へと収まった。

ロボ「頭部を調べるから、動くな」

金属製の手が、俺の頭部を触診している。

後頭部が痛みはしていない。

ロボ「形状変化なし、脳波も異常なし。
　　　自己申告としてはどうだ？」

これ、治ったって答えたら、即競技に参加させられるよな。

「うーん、痛みはありませんけど、違和感がありますね」

ロボ「そうか、まだ安静が必要だな。
　　　次の競技に参加するのは先送りにするように申告しておくぞ」

「ありがとうございます」

ロボ「では、改めて。
　　　この度の障害事件についてはこちらの落ち度であり、
　　　深くお詫びする」

ロボットが頭部を九十度まで下げている。

「いえいえ、所であの時何が起きたんですか？」

ロボ「一番がブリキのバケツで二番を殴った。
　　　二番は気絶して、その場に倒れた。
　　　一番にはキツイお仕置き、即ち軽い拷問を加えておいた」

ロボットが頭部を上げた。

「そうだったんですか」