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第四十四 参加人数を数えて報告 その三十四

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画面に少しだけ変化があるのが分かった。
数人の参加者たちが微妙にではあるが移動している。
おっかなびっくり、さぐりさぐりではあるが、歩いている。

参加者を数える競技だからね。
目視で人間の数を数えなきゃ話にならないんだから。
或いは、遮蔽物があれば、そこに隠れて、カウントされないで
誤報告を狙う戦法もある訳だ。
実際の所、遮蔽物はないのだが。

一方で、全く動きの感じられない参加者も結構居る。

空調の影響でレインコートが揺れているだけで、
本人たちは全く動いていないっぽい。
人間って、あんにも長時間直立不動で居られる物なのか?
気絶して床に伏しているのなら別だけど。

その気絶している人物(本人でーす)に眼をやると、
誰かに踏まれていた。

音声「脱落条件が満たされた為、その参加者を脱落とする。
   全員動きを停止しなさい」

参加者全員が動きを止めた。
アームハンドが、踏みつけた人物を捕獲し、競技場外へと連れだした。

・脱落条件は以下の通り
 他者と会話及び相談をする
 競技参加者の体に触れる、及び他の競技参加者のレインコートに触れる
 ※触れられた側は罰則無し

確かに、他の参加者のレインコートに触れた訳だ。
まぁ、競技の最中に床に寝そべっているとは考えないからね。
競技場内はまだ薄暗い状態だから、足元が見えなかったんだろうね。


音声「競技を再開する」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

結局、その後も、散々踏まれ続けていた事実が発覚した。
十五回踏まれていた。


十五名が脱落となった所で。

音声「参加者が一名となったので、その人物を勝ち抜けとする」

??????

まだ三十人以上、レインコート着用者、即ち競技参加者が居るのに、
どうして勝ち抜け宣言がなされたんだ?

ロボット「お前の勝ち抜けだ。
     今画面に映ってるのはお前以外はマネキン人形だからな」

あー、成程ね、道理で画面上で全く動いていない訳だ。
時間経過で競技場内が明るくなって、カウントできる状態になっても
参加者かマネキン人形か、見極める必要があったのか。
今回はそれよりも前に、十五名が脱落となったんだ。
これでどうやって勝ち抜けられたのか
ハッキリした。
スッキリした。
ドッキリはしなかった。
シッカリはしていない。
ウッカリとも言える。


ロボット「そんじゃ、納得したならさっさと控室に帰れ」

「ありがとうございました」
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